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木下康介の学習と集中力 J1第10節vs柏レイソル マッチレビュー

ホームで今季ワーストの試合を繰り広げた日から1週間。
「4.23を忘れない」が標語になってるみたいですが、言葉ではなんとでも言える。口ではなく行動で見せてほしい。

前後半の開始と終了間際そして得点直後の5分。
サッカーにおいて集中が切れがちで得点が動くこの時間帯に、サンガは大きな問題を抱えています。
今日のポイントここがどう改善されているか。

中身を見ていきましょう。

サマリー

前半

いつもどおりに開始早々からハイプレスで圧力をかける京都。偶然にも前節同様の時間帯で、同じ形で得点。左からの平戸のクロスを受けた豊川が右足を振り抜くとDFの股間を抜けたシュートが突き刺さる。

前節の轍を踏まない...といきたいところでしたが、切らすクセは改善されず。得点直後にクイックで始めた柏のCKに付いていけずピンチを作られるなど不安な展開。

とはいえ前節と違うところは最後の最後での踏ん張り。若原・麻田を中心にエリア内で締めるところを締めて失点を許しませんでした。

後半

開始早々にフリーで相手左サイドバックにクロスを上げられてしまい、対応ミスも重なって失点。スペースの作り方や拙いクロス対応といい、こちらも前節と似たような形となりました。

風上のアドバンテージを活かしたロングボールでリズムを握った前半と変わり、風下へ移されたこともあり苦しい時間が続きます。
中盤を安定させるために3バックへ変更。切り札となる選手を投入。
など手を尽くしますが、決定的な場面を作るに至らず。

痛いとはいえ、内容を考えると妥当なドローに落ち着きました。

前半戦における下位チームとの試合はあらかた終わり、ここからは川崎・マリノス・広島が待ち受けています。運動量に陰りも見えてきていて、率直に心配になる試合でした。

PickUpポイント:木下のインテリジェンス

得点直後のCK

得点後には特に集中して対応する。集中が切れるタイミングの危険性は前節で得た教訓でしたが、今節も危険なシーンを作ってしまいました。

得点から7分後のセットプレー。サンガの集中が切れていることを察知した柏の選手はショートコーナーを選択します。

不意を突かれたサンガの選手はプレッシャーに間に合わず。ペナルティエリア付近で2対1の状況を作られてしまいました。

柏の選手としては
・ドリブル
・利き足でシュート
・利き足でクロス
の選択肢があり、キックの選択肢もニア・ファーサイドどちら選べる最高の状況に。サンガとしては危険極まりないシーンでした。

ハイボール対応で長身FWに上から叩かれるのは、埋めがたい体格や身体能力の差によるところがあり仕方ない点もあります。
ですが「ボール/マーク対象から目線を切らない」は集中力の話であり、自身でコントロールできる領域です。

空中戦以前のところで決定機を作られている。
しかも、喉元過ぎればどころか、気を抜くことの危険性を実感したばかりの試合で集中の欠如が発露してしまっているのは厳しい。
そう思わされる残念なシーンでした。

繰り返さない木下

一方で、後半の開始早々に訪れたワンシーン。

京都の選手がまた目線を切っていることを察知したレイソルの選手が、再度ショートコーナーを選択しようとする場面で前半との違いが出ます。

木下が声を張り上げ、身振り手振りも交えてマークを指示。
アラート状況を察知した他の選手が駆け付け数的不利は作らせず。

ハイライトには出ない地味なところですが、同じ失敗を繰り返すまいとチーム全体に目を配る木下のインテリジェンスと視野が光ったワンシーンでした。

チームトップクラスの走行距離。FWの選手ながら守備への意識が高いことは知っています。加えて、ボールに直接関与せずともチームに影響を与える動き。

「チームを勝たせる」は自分が全て処理する必要はなく、人を気付かせ動かすことでも達成できるのだと感じさせられます。

エリア内に人が足りているのに、クロスのたびに慌ててDFラインに吸収されバイタルを空けてしまう中盤。特にチームの勝敗に責任を負う(と位置付けられている)川崎颯太。
チームの模範になる木下の振る舞いから学んでくれればなあと感じました。

「気を付ける」で解決すれば苦労しない

気を付けるだけなのだから気を付けてほしい…と書きましたが。
メンタルはもちろん集中力もスキルのひとつです。「頑張って気を付けます」ですぐ改善されるなら誰も苦労しません。

要所要所で緩まないどころか、選手が自発的に締められる全盛期のアントラーズの選手。
「2点取られてからが本番やろ」と、動じないどころか火が付く全盛期のガンバの選手。

人間、こんな集中力やメンタルは最初から持ち合わせていません。試合とトレーニングを積み重ねた実績があり、実績に裏付けられた自信と歴史により生まれるものです。

本当の意味での「積み重ね」を始めたのは2021年(チョウさん就任)であるサンガにとっては重たい話です。改善されるまで時間がかかるのだろうなあと覚悟しています。
しかしながら、木下一人の個人レベルでとはいえ改善された事実が嬉しい。

珍しく個別のプレーを取り上げています。
全体の観点で書くことが少なかったのもありますが、あまりにも強く印象に残ったのでフォーカスしてみました。

木下は走りでも貢献してくれました

個人評価

今日は良かった選手だけ。

先発

GK 1 若原 智哉
日を追うごとに増す安定感。次節は上福元との直接対決ですが、京都の守護神は自分になったことを知らしめる絶好の機会です。出番は多くなると思うので頑張ってほしい。

DF 3 麻田 将吾 ★MAN OF THE MATCH
90分通して出色のハイパフォーマンス。地上戦・空中戦ともに力強く安定。好調の細谷を的確に押さえ続け、途中から出てきたドウグラスに何もさせませんでした。自信なさげにプレーしていた前節までの麻田はどこに。川崎戦に向けた最大の好材料です。

スタッツも抜群です

MF 33 三沢 直人
後半大いに失速しましたが、前半は競り合いやサイドチェンジで良いアクセントになっていました。アンカーが合ってそうな気配を感じます。あとは試合出場を増やしてコンディションを上げるだけ。

FW 23 豊川 雄太73'
らしい動きで3試合連続ゴール。守備で走り前線での起点にもなり、これ以上ないパフォーマンスでしたが、勝ちに結びつかず…。交代後のプロフェッショナルな振る舞いがステキです。

控え

DF 24 イヨハ 理 ヘンリー57'
素早い出足と正確なフィードで存在感を出していました。途中交代のDFでこれだけ違和感なくやれるのはすごいの一言。


内容は以上です。
もう明日は川崎戦で、4日もすればマリノス戦ですね。レビュー書くのが大変ですが頑張ります。

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最後までご覧いただきありがとうございました!

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