『ゼンディカーの夜明け』ChampionShip直前!!勝手に見どころ解説!!
みなさんこんにちは。(お久しぶりです)
さねとみです。
月日が経つのは早いもので、前回のNoteを書いてからもう3か月以上経ってしまいました。
その間僕は実質プロツアーである『ゼンディカーの夜明け』ChampionShipに出ようとしたり、『ゼンディカーの夜明け』ChampionShipに出ようとしたり、『ゼンディカーの夜明け』ChampionShipに出ようとしたり、日本選手権に出たりしていたのですが、その全てで失敗してしまい今に至ります。
このままボケーと右手にピザを、左手にコーラを持って『ゼンディカーの夜明け』ChampionShipを眺めているのも悔しいので、今回は『ゼンディカーの夜明け』ChampionShip(長いので以下ZRC)の見どころ、つまりは今のスタンダードとヒストリックはどんな環境で、どこら辺に考えどころがあるのかを書きながら、それを踏まえた上で今回の勝ち組デッキを予想したいと思います。
ZRCを見る人がこの大会を楽しむ際の一助となれば幸いです。
なお、スタンダード・ヒストリック共に簡単まとめの章を作ってあるので、全文読まずそちらを読むだけでもふんわりわかるかなーと思います。
1.変化するスタンダード!うわっ・・・、私のグルールアドベンチャー、古すぎ・・・?
さて、まずはスタンダードから。
皆さんはスタンダードについて、どういう感触を持っているでしょうか。
MPL・MRLによる苛烈なリーグ戦は1週目・2週目共にスタンダードで行われたわけですが、1週目のリーグ戦を日本勢が華々しくグルールアドベンチャーで駆け抜けた結果、2週目はグルールが使用率40%越えの一大トップメタに躍り出るという結果になったことが記憶に新しいと思います。
別に何か禁止が出たわけでもないし、今もなおグルールがトップメタだと考えているあなた、その考えは少し古いかもしれないですよ・・・。
(出典:https://mtgmelee.com/Tournament/View/4256#standings)
例えばこれは、直近(11/30)にスタンダードにて行われた、SCGのカルドハイムチャンピョンシップ(実質プロツアー)予選のメタゲームブレイクダウンです。
グルールアドベンチャーは以前として使用率2位の位置につけていますが、そのグルールを際し置いてティムールランプが1位に、同率2位に緑単食物が存在していることが分かると思います。
このプロツアー予選に出るためには、その前にプロツアー予選予選を勝ち抜かなければいけないのですが、その予選から本戦までの使用率上位のデッキを纏めたのが次のグラフです。
これを見てもわかるように、今やスタンダードの中心をひた走るのはティムールランプであり、グルールは良くて環境の2番手、もしくはそれ以下のデッキになってしまっているのです!
何故このようにメタゲームが動いているのかについては、MTG日本公式にて原根健太御大が連載しているスタンダード・アナライズに詳しいので、是非こちらをご精読ください。
超乱暴に簡略化すると、「構造的にグルールを倒せる強いデッキだから」ということになります。
2.イカれたデッキを紹介するぜ!スタンダードの主役たち!
