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映画「エゴイスト」を観てきました
先日、公開中の映画「エゴイスト」を観てきました。
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公開前からメディアでも取り上げられたり、
またそのプロモーション活動において主演2人が各々のキャリアを鑑みて出来得る最大限に真摯で丁寧な言葉を発信していることで(鈴木亮平さんこそ礼賛されてますが宮沢氷魚さんも役柄そのままにとてもナチュラルにコメントされていたと思います)、
割とセクシャリティに限定されず、幅広い注目を集めているように思います。
実際僕が観た回も、男性同士、女性同士、中年のご夫婦らしき方、年配の男性ひとりなど、満員ではなかったですけど幅広い層の観客がいました。
率直な感想としては、ひとつのゲイのリアリティを見事にマス向け、一般層向けの作品に織り込んだなって感じです。
冒頭の新宿三丁目の(おそらく)庄助とか、二丁目でヴォーギングとか、Wの悲劇、ちあきなおみ(夜へ急ぐ人は歌うならもっとこうやろとか思ったり)、恋の始まり方、セックスへの入り方、家族との関係性、パートナーの家族とのこと、、
などなど身に覚えがある、もしくは見たことある描写が随所にあって、(湘南の映画館で観るにはちょっと恥ずかしくなるくらい)クィア映画としてのリアリティは十二分に押さえていました。
そもそも原作が私小説であることから、マイノリティのリアルな部分は描くに十分な情報が揃っているわけで、逆にここを踏襲した上でどうマジョリティも足を運ぶマス向けにしていくか、というのがこの作品の挑戦であり肝になってると感じました。
その挑戦は見事に成功していて、所謂日本映画のメジャーシーンのラインナップに、このレベルでのリアリティを携えたクィア作品が堂々仲間入りを果たしたことはエポックメイキングでありとても意義があることと思います。
大衆向けへの昇華がうまくいったからこそ、特に物語が後半に進むにつれて普遍的なテーマが主になってくると、良くも悪くも感情移入し過ぎることなく、ある程度の距離を保ったままラストシーンまで辿り着きました。
これは決して"私たちの映画"ではなく、"皆の映画"だなと。
批判ではなく、例えばブロークバックマウンテンのような、マイノリティの物語をメジャー作品として提供することが日本では未だ稀有であるので、今回この作品はひとつ大きな役目を果たしているということです。
他方、BL映画とジャンル分けされるような作品群はいまメジャーマイナー問わずの乱発バブルを超えたあたりかなと思っていて、これはまた別のところで語られるべきかなと考えます。
(正直僕はほぼ観てません。漫画は読むけど)
世間のムードは確かに変化しているけれど、政治含めて大きく変わることはしばらくないでしょう。
何年かに一回でいいからまたこういう良質な作品が届けられたらいいなと思います。
今回の話にも賛否両論あったように、セクシャリティこそ同じカテゴリーであっても物語は無数に存在するのだから。
最後にひとつ、ちょっと自分の話も混えつつ。
まさかの同じ名前だったのもあって笑、登場人物の中では龍太のことを考えながら観ていました。
彼を見ていて、
自分の未来が見えなくても走れるけれど、
誰かのためだけに生きるのは限界がある、
その事に気づいてしまったら、
ずっと持っていた孤独や不安がちょっとずつ大きくなっていく、
その気づくきっかけが一番大事な人からの愛であったからこそ、
自分の中で抱えていくしかない
そんなことを思いました。
僕は5年前から家業に入って、
最初こそ自分の未来を描きながら働いていたけれど、本当に本当にこの5年でいろんなことがあって、
今は親(特に母親)のために、周りの人たちのために、ここを離れられない、
そんなことを思いながらモヤモヤしつつ毎日仕事に向き合っています。
彼のように満身創痍で目の前のことに対峙してるかというと正直わかりません。
愛とエゴの境界線は確かに曖昧で、自分が本当はどうしたいのかも見えなくなっていて。
時にエゴイストと揶揄されても動かなきゃならないこともある、それは改めて感じました。
最終的に自分が納得いく答えまで行き着けるように、もう少しがんばってみようと思ったり、くちゃって潰れかけたりを繰り返しています。
いやはや健康第一ですね(そこか)。、
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