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人間には男性性と女性性と両方あることについて

フェミニズム、ジェンダー、LGBTQ+といった私たちにとって大切なテーマは、フロイトによる「男根一元論」を根拠として展開してきています。

そこでは、「男性=能動的、女性=受動的」と理解され、また、女性は男性がもっているものをもっていない欠けた存在として考えられてきた長い歴史があります。

けれども、実はフロイト自身も、人間の中には両性があることを述べているのです。

男根一元論のインパクトがあまりにも強かったことや、女性を家庭で再生産する存在にしようとする動きが強かった時代があり、いまでも男尊女卑的な価値観をもっておられる方も多くいます。

また、男性性と女性性との間でグラデーションのようなアイデンティティをもっておられる方もいます。

さて、ユングによれば、人間は男性性と女性性を統合することが個性化において重要であることが語られています。

個性化というプロセスに入っていくと、夜に見る夢が様々なことを示唆することがあります。

夢分析には、そのひとつの夢だけを取り扱えばよいというものではなく、その方のそれまでの人生や夢を見る前後のことや、今現在のことなどを俯瞰して分析することが大切です。

ただ、そもそも夢が見れないという方もあります。ここでいう夢は、夢分析に耐えうる夢ということでもあります。

心がある程度まとまりをもっているかどうか(スプリットがないかどうか)が、その分かれ目のひとつです。

女性における男性性は、投影をみていくことによってわかってくることがあります。男性も同じです。

この、誰かに投影しているものを引き戻すことが、統合への通路ともなります。

以上は、心における男性性と女性性との統合について書いたのですが、体の面からいうと、もっと丁寧な話が必要でしょう。

しかし、私たちが二元論から解放されるには、どこまでも「個」であるということ、ひとりひとりがひとりひとりを知るということ、であるように思います。

そこからしか、真の意味での多様性への道は開かれないのでしょう。

ポストモダンという時代は個の時代であり、これを通過した先にある時代がより生きやすい時代であるために、この文章を書いています。

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