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積み上げた7年vs無駄にした7年 J1第12節vs横浜・F・マリノス マッチレビュー

試合サマリー

前半

サンガは珍しく頭から3バックを採用。前年王者相手に3-4ー3へシステム変更し、大きくメンバーを変えて挑むチャレンジを試みます。

前線から積極的にハイプレスで襲い掛かり、パトリックへのロングボールを軸に組み立てる狙いはいつもどおり。

「何をやるか」はいつもと同じでも、並びが違えば「どうやるか」は変わります。一例としてプレスのチャレンジ&カバーの役割。
普段はCHがチャレンジ・SBがカバーでしたが、この日はSBがチャレンジ・CHがカバーと役割が変わります。

言うは易しですが相当な違いです。とはいえ違和感なく対応できていた点は良い意味の驚きでした。 陣形が変わった程度で強みが揺らがないのは素晴らしいこと。成長と成熟を感じました。

しかし、しかし。
こちらが良いパフォーマンスを見せても、マリノスの技術がそのはるか上を行きます。豪雨と言ってよいほどの雨と濡れたピッチでもテンポ良くボールを動かせる技術の高さ。剥がされて後追いになりファールで止めざるを得ないシーンが多発します。結果的に多くのカードを受けてしまいました。

9分と早いうちにCKで失点。マーカーの井上は西村に完全にやられてしまいました。アピールしていましたが、贔屓目に見てもポジション争いの一環で片付けらてしまうやり合いでした。

とはいえめげないサンガは少し立て直し、単発ながらチャンスを作り前進するシーンを見せます。前半終了間際に相手のミスを拾い右で深く侵入、こぼれたところを福田が叩き込み同点で前半を終えることに成功します。

後半

もしかするともしかするかもしれない。
そんな期待は5分と持たずオウンゴールで勝ち越しを許します。目測を誤った麻田以前のところで、人数が揃い切っているのにノープレッシャーでマテウスに蹴らせてしまった荒木のポジショニングは痛恨でした。

ここからは完全にマリノスペース。
めげずにハイプレスを再開しますが、奪うどころか自由を制限することすらできません。

FW1枚ではマリノスのDF2枚で簡単に剝がされてしまう。
ならもう1枚追加して2対2だ。これも剥がされてしまう。
じゃあ数的不利を作るリスクを負ってでも3対2にして勝負だ。やっぱり剥がされて後ろの枚数が足りずさあ大変。
こんなつらい状況が何度も出現してしまいました。

もう相手のプレーに舌鼓を打つしかありません。ピッチ上の選手は無惨に諦めるわけでもなく、一矢報いてやるとの気持ちを感じさせる戦いを見せてくれてましたが、崩され奪われ2点を献上。

最終スコアは1-4の大敗。内容と結果共に埋めがたい差を感じさせられてしまいました。
フロンターレ相手にある程度やれた直後だったこともあり、気持ちの立て直しが難しい結果です。

埋めがたい差を作ったのは

分岐点の2013年

2013年のサンガとマリノス。
サンガはプレーオフ決勝で敗退しJ1の夢が潰え、マリノスは勝てば優勝のラスト2節で勝てず優勝を逃しました。
舞台は違えど、シーズン最終盤に大切で代えがたい結果を失いました。

大きな挫折を味わった2チームですが、そこからの歩みは対照的です。

目の前でJ1優勝が滑り落ち、翌年は7位と低迷したマリノス。
CFGとの提携をスタートし迎えた転換期。中村俊輔や中澤といった相次ぐ主力選手の退団やまさかの残留争いなどの大きな混乱を迎えます。

しかし、転換期乗り越えたチームにはオリジナリティ溢れる攻撃的な戦術が浸透。獲得した選手も軒並み活躍しJ1優勝するなど、積み重ねがまさに花開きました。

ビジネス面においても、eスポーツやチーム密着ドキュメンタリー動画、CFGを通じたグローバルスポンサーの獲得など、J1の中でも先進的と評価される取組みや姿勢を見せています。

対してサンガはどうでしょうか?

2013年に2年続けてのプレーオフ敗退を経て、呼ばれてきたのは越権口出しおばさんを連れた謎のブラジル人おじいさん。定着しかけた若手抜擢とパスサッカーどころか、大木監督で培った全てを放棄。

その後は「チームの雰囲気が良さそうだった」「強化部が満場一致でリストの最上位に選んだ」と謎のロジックで、経験が浅いどころか未経験監督を招へいし、迫りくるJ3。

数少ない結果を出した石丸監督はあっさりクビ。
素晴らしいサッカーを展開した一三氏も煙たい存在と感じクビ。
なんとなく昇格させた實好さんも一年でクビ。

伊藤社長・チョウキジェ監督が揃い、ようやく組織としての体をなして、正しい方向に向いて前に進み始めたのは2021年。
そう、たったの2年前なのです。

チョウキジェ体制3年目で「こんな内容か」と怒る人の気持ちも理解できます。

でも、今のJ1は5年〜10年スパンで積み上げ続けたチームが沢山います。しかもその積み上げにはサンガ以上の資金力まで伴っています。
差が出ない方がおかしい。
(とはいえブーイングされるのは妥当と思います)

我慢は必要と分かっていも

2014~2020年のサンガの7年の月日は「ムダ」と考えています。

考えようによってはメリット...とが一切ない、純粋で澄み切った一点の曇りもない無駄。
多くの月日を無駄にしてJ1上位との差を生んだのは自分たちに他なりません。

起きてしまったことは仕方ないにせよ、埋めるために相当な努力と時間が必要なことは理解すべきでしょう。根気が必要です。

そう、根気は必要なのですが...。
人間、先が見える我慢には耐えられても、先が見えない我慢はそう耐えられるものではありません。

ゆえに長期的な展望・目標や見通しを示す必要があるのですが、監督の口から「タイトル争い」と出るだけで、クラブからは何の説明もありません。

「我々が目指すところはここで」
「たどり着くために障害となるものはこれで」
「その障害をこうやって乗り越えていきたい」

シンプルにこの3点が聞きたいだけなのですが。
ジョブズのようなプレゼンや、コンサルファームの職人が作る説明パワポを求めているのではなく。
この程度であっても、期待する我々がおかしいのでしょうか。

チームを構成する監督や選手は成長を見せてくれています。
「株式会社京都パープルサンガ」も、選手たちに見合った成長をしてくれているのでしょうか。

個人評価

今日は気になった選手だけ

DF 20 福田 心之助74'
得点・失点の双方に絡んで存在感を発揮。劣勢に立たされてもめげずに上がって戦う攻めるメンタルの強さが素晴らしい。大卒新人の起用を鹿島とマリノスに当てるマネジメントは疑問です。

MF 25 谷内田 哲平61'
自分も動いてボールも動かせる貴重な存在であることを示していました。チームに欠けている部分にハマるピースだと思っているのですが...。なかなか頭からの出番が回って来ず難しいところ。

レビューの内容は以上です。
試合内容の言及が少ないのは仕方ない。

結局去年と同じような成績どころか、昨年を下回りかねない成績になってきてしまっています。
こんなタイミングで相見えるのが絶賛不調中のセレッソってのが巡り合わせを感じさせますね。

お天気は悪そうですが現地に行きますし、我慢の時と言いつつ勝ちが見たい私です。
「結果って大事だな」をひしひしと感じます。

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