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2024.2.3 LGBTQってなんだろう

『だれもが暮らしやすい地域を考える 〜LGBTQってなんだろう〜』を開催しました!

LGBTQも暮らしやすい地域をつくるためにはどんなことができるんだろう?
地域のなか、コミュニティのなかでできること、今後どういう福島にしていきたいかを福島県内で活動を行うLGBTQ団体の皆さんと一緒に考えました。

l 日 時:2024年2月3日(土)13:00-14:30
l 場 所:いわき産業創造館 セミナー室B
l 対 象:興味関心のあるいわき市民や福島県民
l 参加費:無料
l 主催:さんかく



タイムライン
・福島県内で活動するLGBTQ団体によるトークセッション
・対話の時間(普段考えていること、今日の感想、どんな福島・いわきになってほしいか等)


ゲスト紹介

廣瀬柚香子さん(ふくしまレインボーマーチ実行委員会共同代表、郡山にじいろサークル
郡山にじいろサークルは福島県郡山市を拠点に性的マイノリティのためのイベントを月に1回開催しています。今年で発足して6年になりました。イベント内容は毎月異なり、勉強会や悩み相談といったものからお花見やお料理会、カフェ巡りなど、自由でオリジナルな活動を行なっています。

高橋志保子さん(ふくしまレインボーマーチ実行委員会共同代表、よりみちスタッフ)
”なんだか居場所がないな・・・”と感じているあなたのための居場所です。基本日曜14〜17時の月3回開催!参加費無料!途中入退室自由!セクマイ当事者・理解者限定の日など、様々な対象を設けてオープンしております!場所や開催内容の詳細は予約時にお伝えします!
予約・質問等はインスタX(旧ツイッター)@yor1michのDMにどうぞ!

かなこさん(ふくしまレインボーマーチ実行委員会共同代表、さんかく
さんかくはLGBTQも暮らしやすいいわき市を目指し、セクシャリティやジェンダーについて話す交流会や研修等を行なっています。2021年1月より活動を開始し、これまでのべ175名の人に交流会に参加していただきました。


トークセッション

13時すぎ。参加者が集まったところで「見た目から判断できることって少ないと思うんですよね。なので見た目で決めるのはやめましょう。お互いのプライバシーを守りながらイベントを進めていけたらな〜と思います。よろしくお願いします。」さんかく代表かなこさんのフロアルール説明でゆるりとイベントが始まりました。

トークセッション前のゲストたち

まずは3人それぞれのライフヒストリー(個人史・自分史)や活動を始めたきっかけについてお話をお聞きしました。

はじめにお話してくださったのは廣瀬さん。

廣瀬さんは昔から性別に対する違和感があったそう。明確になってきたのは高校生くらい。なんとなく気づいていたけれど知識はなく、「自分のしたい格好がしたい」という想いはあったといいます。

「周りがお化粧とかに目覚めたなかでわたしは1人だけすっぴんで、なんでお化粧しないの?って言われたりだとか。制服はスカートって決まっていたけど、髪が短いこともあって、あの人、男?女?なんてことも結構ありましたね。」

廣瀬さん(写真左)

郡山や地元は干渉的で生きづらいなと思い上京を決めたのだそう。上京してみたら知らない人ばかり、当時の廣瀬さんにとってはその環境がすごく楽だったと話します。

「性的マイノリティ当事者に会いたいなと思って探せば団体がたくさん見つかる。自分に合ってるところを選べるくらい。同じ性的マイノリティ当事者に出会えた時やっと、自分らしく生きることってすごく素敵なことだって思えたんですよね。」

その後地元に戻り、やっぱり自分らしく生きたいと性的マイノリティの団体を探すが見つからず。それなら作ってみようかなという気持ちでサークルを始めたそうです。

次に志保子さんがマイクを取ってくださいました。

志保子さんは秋田県出身。毎年、雪が肩の位置くらいまで積もる場所だそう。福島県には大学進学をきっかけに関わるようになり、青く広がる空を見て、太平洋の空だ〜と感動したそうです。「雪国出身の人は大共感なんですよー!! いわきなんか最高。ハワイあるし〜!」と言う志保子さんの言葉に笑いが起こりました。

