見出し画像

若原の不運 チームの実力 J1第13節vsセレッソ大阪 マッチレビュー

試合サマリー

前半

スタート時点からサンガのパスがテンポ良くつながり、相手陣地へ侵入していくことができました。
攻撃は「足元でのビルドアップ」で、守備は「被カウンター時のリスクヘッジ」がメインとなり、今までの試合と違う展開に。
良くも悪くもサンガらしくありません。

ボールを「動かしている」とも「回させられている」とも取れる展開。
セレッソの狙いも明確でカウンターからのサイド攻撃を受けるところで、先制を許してしまいます。

狙われている豊川に楔を入れたところでカットされスローインに。
マイボールかどうかの微妙なボールの扱いに悩んで集中を切ったタイミングで裏に抜けられ、クロスをフリーで触られてしまいゴールに向かったボールが若原の背中に当たってゴールイン。

パスの選択肢ミスから集中を切って裏取りを許した井上、アピールに必死で戻れない白井、直前で奥埜を話した川崎。
たった10秒の間にこれだけミスが重なればそりゃ失点するよ。と思わされるシーンでした。若原にとっては不運ですがチームとしては完全に実力が出た失点です。

開始早々のジンヒョンのキック対応もですが、クイックリスタートで毎回毎回マークを外しているようでは話になりません。
ただのサンガの悪いところ詰め合わせです。

ここからはいつものサンガに。
ハイラインを維持し中盤のスペースを埋める相手に対して、足元でのパスを続けますが崩れるはずもありません。裏が空いているシーンはあったのですが。
左右へ揺さぶるボールもいわゆる各駅停車で、セレッソの守備スライドで対応されてしまいます。武田の不在を強く感じました。

後半

後半から入った谷内田・金子が存在感を見せ、ポゼッションの質が向上。前半のようにブロックの外周を回らせられるだけでなく、ブロックの内側に侵入し崩すことでチャンスを作ります。

対するセレッソは、前半同様にカウンターでのサイドアタックでチャンスを作ります。何度か決定機になりますが運も相まって0で耐えることができました。

チャンスっぽいシーンは何度か作るものの、キムジンヒョンを脅かせたシーンが何回作れたかというと、ほとんど記憶にありません。

最後は頼みのパワープレーに打って出ますが、精度を欠きチャンスにも至らず試合終了。足元に慣れた感覚をぬぐえなかったのでしょうか。

予想していた「ハイプレスvsハイプレス剥がし」が生まれる場面は限定的で、サンガにリズムを作らせたくないセレッソの狙いが良く伝わりました。
ルヴァンでの連敗がよほどこたえたのでしょう。
白井が上がれば毎回2枚に張り付かれるなど、徹底した対策も感じられました。

5戦勝なしの3連敗。重たい。

PickUp:課題と向き合えているか

弱みと向き合う

サンガにしては珍しく、それなり繋げた試合でした。
収穫はありましたが、収穫に対して「ミドルサードで停滞しアタッキングサードで手詰まりになる」課題も見えました。

それではここを深掘り...はしません。
枝葉の話になるからです

想像以上に足元でつなげて「おっ」「いいんじゃない」と思わされましたが、本当にこれで良かったのでしょうか。

手を変え品を変え色んなことにチャレンジしていますが、明確かつ大きな問題である「セットプレー守備」「集中が何度も切れる」「バイタルがら空き」へのアプローチは、どこに行ってしまったのでしょうか

新しいことにチャレンジするのは歓迎です。
このままではいけないとの危機感を持ってるのも感じています。
しかし、既存の課題が解決されていないのに新しいチャレンジに目移りばかししているように見えてしまいます。

新しいことを始めれば、それなりな収穫とセットで課題が付いてきます。

今回で言うなら収穫は「それなりに回せた」であり、課題は「取られてからの切り替え」「アタッキングサードでの崩し」です。

守備で致命的な欠陥を多数抱えているこの状況で、課題を自ら増やして対応しきれるのでしょうか?
次の試合までたった1週間しかないのに?

