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マカロニえんぴつ - 「恋人ごっこ」

Vo.はっとりの声に魅了されて聴き始めたマカロニえんぴつ。今回は「恋人ごっこ」の歌詞を考察していく。

「恋人」にはなれなかった

「恋人『ごっこ 』」という曲名から、彼らは本当の恋人ではないことがわかる。そして曲はサビから始まる。

「ねえ もう一度だけ」
を何回もやろう そういう運命をしよう
愛を伝えそびれた
でもたしかに恋をしていた
恋をしていた

「ねえ もう一度だけ」というのはまあそういうことなんだろう。直接的に書かないでここまで伝えられるのはさすが。「愛を伝えそびれた」とあるため、少なくとも主人公の方は相手に対して「愛」はあったんだろう。

そして「恋をしていた」と過去形になっているということは、もう既にこの関係は解消してしまっているのか?

缶コーヒーで乾杯
シーツは湿って
どうにもならない二人だ
言う通りにするから
恋人ごっこでいいから
今だけ笑っていて欲しい

「シーツは湿って」という言葉で行為を連想させるのもはっとりの凄いところだと思う。後半3行からは、「今の関係のままでいいからそばにいたい」という主人公の気持ちが伝わる。

主人公の苦悩

余計な荷物に気付くのは
歩き疲れた坂道だ
忘れていいのはいつからで
忘れたいのはいつまでだ?

「ねえ もう一度だけ」
を何回もやろう そういう運命でいよう
愛を伝えそびれた
でもたしかな恋をしていた
恋をしていた

Bメロの最初の2行は恐らく比喩になっている。「余計な荷物」とは何か?恐らく彼女側の本命彼氏だろう。これに対し主人公は、忘れる(気にしなくなる)タイミングはいつなのだ、と苦悩している。

そして再びサビ。主人公の思いが繰り返される。

無駄な話に頼るのだ
隠し疲れた罪を運ぶため
忘れていいのは君なのに
忘れたいのは僕だけか

2番でも主人公は苦悩している。「隠し疲れた罪」とは、彼女に本命彼氏が居ることに気付きながらも浮気をしている自分自身の罪だ。

「君」から見た主人公は「忘れていい」存在なのに、主人公から見た「君」は「忘れたい」存在。「君」にとって主人公はどうでもいい存在だが、主人公にとって「君」は「忘れたい」と願うほど重要な存在になっているのだ。

終わってしまった「恋人ごっこ」

「ねえ もう一度だけ」
もう無しにしよう? そういう運命を取ろう
愛を伝え損ねた
またこんな恋をしてみたい
恋をしてみたい

とうとう「もう無しにしよう?」と主人公から終わらせた「恋人ごっこ」。しかし主人公は「またこんな恋をしてみたい」と未練が残っているようだ。

裸や 撫で肩や キスや乾かない髪

もう一度あなたと居られるのなら
きっともっともっとちゃんと
ちゃんと愛を伝える
もう二度とあなたを失くせないから
言葉を棄てる 少しずつ諦める
あまりに脆い今日を抱き締めて手放す

ただいま さよなら
たった今 さよなら

「恋人ごっこ」が終わった今でも「君」の姿を思いだす。後悔の念ばかりが残りつつも、少しずつ想いを手放して前に進んでいく主人公の切ない気持ちが伝わってくる。

まとめ

「恋人ごっこ」という歪な関係に苦悩する主人公の気持ちがとても伝わる歌詞。ただの恋愛ソングではなく、微妙な関係を描く恋愛ソングの方が個人的には心に刺さるものがある。

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