志保子さん

大学で出会った方がきっかけでぬるっと活動に参加し始めた。こういうことをしたいとか、社会や地域を変えたいとかっていうのはなくて、できることをやってきたとお話してくださいました。

続いてかなこさんが話し始めます。

中学生の時に自身のセクシャリティのことに気づいたそうですが、そのことを友達に言えなかったと振り返ります。かなこさんのいた学校はいわゆるホモネタ、オカマネタで盛り上がることが多かったのだそう。

かなこさん(写真右)

「例えば、男の子同士が仲良くしていると、お前らホモかよ、きもいな。って。それでばっと笑いが起きるようなクラスだったんです。それを見た時に、わたしも笑いのネタにされるんじゃないかなと怖かった。だから、どちらかというと私もホモネタに一緒になって笑って過ごしていた側で。でもそれがすごくしんどかった。」

自身のセクシャリティについて誰にも話せず過ごしていた高校時代、図書館で初めてLGBTQの本に出会い、自分以外にも同じような人がいるんだなという気づきがあったそうです。その後『カミングアウト・レターズ』(カミングアウトの手紙とその返信集)に出会い、今は自身のことを言えないし言いたくないと思っているけれど、これから自分のことを言える相手と出会えるのかもしれない、と思うことができたのだそうです。

その後上京。かなこさんが大学生の頃には、各大学に1つ程度LGBTQのサークルがあったそうです。そういうところに出入りすることで自分以外の当事者に出会うことができ、自分が自分らしい選択をしていってもちゃんと生きていけるんだと思えたそうです。

活動のきっかけは大学生の頃に高校の出張授業でライフヒストリーを話したこと。かなこさんのライフヒストリーを聞いた生徒が泣きながら、話を聞けてよかった、1人じゃないと気づけたと話に来てくれたそうです。高校生の姿を見て当時の自分を思い出したといいます。高校時代はカミングアウトできない自分が悪いんだと自分を責めていたけれど、それって社会の課題なのかもしれない、社会が言えない環境にしているのかもと考え始め、活動にどんどん参加するようになったそうです。

福島に戻ったきっかけは2019年、国会議員の「LGBTは生産性がない」という発言を地元の友達が擁護していたこと。ものすごくショックを受けた。自分は東京にいて知識も情報もあり仲間もいるけれど地元はそうではないのかもしれない。戻って何かできることがあるんじゃないかなと思い2020年にUターンを決め、さんかくを立ち上げたそうです。

ゲストの話に笑顔になる参加者

Q 活動を始めた当初感じたことや変化ってありましたか?

志保子さん:
活動を始めた当初は「福島にも団体あったんですか!?」という反応が多かったですね。そのころは場所を持って活動している団体ってよりみちくらいしかなくて。今はLGBTQが安心して集える場所ということは前提になっていて、ライフステージの話や仕事の話など、色々な話をしてくれる方が増えましたね。

廣瀬さん:
郡山も変化がありましたね。参加者の年齢層が高くなってきているなと感じますね。昔よりも若い世代の性的マイノリティへの認知度があることで、にじいろサークル以外に自分の居場所を見つけられているのかもしれないと感じています。上の世代はやっぱり難しいみたいで、家族やお仕事の相談をよくお聞きしますね。

かなこさん:
さんかくは団体の歴が浅いので大きな変化を語るのは難しいんですが。参加者は定期的に居場所にしてくれている方と困ったときに来てくださる方がいて、当事者の方も支援者の方(学校や保護者等)も来てくださっていると感じますね。

マイクを取り話をする廣瀬さん

Q これからやっていきたい活動ありますか?

