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【化学メーカーDXの歴史】WITH UNSUNG LEADERS レゾナック編

化学メーカーのMI活用やDX推進を盛り上げたいサンカク製作所です。

「日本発の世界トップクラスの機能性化学メーカー」を目指す「レゾナック」。
今回は、「レゾナック」のMI活用/DX推進の経緯や現状を公開情報からまとめました。

自社のMI/DX推進や、就職先の参考等にご参考ください。


企業概要

総合化学メーカーだがスペシャリティケミカルメーカーを目指している。半導体材料や自動車部材に注力している。

売上高(2022年12月期):約1兆3926億円(連結)
研究開発費の売上に対する割合(2022年12月期:3.4%
従業員数:連結26,054人(2021年12月31日現在)

【参考】

  1. 化学業界の研究開発費ランキング|研究開発費データベース - 研究ネット (wdb.com)

MI活用/DX推進の推移

概要

  1. 継続的な人材育成:

    • 2017年から新入社員に対して統計的実験手法を学ぶ研修を必修化し、2020年には社内データサイエンティストの認定制度を導入し、年間20名のハイスキル人材を育成しています。

    • 有志のAI勉強会の開始やDX推進部の実績としてTableauの利活用を推進するなど、従業員のスキル向上に重点を置いています。

  2. 産業パートナーシップの活発化:

    • 機能性材料の開発やポリマーインフォマティクスの提供など、業界内の主要企業や専門企業との共創を推進しています。

    • Enthought社やQuantum Simulation Technologiesとのプログラムや共同開発、Matmerize社との戦略的パートナーシップなどがその例です。

  3. 技術革新と効率化:

    • 2022年には量子化学計算ワークフローの工数を削減する新システムの共同開発を行い、2024年には手書き文書を含む社内資料活用の独自システム「Chat Resonac」を開発しました。

    • 電子実験ノートのID数の増加や自動化ソリューション事業の拡大も、効率化に向けた取り組みの一環です。

  4. データドリブンな経営方針:

    • DX戦略の策定やデータドリブン経営に向けた取り組み、業務・ルール・データの標準化・体系化など、経営陣の新たな理念や組織制度の変革を通じて、データを活用した経営方針の推進を図っています。

年別の活動内容

2017年
 
データ活用を推進できる材料開発者の育成に注力を開始。新入社員に対し統計的実験手法を学ぶ研修を必修化。

2019年
 ・現CDOの柴田英樹氏(精密化学メーカー出身)が旧昭和電工に入社。
 ・千葉事業所で週一回の有志のAI勉強会が開始

2020年
 ・Lux Research社による”Key Players in Materials Informatics 2020”にて選出
 ・統計的手法を理解し、MI活用の指導ができる人材を社内データサイエンティストとして認定する制度を新設。年間20名ペースでハイスキル人材を育成。

2021年
 ・機能性材料の開発に適した独自AIを開発し、プラットフォームへの実装が完了。キャトルアイ・サイエンス、日立製作所、日立ドキュメントソリューションズとの共創で開発とのこと。
 ・「BIOVIA Notebook」と自社開発MIアプリを接続し、データの収集から整形、蓄積、AI解析まで、一気通貫して行えるデータパイプラインを構築。

2022年
 ・統合後の主要戦略として、「新たな経営理念」「人材育成を主軸とする新人事制度」「変革をリードする新経営陣 (CXO体制への移行)」を宣言。
 ・川崎事業所で有志のAI勉強会が開始
    ・DX推進部の実績の一つとしてTableauの利活用を推進支援とのこと
 ・電子実験ノートのID数が約400に
   ・デジタル人財の積極採用を開始
 ・データドリブン経営に向けたDX戦略を策定。
 ・業務、ルール、データを標準化・体系化する活動(Resonac Way Transformation)を開始。

2022年
 量子化学計算ワークフローの工数を半分以下に削減できる新システムをQuantum Simulation Technologiesと共同開発

2023年
 ・Enthought社とのマテリアルズ・インフォマティクス推進プログラム開始。人材育成に加えて、Enthought Edgeをデータ管理と分析に活用し、カスタムアプリケーションを展開。
 ・産業向け自動化ソリューション事業を手掛けるメキシコのAMI Automationを買収。DX関連エンジニアが約200人存在しているとのこと。
 ・ポリマーインフォマティクスを提供するMatmerize社と戦略的パートナーシップを締結。6G向け半導体材料の開発を加速。
 ・電子実験ノートのID数が約700に

2024年
 手書き文書を含めた社内資料活用の独自システム「Chat Resonac」の開発を発表。計算情報科学研究センターが中心となり構築。利用制約がある資料を許可された部門のみで使用する特化型Chat Resonacも、20件以上アプリとして開発中。

2030年:目標
 ノンコア業務領域の自動化

参考資料

  1. Enthought社とのマテリアルズ・インフォマティクス推進プログラム開始 |ニュース | レゾナック (resonac.com)

  2. レゾナック、機械学習パイプラインを拡大し、より広範な文化変革を促進するために、Enthoughtのマテリアルズ・インフォマティクス・アクセラレーション・プログラムを選択 |株式会社エンソート

  3. 「共創型化学会社」を目指し持続的な成長と企業価値の向上を実現する新生レゾナックのDX戦略 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

  4. 「共創型化学会社」に向けて目指す方向性, レゾナック社HP,2022.02.14

  5. 【前編】材料開発のデジタル化には、技術者一人ひとりの意識改革が欠かせない | レゾナック (resonac.com)

  6. 【後編】材料開発のデジタル化には、技術者一人ひとりの意識改革が欠かせない | レゾナック (resonac.com)

  7. 担当者が想いを語るーレゾナックの"DX"ー | サステナビリティ | レゾナック (resonac.com)

  8. 生成AIで手書き文章も含めた社内資料を活用する独自システムChat Resonacを開発 | 株式会社レゾナック・ホールディングスのプレスリリース (prtimes.jp)

  9. 機能性材料向け独自MIプラットフォームの構築による材料提案の迅速化を実現 | News Releases | Resonac

  10. レゾナックがDX関連エンジニアが200人所属するAMIを買収:製造マネジメントニュース - MONOist (itmedia.co.jp)

  11. レゾナック(Resonac)、マットマライズ(Matmerize)との提携により、革新的なAIソフトウェアを使用した6 (globenewswire.com)

  12. データの収集から整形、蓄積、AI解析まで、一気通貫して行えるデータパイプラインを構築 | News Releases | Resonac

  13. 物質の特性解明のカギ握る「最安定構造」、熟練研究員の半分の時間で特定 | News Releases | Resonac

  14. RESONAC REPORT 2023

  15. 電子実験ノートの浸透で加速するレゾナックのマテリアルズ・インフォマティクス:研究開発DX - MONOist (itmedia.co.jp)


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