すごい進化
生物における進化は、有性生殖によって実現されることになります。無性生殖では、分裂、つまりコピーという手段で増殖してゆくので、変化は突然変異により実現されます。
最適化ではなく、適応をおこなっているだけ、ということですね。生存にとって不都合な遺伝を排除している、だけなのです。生存にとって不都合であるとは、生き残る可能性が低く、すなわち子孫を残す可能性が低い、からです。
そして、進化におけるメスの選好の役割について以下のように述べられています
どうやら、進化においてはメスによる選好が重要で、そして、メスの「好み」も遺伝されるようです。
再び、有性生殖の優位さ、についてみててみましょう。
二倍のコストというのは、無性生殖では単独で増殖できるのに有性生殖ではメスとオスの二個体が必要とされる、ということです。そして「仕方なく有性生殖」といわれているように、効率的ではないのです。
無性生殖をメスだけによる増殖とすると、この場合オスは必要ありません。やがて、有性生殖のためにオスが必要とされ、それが常態である種が定着するようになります。
しかし、増殖をになうのはメスであり、メスにとってオスの存在は厄介なものでしかないでしょう。生殖のために仕方なく選んでいる、とも考えられます。
生存に有利なオスは、積極的にメスに好かれているのではなく、拒まれる可能性が低い、という選好が働いているのかもしれません。
鈴木紀之『すごい進化 「一見すると不合理」の謎を解く』中公新書 2017
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