デッキ名だけ書かれても、どんなデッキが知らんのやが?という人も多いと思うので、簡単に今のスタンダードの主役たちを紹介していきます。
2-1.ティムールランプ
(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/76126)
先ほど環境のトップメタに躍り出たと解説したティムールランプです。
少し見にくいのですが、≪獲物貫き、オボシュ≫が相棒として採用されています。(剣は入っていませんが弱くありません)
個人の主義主張によりデッキ枚数が64枚だったり60枚だったりする不思議な面を持ったデッキでもあります。
ティムールランプと言いながら、軸はティムールアドベンチャーであり、アドベンチャーとしてミッドレンジに戦うもよし、2種の土地加速手段から根本原理を叩きつけるもよしと、欲張りなデッキになっています。
2-2.グルールアドベンチャー
(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/79687)
皆さんご存じグルールです。
リーグエンドウィークの2週目から大きな変化はないのですが、追われる立場から追う立場になったということで、≪探索する獣≫を多く取っているリストが勝つようになったかなという印象を持っています。
これは、後述しますが、グルールの強みである≪エンバレスの宝剣≫を意識した結果だと考えられます。
2-3.緑単食物
(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/80017)
リーグエンドウィーク2週目で頭角を現し、そのままTier1に居座っているデッキです。≪カザンドゥのマンモス≫や≪恋煩いの獣≫、またはマナクリや≪ギャレンブリング城≫から早出しされる≪貪るトロールの王≫を絡めたビートダウンデッキでありながら、
≪金のガチョウ≫、≪パン屑の道標≫に代表される食物シナジーでアドバンテージを取れることで粘り強く戦えます。
緑単色なのにできることが多すぎるのでは?と訝しみたくなるデッキです。
2-4.ローグ(蟹)
(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/79923)
お馴染み蟹型のローグです。
私の中では、蟹型のローグは長期戦を見据えたローグということになっています。4枚引いて除去って4枚引いて除去ってを繰り返すイメージ。
LOを勝ち筋に数えられる分、攻め筋が多角的でもあります。
2-5.ローグ(ザレス)
(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/79685)
グルールを倒すべく進化した(ということになっている)新しいローグの形です。
だらだらする蟹型のローグに比べると、隙あらばザレス=サンでアンブッシュを仕掛けるぞという、殺意増し増しなプランになっている為、より攻撃的なローグと私の中では整理されています。
ラダーだと≪夢の巣、ルールス≫の有無で蟹型かザレス型か判別がつきますが、個人的にはザレス型の方が相手をしていて嫌な気持ちになります。
2-6.青黒コントロール
(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/79665)
これは比較的新しいデッキかなと思います。
最近流行を見せている青黒コントロールです。
これまであまり日の目を見ることのなかった青黒型のヨーリオンコントロールで、ヨーリオンのブリンク先として≪半真実の神託者、アトリス≫など珍しいカードが採用されています。
ティムールランプへのカウンターとして頭角を現してきていると(個人的に)予想されています。
3.スタンダードの合言葉は『大きな栗の木の下で』!
さて、環境の主役たるデッキを紹介したところで、各デッキの関係性を見ていきましょう。
まず環境のトップであるティムールランプ、緑単食物、グルールアドベンチャーですが、これらのデッキにはとある共通点があるということにお気づきでしょうか。
(This is the best deck of standard)
そう、これらのデッキはいずれも、所謂「グレートヘンジデッキ」なのです。
リーグエンドウィークで日本勢が世に解き放ったジャパニーズグルールですが、このデッキは世に与えた一番の影響は≪グレートヘンジ≫というカードの強力さだったと言ってもいいでしょう。
いくつものデッキが存在するかのように見せかけておいて、スタンダードのデッキは≪グレートヘンジ≫デッキとそれ以外に大別できると言えます。
なお、そんなグレートヘンジデッキ内の相性はこんな感じ。
ティムールランプ→緑単フード→グルールアドベンチャーという見事な三すくみ。
