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#消滅しかけたクラブ

潰れかけた栃木SCの中と外を知る身としては、あらゆるトピックが心に刺さった。全クラブが昇格、優勝など夢のようなアドバルーンを上げないと資金が集まらない、発展途上のクラブ文化。消滅はネガティブだが横浜Fマリ、横浜FC、Y.S.C.Cに枝分かれしたがフリューゲルスの存在意義は小さくない✨#田崎健太

潰れかけそうなクラブで真っ先に切られたのが、オフィシャルライターだったボクだ。債務超過をなんとかしようと選手は街頭に立ち募金箱を首に下げ、存続活動を行った。その場に当時のGMもいたが、彼は声を出すことも、募金箱を下げることもなかった。なぜ?中と外、半々の立場のボクは疑問を抱きつつ、突っ込んだ取材はできなかった。子どもが募金する瞬間ばかり、つまりストーリーとして成り立つことを優先的に追いかけた。それが存続につながると信じて。

クラブ消滅の可能性はあったが、フロントに必死さはなく、みんなどこか大丈夫だろう、という思いを抱いていたように思う。フリューゲルスのようにスポンサーが撤退するわけでも、スポンサーの業績悪化が顕在化したわけでもなかったから。現実的には行き過ぎた補強が経営悪化を招き、J1を目指したことがマイナスに作用した。クラブは存続したが、あの一件以来、迷走を続けている。

クラブフィロソフィーは本当にクラブを体現しているのか。栃木のオリジナリティとは?下部組織は整備され、ビッグクラブに引き抜かれる選手も出た。日本代表には選出されていないが、育成組織も機能していないわけでもない。

昇格ありきでチャレンジしたことは間違いではないが、本気だったのかは甚だ疑問が残る。J1にいけば万事解決するという幻想に囚われていなかったか。現場、フロント、サポーターは同じ方向を向いていたのか。最速J1に踊らされていなかったか。

いまだに栃木のサッカー、地域性、クラブの存在意義は不明瞭なまま。暗中模索が続く。よく言えば地域にJクラブがある誇りは保てる。悪く言えばJクラブが地域にもたらせるものが何なのか漠然としたままだ。

横浜フリューゲルスは消滅したが、フリューゲルスと同じようにクラブを無くしてはいけない。悪しき例になってしまったが、他クラブが踏ん張る、踏ん張れるのはフリューゲルスかあったからだとも言える。そう考えると日本サッカー界における、フリューゲルの価値は計り知れないほど大きい。

終章にあるように価値の高い選手を売り、若手だけでリーグを戦う。ブラジルのような発想、着眼点、考え方がなかった。未熟なリーグ、その悪しきシンボルとなってしまったが、フリューゲルスがあったその価値が揺らぐことはない。

フリューゲルスに加入予定だった松井大輔がY.S.C.Cに加入したのは、今考えるとニュースバリューのあるトピックだといえる。誰が悪いわけでもないし、裏を返せばみんな悪い。簡単には片付けられないからこそ、いつまでも手元に置いて、定期的にページを捲りたい。良書だ✨
#栃木sc #李国秀

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