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さんかくキモノ日記51:アンティーク着物でオペラガルニエ/パリでの誕生日

10月某日
 小雨の日。パリ郊外にお住まいのアーティスト、マユコさんの家へ行くためメトロではなくRERという列車に乗り少々遠出を。乗り場がわからずとまどい、さらに降車駅をひとつ間違えてしまうが、なんとか駅に到着。Googleマップを頼りにご自宅まで歩く。全くWi-FiとGoogleマップがなかった頃はどうやって見知らぬ土地を歩いていたのだろうか。もはや思い出せない。

 無事にマユコさん夫妻の素敵な一軒家に到着。落ち着いた住宅地にある、庭付きのかわいいおうち。おしゃれなお部屋。素敵だな〜ぁ。
 実はこの日は私と、ヘアメイクまるぢのお誕生日。手作りケーキとシャンパンでお祝いしていただいた。ケーキもイチヂクやナッツが乗ったタルトで、とても美味しい。さすがアーティストは作るものもオシャレだ。マルシェで買ったというチーズやパンもいただきながら歓談のひととき。なんというかこういう時間がとても贅沢で素晴らしいと思う。

 プレゼントにマユコさんが翻訳を手がけた絵本「もじゃもじゃペーター」とプルタブのついた羽根ピアスをいただく。彼女のアクセサリーはセンスがいいというだけでなく使い勝手もよくコーディネートの主役になれるものなのでいつも愛用しているが、また一つ宝物が増えてしまった。「もじゃもじゃペーター」はドイツの絵本で、彼女がベルリンにいる時に美術館のために日本語版の翻訳をしたとのこと。この絵本は子供の頃に読んでいてその毒々しさ残酷さにすっかり魅せられていたのだが、何年も経ってからこうして友人が手がけた形となり私の元に来てくれてこれまたすっかり感激。その昔、リアル中学生二年生の頃マザーグースの虜となりこういった少し残酷な絵本や詩にハマっていたのだが、結局人間そう変わらないな・・・と感じる。

 暗くなる前に帰ろうと、駅まで川沿いを歩く。霧のような雨の中、白鳥が静かに泳いでいる。単純なのでまるで映画のようだと思ってしまう。霧雨のパリ、素敵すぎませんか。


10月某日
 「どうしてもキモノでオペラ・ガルニエにいきたーーーい!」という私の希望にお付き合いいただき、朝からアンティークキモノで出かける。この日は一番のお気に入り龍のキモノに孔雀の羽織のコーデです。ポールでサンドイッチを食べてオペラ座へ。東京のポールもいつも美味しいがパリでもより美味しく感じる単細胞です。
 オベラ座も事前チケット制ではあるが、美術館よりは混雑していない印象。荷物チェックをうけて中へ。さすがパリ随一の映えスポット。ぐるりをどこを見渡しても豪華絢爛。重厚で荘厳な装飾たちに圧倒されてしまう。ここで数々の社交が繰り広げられ、踊子や歌手の血と涙のパフォーマンスがあるのだな〜と思いを馳せる。ジョンウィックの映画(だけではないが)でのシーンも忘れられない大休憩室。胸焼けしそうな濃厚さ。窓辺の回廊は美しく、存在がドラマチックな劇場はいるだけで息が詰まりそう。次にパリに来る時は必ず客席に座ろうと誓うのでありました。天井画はシャガール。VIPの個室は卑猥な雰囲気、、と呟いていたら「いやどういう目線で見てる?」と。すみません。

 日本人のお若い男性グループに「日本人?!なぜここでキモノ?!」と声をかけていただいたり、やはり日本人のお若い女性に「YouTubeいつもみてます〜」と声をかけていただいたり、他の観光地よりお声がけいただく率が高かったのもオベラ座でした。やはり日本人に人気なのかな。でも私も人に聞かれたらここを勧めてしまうが。

 その後はイヴ・サンローラン美術館へ行く。ヨーロッパへ出発する直前に国立新美術館でイヴ・サンローラン展に行ったばかりではなかっただろうか。どちらが好きかは好みの問題で。こじんまりとした洒落た美術館は服飾にロマンを持つ人間にはたまらないのではないか、と思うなど。
 途中おやつにピザなどいただきながら、最後に老舗デパートのギャラリーラファイエットの屋上でパリの街並みを眺める。ここも無料観光スポットとして大人気でなかなかの混雑。階下のお土産エリアで少々買い物をして宿に戻る。

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