【35】コロナ禍における飲酒対策

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2020年12月3日

経営者・総務人事担当者のみなさま、コロナ禍で従業員の健康管理は十分に行えていますでしょうか?コロナ禍が長期化する中で、飲酒量が増加してしまう方も多く出ているようです。

1. 課題の背景:

コロナ禍では、孤独感や不安感をまぎらすために飲酒をする方や、外出自粛によって運動不足など生活習慣が乱れることによる不眠症状に対して飲酒量が増える方が出ています。また、在宅勤務・外出自粛などにより家で過ごす時間が長くなることで、飲酒量が増えている方もいます。さらに、飲酒による寝坊や、二日酔いでお酒臭いことに上司や同僚が気付きにくいため、従業員の飲酒量増加や、ひいてはアルコール依存症の発見が遅れるといった状況になります。そこで、従業員の健康問題や労務問題が起きないようにアルコール対策に関する注意喚起を行う必要があります。

2.企業でできる対策

○ 従業員に向けて「飲酒量増加」について注意喚起する
〇 従業員にセルフチェックを勧め、飲酒量の見直しを促す
○ 従業員の生活リズムや体調を確認する機会を設ける

1)従業員に向けて「飲酒量増加」について注意喚起する。

衛生委員会や朝礼などの機会に事業所のトップから注意喚起を行なってはいかがでしょうか。メールやイントラネットなどを活用し、在宅勤務者向けの在宅勤務者向けに啓発を図ることも大切です。コロナ禍の飲酒問題のヒントは以下の通りです。

□就業時間にお酒が残らないようにする(仕事前8時間は飲まないようにする)
□仕事中は飲酒をしない
□いままで飲んでいない人は不安の解消や、不眠の解決のために飲酒しない
※啓発資料のリンクは本資料に掲載しています。

2)従業員にセルフチェックを勧め、飲酒量の見直しを促す

自分でも気づかないうちに、飲酒量が増えてしまっている場合があります。そこで、従業員に対して、次のような飲酒のセルフチェックの実施を促してみましょう。選択肢の数字を 足して10点以上で問題飲酒、12点以上でアルコール依存症の可能性があるとされています。10点以上の場合には、飲酒量や飲酒頻度を見直す必要があります。見直す際には、   飲酒日記や、減酒アプリもおすすめです。

<飲酒のセルフチェック>AUDIT-C

1.あなたはアルコール含有飲料をどのくらいの頻度でのみますか?

(0):飲まない 
(1):月に1回以下
(2):月に2-4回
(3):週に2-3回
(4):週に4回以上

2.飲酒するときには通常どのくらいの量を飲みますか?

(0):1合未満 
(1):1合以上2合未満  
(2):2合以上3合未満
(3):3合以上4合未満
(4):4合以上

3.1度に3合以上飲酒することがどのくらいの頻度でありますか?

(0):ない 
(1):1か月に1回未満
(2):1か月に1回
(3):週に1回
(4):ほとんど毎日

画像1

3)従業員の生活リズムや体調を確認する機会を設ける

 在宅勤務を導入している場合でも従業員の生活リズムが乱れていないか、体調が悪化していないかを確認する機会を設けることが重要です。従業員の飲酒量が多すぎることやアルコール依存症が疑われる場合には、セルフチェックを勧めることと併せて、従業員の家族にも飲酒状況を確認する、アルコール外来(減酒外来・節酒外来)を勧める、産業医等に相談するといった対策もご検討ください。

□朝一番に定期的なオンラインミーティングを設定する(ビデオオンを推奨)
□顔色や、髪型・服装の乱れが起きていないか確認する
□定期的(月に1回以上)に対面でコミュニケーションを図る機会を設ける。

4.飲酒対策の啓発資料

1)啓発資料

お酒とうまく付き合うために
正しいお酒との付き合い方
お酒による健康・社会問題
お酒と長く付き合うために そして健康のために

2)飲酒日記

久里浜医療センター

5.資料リンク

・本資料のPDF

・本資料の動画

6.関連情報リンク・参考情報:

1)日本アルコール関連問題学会 コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴う依存症のリスクに関する注意事項

2)日本アルコール・アディクション医学会 新型コロナウイルス問題で心配されるアルコール依存症やゲーム障害等のアディクション

3)廣尚典 職場におけるアルコール問題の現状と課題について

4)医療・地域・職域ですぐに使える減酒支援の手引き:ABCD プログラム

5)久里浜医療センター 各種教材・支援ツール

文責:五十嵐 侑(東北大学大学院 医学系研究科 産業医学分野 大学院生)
監修:田中 完(日本製鉄株式会社 東日本製鉄所鹿島地区 産業医)

※本文章は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)で作成しました。厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。
今後も経営者・総務担当者向けに必要な感染拡大防止策情報を随時配信させて頂きます。本情報は著作権フリーですので、ぜひお知り合いの経営者に拡散をお願いします。
※本内容に関するご意見・ご要望は、covid-19@ohsupports.com までお寄せください。
※これまでに配信しましたバックナンバーは、こちらをご参照く
ださい。
※動画配信も始めました。下記サイトをご参照ください。
https://www.youtube.com/channel/UC4lRPnKfYPC6cT1Jvom5VbA

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