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家賃滞納の現実


大家さんの皆様
家賃滞納にあった経験はありますか?

といっても、自主管理でない場合は
管理会社が介入してますから、
滞納があった時も自分では動かずに処理してもらうことに
なりますね。

私は自主管理ですから、
滞納時も自分で対応しなければなりません。

ある時、
10年住んでいる入居者さんの家賃が、
時々遅れるようになりました。

そんな時どうするかと言うと。

1週間ほどは待ちますが、
それ以上になった場合には、
まずお手紙を入れます。

まだ入居者さんとラインやメルアド交換をしない時代。
PCでぽちぽち文章を作るのですが、
最初のお手紙は
ごく柔らかい表現で
「お忘れではないですか〜」的に。

2週間目に入る頃には、
1ヶ月入金が遅れたら退去していただきますよ、
と少し強めのお手紙になります。

と言っても、すでに10年のお付き合いがある入居者さんですから、1ヶ月過ぎたからと言って
すぐに追い出すようなことはしません。

その方は30代で入居した男性の一人暮らし、
すでに40代後半になっていました。
体調を崩した事により休職→復帰を繰り返し、
そうしているうちにメンタルを病んでしまったようでした。

一流会社にお勤めの方で
何かの時に尋ねるお部屋はとても綺麗に使われていました。
そんな人ですから、遅れても入る家賃があるうちは
退室を促すことはしませんでした。

それが...
1ヶ月遅れ、2ヶ月遅れ...
結局は半年家賃が入らないままになりました。

入居時契約の不動産屋に入ってもらい、
退去に向けて動き出しましたが、
家賃どころか引越しの費用も出せそうにないと言うのです。

保証人の母親は高齢の年金暮らし、
負担はできないと言ってきました。

なんとか引っ越しできそうだと言う事にはなったけど、
半年分の家賃はまだ未回収。
担当の不動産屋さんが、
引っ越し当日に立ち会い、念書を作りました。


約50万円ほどの金額でしたが、
払えるだけでも毎月少しづつ振り込む、と言う内容の念書。
正直、これはもう回収は無理なのではと感じていました。
その引越しの立ち会いで入った部屋は、
ものすごく荒れていました。

あんなに綺麗に暮らしていた彼が、
生活に困った現状が物語られているようでした。

本当なら敷金以上に補修費を請求したいほどでしたが、
それも諦める事になるな...
そう覚悟しました。

彼の態度は始終誠実で、
申し訳ありません、を繰り返していました。

私は互いに念書にサインしながら、
これも勉強だ、
高くついたが、
これからは必ず保証会社を入れるようにしよう、と思いました。

がっかりしている私の横で、
不動産屋の担当者が言いました。

「⚪︎⚪︎さん、逃げてはいけませんよ。
あなたのお母さん、お姉さんまで居場所を知っています。
回収できない場合、そちらまで私が訪ねてでも、
払ってもらいます。」


「この大家さんは、改修費用も請求せず、
こんなになるまで家賃を待ってくれた。
そんな人を裏切るようなことは、しちゃあいけません」


それに対し、彼は素直に
「はい、その通りです、わかりました」

そう答えました。

さすが不動産屋さんだ〜

私は女性だし、
どこかで甘くみられていた部分があったかもしれません。

家賃改修を期待できないなあー
これはリフォーム費用がかかりそうだなあ
と思いながら最後に挨拶。

10年お住まいいただいて、ありがとうございました。
お身体に気をつけて頑張って欲しいです。



その後、北海道に越した彼は仕事に就くことができ、
半年かけて全てを支払ってくれました。

最後に全額の領収書を郵送する時、
一人暮らしに便利そうな食べ物を同封しました。
そのお返しに、彼からはリンゴジュースが届き
元気そうな様子をお手紙で知ることができました。

手紙には、
家賃を待ってもらったこと、
すぐに退去を迫らなかったことに対する感謝と
受けた恩を人に返せる人になろうと思う、と
書いてありました。

ね、ちょっといい話でしょ?

管理会社を入れたら、
家賃滞納イコールすぐ退去になります。
容赦ありません。
大家さんも経営ですから、
私みたいなことではいけないけど
人情があった昔はこんなこともあったのよ、と言うお話でした。







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