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Vaundy - 「怪獣の花唄」

若き天才Vaundy。今回は印象にも残りやすい、「怪獣の花唄」を取り上げる。

どこかに行ってしまった「君」

思いだすのは君の歌
会話よりも鮮明だ
どこに行ってしまったの
いつも探すんだよ

思いだすのは君の歌
歌い笑う顔が鮮明だ
君に似合うんだよ
ずっと見ていたいよ

どこかに行ってしまった「君」を探す場面から始まる。主人公は「君」がいなくなっても思い出すくらい「君」の歌がとても好きで、とても印象に残っているのだろう。

でも最後に見たいのは
きっともう君の夢の中
もう一度
また聞かせてくれよ
聞きたいんだ

ここで注目したいのは「もう君の夢の中」という部分。飛躍した発想かもしれないが、「君」はもう死んでしまっているのではないか。理由は後述するが、「また聞かせてくれよ 聞きたいんだ」という部分も「もう君の歌を聞けない」という暗示になっているとも感じる。

もっと 騒げ怪獣の歌
まだ消えない
夢の歌唱えて
君がいつも 歌う怪獣の歌
まだ消えない
口ずさんでしまうよ

サビで「怪獣の歌」という言葉が出てきた。そしてこの歌は「君」がいつも歌っていたようだ。この「怪獣の歌」を主人公は今でも忘れられず口ずさんでしまうのだ。

そしてこの「夢の歌唱えて」という歌詞。個人的には、「唱える」というのは「お経」と掛けているのではないかと思う。死んでしまった「君」のために、いつも歌っていた「怪獣の歌」を「唱えて」いるのだろう。

繰り返す思い

思いだすのは君がいた
ギター持ってる君がいた
忘れられないんだよ
だから僕が歌うよ

でも最後に見たいのは
きっともう君の夢の中
もう一度
また聞かせてくれよ
聞きたいんだ

もっと騒げ怪獣の歌
まだ消えない
夢の歌唱えて
君がいつも 歌う怪獣の歌
まだ消えない
口ずさんでしまうよ

2番はほぼ1番の繰り返しとなっている。1番と異なり、注目すべきは「だから僕が歌うよ」の部分。やはりこの部分を見ても、「君」はもう歌えない=死んでしまっている のではないか。

「君」へのメッセージ

落ちてく過去は鮮明で
見せたい未来は繊細で
すぎてく日々には鈍感な君へ

落ちてく過去は鮮明で
見せたい未来は繊細で
すぎてく日々には鈍感な君へ

「落ちてく過去」は「君」が生きていた時の思い出。
「見せたい未来」はもし「君」が生きいたら見せたい未来
そして「すぎてく日々には鈍感な君」への、もっと今を大切に生きて欲しかったというメッセージ。今は亡き「君」への主人公の想いが伝わる。

ねぇ もっと 騒げ怪獣の歌
まだ消えない
夢の歌唱えて
君がいつも 歌う怪獣の歌
まだ消えない
口ずさんでしまうよ

そしてラスサビ。「ねぇ もっと」という言葉から、今はもう会えない「君」へのもどかしい思いが表れているのだろう。

ねぇ 僕ら
眠れない夜に手を伸ばして
眠らない夜をまた伸ばして
眠くないまだね
そんな日々でいたいのにな
懲りずに
眠れない夜に手を伸ばして
眠らない夜をまた伸ばして
眠くないまだね
そんな夜に歌う
怪獣の歌 ooh

「眠らない」「眠くない」、まだ起きて「君」と歌を歌うんだという主人公の強い思いでこの曲は終わる。既に眠ってしまっている(=死んでしまっている)「君」に向けて、主人公は最後に「怪獣の歌」を歌うのだ。

まとめ

「君」はもう死んでしまっているという飛躍した解釈で進めていたが、意外と間違ってはいないだろうと感じている。実はこの曲に関してVaundyはこう述べている。

実はタイトルの「怪獣の花唄」と歌詞中の「怪獣の歌」は別物だったのだ。個人的には、「怪獣の花唄」は主人公が死んでしまった「君」に向けて歌った歌で、「怪獣の歌」は生前「君」が歌っていた歌なのでなないかと思う。

精巧に作られた歌詞と変幻自在なメロディ。若き天才。これからも彼の作る曲は評価され続けていくのだろう。

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