【観劇】『セールスマンの死』(ネタバレ有)

ざっと感想

観劇日:2022/5/15
場所:豊橋

終始不穏。音もセリフもシチュエーションも。
真ん中に置かれた冷蔵庫、宙ぶらりんの電柱。 噛み合わないセリフ、入れ替わる舞台装置、喧騒からの突然の無音。時空が歪んでいるのか?
じりじりとシーン重ねていき、ついに行き着くところに行き着いたか…みたいな説得力があった。「死」にすべてが収束される舞台。


ーーーー※以下ネタバレ注意ーーーーーーーーーーーーー







ウィリーと冷蔵庫


あの不穏で不気味な音は、冷蔵庫のモーター音だったのか!常にブォーン、ブォーン…て鳴り続けて、緊張感増し増し。
最後、扉がパカっと開いたとき恐怖だった。冷蔵庫開くだけで会場がさぁぁっと青ざめていくのがわかった…。
だってもうあれ、ウィリーが吸い込まれていくのは必然だった。向かうべくして向かったラストだった。辛い(´;ω;`)

ウィリーはなんで死んだのか、が順々にエピソードで明らかになっていくわけだが、もちろんウィリーの価値観が時代に合わない、社会から不要とされている、息子の親離れのため等々あるとは思うが、やっぱり一番は自分の人生指針であるベンが「見えなくなった」からだと思うのよ。
なんで見えなくなったかといえば、やはりビフ(長男)の言葉を受けて、現実を嫌でも見なきゃ生きていかれないことが当人も分かったからなんでしょうね。バーナード親子の「いつまでも夢追いかけてる子供じゃいられない」が迫ってくる。

常に「見られている」という恐怖

レストランのシーン、あのバーナード少年の自転車からブッ刺さる視線はキツかった。正直、あれが一番こたえた…。
クズ息子二人と現実見えてない親父の喧騒がひとしきりあって、そこからの無音、不快なほどゆぅっくり通り過ぎる自転車。そしてあの冷ややかさ(すら感じられない、もはや虚無を極めたような)視線。
社会という第三者から見られている、恨まれている、笑われてるという意識があの家族に常に張り付いているんですよ…そりゃ鬱になるよ、死にたくなるよ…。

#観劇 #セールスマンの死

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?