勝利に向けた最善手が「深いところから組み立てるパスワーク」と考えてそれを選択したのであれば何も言いませんが、そこまでの深い考えは感じられませんでした。
(万が一にもないと思いますが、サポーターからのブーイングの原因をパスワークの拙さと勘違いしているくだりが戦術の採用と関係しているのであれば、許容し難い過ちです)

強みと向き合う

東京・湘南・横浜FC相手に輝いた、左サイドバックへの集中ハイプレス。山田と白井の連携を活かしたダイナミックな崩し。
神戸戦で初瀬に完封されてからは一度も見ていません。

ガンバ相手に劇的な勝利を生んだ、前半耐えて後半パウパトで決める必殺パターン。
機能せず敗戦となったフロンターレ戦で見納めになりました。 

鳥栖戦では自分たちでボールを動かそうとして途中まで形になりましたが、安い失点を喫してチームが崩れてからは影も形もなくなりました。

せっかく形になりそうな取り組みを、一度負けるたびにスクラップ&ビルドしています。

一度成功したからといって正しいとは限らないように、一度負けたからといって過ちではありません。
何を軸にするのか悩んでいるにせよ、毎試合手を替え品を替え新しいことに手を出し過ぎですし、良かった部分まで捨てる必要はありません。
そこそこ繋がったパスワーク、次戦ではどうなってるのでしょうか。

攻撃面で結果が出ていないこと以上に、チームの道筋が見えていないことが何より大きな問題です。

私のTLで「採用されていない選手の名前・配置・フォーメーション」や「他チームの戦術への羨望」の話題が増えていることと、チームが目指す攻撃スタイルが頻繁に変わってしまっていることは、無関係ではないと考えています。

結果と向き合あう

自分たちが歩いてるこの道は正しい道なのか?
取り組みに疑問を持ってしまい、自信を失った組織の瓦解は驚くほどに早い。
(皆さんも経験があると思いますが)

シーズン序盤に「こんなにパスが繋がるなら結果は後回しでいいか」とサポーターが語っていたチームがあります。ポゼッション志向に切り替えたそのチームは、監督解任の危機に瀕しています。

他チームを見ていても、結果に無関心でいられる組織などこの世に存在しません。本当のギリギリまで追い詰められて正しい判断はできないのです。

まずは良かった時に立ち返り、結果の呪いから解き放たれて欲しい。
新しいことへのトライは、正しい判断とチャレンジのためのゆとりを得てから考えるのだっていいはずです。

チームが長期的な展望を出してくれれば、こんなにも目先の結果に振り回されることはないのですが。

「今年は残留が目標であり、来年以降の降格枠3枠を耐えるための土台とする年だから我慢の年になる。」

正直にそう話してくれれば、こちらも耐えられます。
なのに。
監督の口から出てくるのはなんの根拠もない「タイトル」であり、チームに至っては説明することすらしない。
マリノス戦のnoteでも書いた話ですが、根深い問題がここに詰まっています。

個人評価

今回も良かった選手だけ。

DF 3 麻田 将吾
守備の安定感に加えて相手を揺さぶる長短のパス。完全にトップフォームを取り戻しました。崩した時期に井上に支えられたのであれば、次は麻田が崩れた井上を支える番です。

MF 44 佐藤 響
遂に「白井が下がって佐藤が残る」のパターンが実現しましたが、納得のパフォーマンスです。裏を狙い続けるクルークスに負け切らず、ビルドアップでは止めないどころか剥がして動かして起点にもなっています。3月に見せていたプレーと比べると同一人物に思えないのですが...。

FW 23 豊川 雄太
無得点にもかかわらず久しぶりのフル出場。得点の匂いを漂わせる貴重なプレーを披露してくれました。開始5分で分かるほどにコンディションの良さが感じられます。継続してほしい。

MF 19 金子 大毅66'
落ち着いてボールを大きく動かし後半のアクセルに。川崎を一枚前に出しても後ろが不安にならない良い動きでした。練習で見せるデブライネのようなシュートが試合中で見れるのを楽しみにしています。

MF 25 谷内田 哲平46*'
押し込む展開では誰よりも輝けることを示しました。「ずっとコンディションが良い」のコメントには色んなメッセージが込められているのでしょう。分かりやすい結果を出して定位置確保を。

内容は以上です。

勝っていた時期は浮かれて調子に乗り、サンガの正確な位置を見誤ってしまっていました。
勝ちより負けから学ぶことの方が多いと言います。
他チームではなく自チームに、小手先の施策ではなく本質に向き合って、チームが好転してくれることに期待しています。

以上です。
記事が良いなと思った方、いいねやRTお待ちしています。「参考になった」のコメントも励みになります。
最後までご覧いただきありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?