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犬の事件

犬を飼ったら、
アパートの住人と同じ名前をつけてはいけません
と言うお話をした、
ジュン→ロッキーへと改名した犬のお話です。


その頃、アルファベットのNの字に
犬が自由に移動できる庭がありまして、
描き初めの部分は表通り、
描き終わりは裏通りに面していました。


ロッキーは門の間から外を眺めるのが好きで、
いつもどちらかの門の近くにおりました。


表通りは商店街で、
古くからのお店が軒を連ね、
皆家族構成まで知る間柄。


反対に裏通りは街灯も少なく、
アパートが多く
誰が住んでいるのか
わかり辛い環境でした。


そんな中、その裏通りから我が家の庭に
食べ物が投げ込まれる事がありました。


たまたま見つけた私は、
犬を見に来た近所の子が投げたのかな?


そう思っていたのですが....


暫くして、ロッキーの具合が悪くなりました。
緑色の液を吐き、
獣医さんにかかっても原因がわからず
1週間ほどで泡を吹いて亡くなってしまったのです。


ロッキー、まだ若く
元気な盛りの5歳くらいだったと思います。


ふと食べ物が投げ入れられていたことを思い出し、
庭を点検してみると、その時
こんがりと焼かれた鯵の開きが落ちているではありませんか!


私は「やられた!」と思いました。
ロッキーが食べた形跡はなかったものの、
表面に毒が塗られていたとしたら....


何より、焼かれた鯵が落ちていること自体、
ものすごく不自然です。


そういえば、
近所で車のタイヤが刺されて空気が抜かれたり
物騒な事件が続いていました。
今の様に、監視カメラはない時代。
私は、「犬を殺されてしまった」と言うショックと
どうしてもっと気をつけてあげなかったか、と言う
後悔の念で一杯でした。


たまたまアパートの住人で
何某かの研究をしてると言う東大生が居て、
犬の事を話し、
毒物の検出をしてもらえないかと聞いてみたんです。


その彼、
こう言いました。
「検査することは可能です。
でも、誰がやったかもわからない。その上犬は亡くなってしまっている。
調べたところで、気持ちが収まることはないのではありませんか?」


そう言われて、私たち家族は
しゅん💦となりました。
ごもっとも。


さすが東大生。
言うことが整然としています。
ちなみに、
女性ばかりのアパートになぜ男性の彼が住めることになったか。
それは、東大生だったから。らしいです。
東大生なら信用できるし、
女性ばかりより1人でも男性がいた方が
防犯上良いのではないか。
父はそう考えた様です。





犬を失った私は暫くショックから立ち直れず、
もしかしたら毒殺されたかもと言う
思いも拭えずに悶々としました。


それからすごく用心深くなりました。
昔は外で飼うのが当たり前の時代のお話でした。



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