廣瀬さん:
これまで「自分について話そう」「SOGIってなに?」とか。当事者さんだけのクローズイベントもやりました。勉強会やジェンダーについて考える会をしたり、お花見をしたり飲み会をしたりも。当事者さんのニーズに合わせて企画してますね。
先月からはアライの方にも手に取ってもらえるようなフリーペーパーの作成を始めました。読んだら、いろんな人がいるんだな〜って考えてもらえるような、ちょっとずつアピールをしていきたいと思っています。

志保子さん:
最近、高校生から取材を受けることが増えてきました。これはこれからのよりみちの課題なんですけど、これから高校生と繋がって地域づくりだとかについて考えていきたいですね。
アライ(LGBTQを理解・支援する人のこと)になりたいと参加してくれる方も増えてきました。レインボーマーチに関わっていることを公にすることで当事者以外の方からもどういう活動なの?と聞かれることが多くなって。セクマイさんが生きづらいってことは全人類生きづらいってことなんだよってことを伝えていきたいなと思ってます。私たち3つの団体がもっと連携していくのも課題かなと思ってます。

かなこさん:
来年度はさんかくの交流会も変えていこうって話してるんだよね!
これまではみんなでお話をすることがベースだったけど、これからはみんなで買い物に行ったり、ご飯を食べに行ったり、少しずつ地域の中で活動していくってことをしていけたらいいなって思ってます。
あとは、企業や地域、支援側へのアプローチ。当事者の困りやすいこと、職場や支援の中でできることを伝えていきたいなと思ってます。

笑顔で話をする志保子さん

県内で活動する団体同士だからこそ情報交換を密に。団体それぞれの良さを大切にしながら、スタッフも楽しんで活動していきたいなと感じました。

休憩を挟んだ後は対話の時間です。

対話の時間

グループの時間 ①自己紹介、②普段考えていること、今日の感想、どんな福島・いわきになってほしいか等について話そう
トーク内容が書かれたホワイトボード

後半は対話の時間。参加者とゲスト、スタッフ全員がごちゃまぜになり、2つのテーブルに分かれます。

その後、①自己紹介、②普段考えていることや今日の感想、どんな福島・いわきになってほしいか等について自由に話しました。

グループで話をする様子

対話の中では日常のなかでの困りごとがメインに話されました。

性別によって「正装」が分けられていることで、参加したいのに服装のせいで出られない、出たくない、そんな思いをすることが多いという声が多かったです。ゲストからも自分の悩みを参加者のみなさんと共有する場面もありました。

「正装」は性別で分かれていて大変。制服、学校、職場。職場でのカモングアウト。
対話のなかで出たキーワードをメモした付箋

隣りのテーブルではジェンダークリニック(性同一性障害・性別違和を診療するクリニックのこと)が福島県にないことが話題に。いわきにクリニックができたら交流人口が増えて、地域の魅力のなるかも!?なんてお話にもなりました。

いわきは東京に近いから関東の病院に通いやすいけれど、他の東北地方のことを考えるとやっぱり1件でも病院があったら良いですよね。

他には、メイク道具が買いづらいことも話題に上がりました。まず自分に何が合っているか分からないし、店員さんに話しかけづらい。都会だとネットで調べるとLGBTQフレンドリーなお店とか情報が出てくるけど、いわきのことは分からないとのこと。スタッフからは「メンズ用に力入れてるところはフレンドリーなところ多いですよー!」との情報共有がありました。

対話のなかで出たキーワードをメモした付箋

田舎ならではのカミングアウトのしづらさについても話題に上がりました。近所付き合いが濃いからこその難しさがあるよね〜と共感の嵐。ゲストからは自分のカミングアウトの経験、家族との関わり方について共有がありました。

対話終了後に集めた付箋

ゲストによるトークセッションと対話、あっという間の1時間半でしたね。

この度は『だれもが暮らしやすい地域を考える 〜LGBTQってなんだろう〜』にご参加いただいき誠にありがとうございました。皆さんとたくさんお話をさせていただき、これからの課題や取り組んでいきたいことが各団体クリアになっていったのではないかと思います。

性的マイノリティと一括りにしても、もちろんそれぞれ違います。だからこそ1人1人と対話し、目の前のその人のことを知ることが大事なのではないかと問い直す良い機会になりました。

対話の時間の最後話題に出た『良かれと思って言ってくれた一言へのもやもやと上手な返し方』についても、もっと考えたいのでまたお話しましょう。

さんかくでは今後も参加者が安心して過ごせる交流会や公開イベントの開催、企業や学校等へ研修を続けていきますのでどうぞよろしくお願いいたします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

文章:りな
写真:のどか、りな


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