【8】在宅勤務者のメンタルヘルス対策

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2020 年 4 月 24 日

経営者・総務人事担当者のみなさま、従業員のメンタルヘルス対策は万全でしょうか?感染拡大地域だけでなく、感染症に対する不安、在宅勤務に伴う課題に対応しましょう。

1. 課題の背景:

緊急事態宣言下では、人との接触を 8 割減らすことが求められています。そのため、自宅でのテレワークを導入している企業が増えています。在宅勤務に伴うメンタルヘルス上の課題を整理し、社員の不安を軽減することが求められます。一般にテレワークに伴うメンタルヘルス上の課題としては、1.孤立感、2.サポートの減少、3.気持ちの切り替えにくさ、が知られてい
ます。また、学校の休校に伴い子供たちがいる状況で在宅勤務をすること、家族(共働きの夫婦や親子)が同時に在宅勤務をすることなど、通常とは違う環境で仕事をすることによるストレスも考えられます。

2.企業でできる対策:

○ 孤立感やサポート不足を補うため、意識的にコミュニケーションを
 取るようにする
○ テレワークで生じやすい課題についての情報を伝える

以下にポイントを記載します。
1) コミュニケーションを図る
業務の開始・終了の連絡を求めている企業等は多いと考えられますが、メールやチャットなど文字だけでのやり取りでは孤立感を解消しにくい場合もあります。業務時間の途中で困っていることはないか、進捗はどうか、という確認を管理職の皆さんは音声通話やビデオ通話などを意識的に使うようにしましょう。声を聴くこと、顔を見ることによって、安心感が生まれます。

2) 気持ちを切り替えることを意識する
在宅でのテレワークは、プライベートな空間に仕事を持ち込むことになります。そのため、業務時間内に家事や子供のことなどが気になったり、業務が終了してもその気分を引きずってしまったりします。上司は、以下のことを指示しましょう。
・子供と一緒に 1 日の時間割を決めて、仕事と休憩をしっかりと区切りながら業務を行う
・在宅であっても着替えや化粧など外出の準備をして「仕事モード」に切り替える
・1 日の作業終了時には道具を片付け、気持ちの面でも仕事から離れる
・作業終了後は、何かが気になったとしても、翌日に確認したり作業することが可能であれば、再び仕事に戻らない

3) 在宅でのテレワーク生じやすい感情について情報共有する
在宅でのテレワークでは、
・孤立感
・サポートの不足
・家庭に仕事が侵入しているような苛立ち
・出勤している同僚に対する罪悪感などを感じやすいことが知られています。また、現在のコロナウイルス感染拡大の状況に対して、
・自分や家族が感染するのではないかという不安感
・人との接触を避けることによる孤立感が生じることも想定されます。上司は、そのような気持ちになることは通常の反応であることを部下に伝え、そういう気持ちになったときには上司や同僚とそのことについて話ができるようにしておくとよいでしょう。ただし、あえて「時間を作ってほしい」とは言いだしにくいことも考えられますので、定期的にオンラインミーティング
を設定しておくことも有用です。週 1 回の定期ミーティングでも「ペースを保つことが難しい」という従業員もいます。可能であれば、毎日短時間でもよいので、部下の声を聴くように心がけましょう。

4) メンタルヘルス相談窓口の設置
在宅でテレワークをしていて、上司には相談しづらく、第3者に相談したい場面もあるかと思います。第3者に相談したいとき、自分のメンタルヘルス不調に気づいたときなど、いざという時のメンタルヘルス相談窓口や相談手順を従業員に周知しておきましょう。相談窓口の例としては、以下のようなものがあります。貴社の実情に合った相談窓口の活用を検討しておきましょう。
・会社で契約している産業医や保健師などの医療職(相談手順を事前によくご確認ください)
・産業保健総合支援センター(リンク参照)
・健康保険組合の相談窓口(会社で加入している健保組合にお問い合わせください)
・保険会社の相談窓口(会社で加入している保険会社にお問い合わせください)
・精神保健福祉センター(リンク参照)
・日本産業カウンセラー協会 働く人の悩みホットライン(リンク参照)
・いのちの電話 みんなのインターネット相談(リンク参照)

3.関連情報リンク:


新型コロナウイルス流行時の心のケア IASC・邦訳 福島県立医科大学

新型コロナウイルス感染症対策(こころのケア):こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

産業保健総合支援センター
全国精神福祉センター長会(各地域の相談センター)

日本産業カウンセラー協会 働く人の悩みホットライン

いのちの電話 みんなのインターネット相談

日本産業ストレス学会 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時のストレス対策

4.参考文献

Horldsworth L. et al. (2003), The Psychological Impact of Teleworking: Stress, Emotions
and Health, New Technology Work and Employment, 18 (3) 196-211

5.資料リンク

本資料のPDF
本資料の動画
・本資料のプレゼンデータ↓(衛生委員会に編集してご活用ください)

文責:櫻木 園子(京都工場保健会 産業保健推進部)

※本文章は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)で作成しました。厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。
今後も経営者・総務担当者向けに必要な感染拡大防止策情報を随時配信させて頂きます。本情報は著作権フリーですので、ぜひお知り合いの経営者に拡散をお願いします。
※本内容に関するご意見・ご要望は、covid-19@ohsupports.com までお寄せください。
※これまでに配信しましたバックナンバーは、http://www.oh-supports.com/corona.htm をご参照く
ださい。
※動画配信も始めました。下記サイトをご参照ください。
https://www.youtube.com/channel/UC4lRPnKfYPC6cT1Jvom5VbA

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