但し、グルールアドベンチャー→ティムールランプだけは、相手も存分に干渉してくるため、大きく有利はつかないといった模様です。
また、どのデッキも不利な相手にほぼ勝てないほどの相性差があるというわけではなく、妥当しうる展開が存在しています。
書いてはいませんが、「一方的なグレートヘンジ定着」は、どのデッキも持っている勝ちパターンの一つです。
この「一方的なグレートヘンジ定着」こそが、これら「グレートヘンジデッキ」が抱える強みでもあり弱みでもあります。
グルールアドベンチャー以外は≪厚かましい借り手≫や≪打ち壊すブロントドン≫など≪グレードヘンジ≫をバウンスして一手ずらしたり、破壊するカードを持ってはいますが、対処に回っている時点で確実にペースは持っていかれているわけで、基本的に先手側が4t目に≪グレートヘンジ≫をプレイできないことを祈る他ありません。(グルールミラーであればなおさらです)
「グレートヘンジデッキ」を使うプレイヤーが、相手からプレイされる≪グレートヘンジ≫が苦しいという点をどのように解消するのか、しないのかは、ZRCの見どころの一つかもしれません。
また、注意しておきたいのが、グルール→ティムールランプだけは明確に有利と言いにくい為、この3つのデッキではティムールランプが比較的優位なポジションにあるということができそうという点です。
これは、先に乗せたメタゲームの変遷でティムールランプが不動の使用率1位をキープし続けていることにも、結果として表れていると考えています。
本来であれば、グルールが咎めるべきであろうこのティムールランプ優位の現状を、グルールが打破できるのかもZRCの見どころですね。
一方で、これら「グレートヘンジデッキ」を倒そうとする勢力もいます。
そう、ローグと青黒コントロールです。
≪グレートヘンジ≫をプレイさせない一番簡単な方法は何かといえば、その種となる≪恋煩いの野獣≫や≪カザンドゥのマンモス≫を除去してしまうことでしょう。
但し、この「除去で≪グレートヘンジ≫を着地させない」というコンセンプトには大きな落とし穴があります。
というのも、これは古事記にも書いてあるマジックの黄金律なのですが、基本的に押し付ける側と受ける側では押し付ける側の方が有利なのです。
というのも、押し付ける側は勝ちに向かうアクションをしているのですが、それを受ける側は別に勝ちに向かっているわけではありません。
受ける側は、相手の攻め手を捌いて、相手が息切れしているうちに攻めに転じるという2つのステップが必要となるわけです。
一方、押し付ける側は勝ちに向かってアクションし続け、受け側が受け損ねたら勝ててしまうわけですからね。
それに加え、プレイヤーの力量が上がれば上がるほど「いかに受け側が受けられないように攻め続けられるか」という観点で攻めてくるわけですから、もう受ける側はたまったものではないというもの。
こういった理由から、青黒系はマジックの文法的に不利な立場を背負うところからスタートしているといっても過言ではないと考えています。
それでも、青黒系は「グレートヘンジデッキ」のように相手が≪グレートヘンジ≫を着地させないことを祈るのではなく、「≪グレートヘンジ≫を克服する」ことをプランに織り込んでデッキを組んできているわけですから、期待してしまいたくなるのが性というもの。
しかし悲報なのですが、これら青黒系のデッキが全ての「グレートヘンジデッキ」を克服できているかというと、そういう訳でもないのです。
青黒系は、環境最多数であるティムールランプにこそ有利に立ち回れるものの、グルールアドベンチャーには5分、緑単フードには不利と、「グレートヘンジデッキ」毎に相性が違います。特にローグなんかは、環境初期から存在し続けているデッキである為、仮想的として見られたときの対策も知れ渡ってしまっています(≪アゴナスの雄牛≫を代表とする脱出クリーチャーや、≪漁る柔泥≫等ですね)
その点、青黒ヨーリオンは、最近頭角を現してきたデッキということで、まだ対策が進んでいないという可能性もあるのですが、現状の結果を見ると、緑単食物を苦手としているようです。
いきなり暗雲が立ち込めている感がありますが、それでも、「グレートヘンジデッキ」内で優位=使用率最多となる見込みの高いティムールランプに有利に立ち回れるという点で、青黒系デッキは台風の目となる可能性が捨てきれません。
逆を返せば、「グレートヘンジデッキ」内でティムールランプに一歩差をつけられているグルールアドベンチャーや、緑単食物を選択する理由がここにあるわけですね。
ここまでの話を総括すると、スタンダードの概況はおおよそこのようになりそうです。
原根さんのスタンダードアナライズにもありましたが、どのデッキも苦手とするデッキが存在する為、メタゲームのシェアを読み、いかに有利な相手と多く当たれるデッキを選択するか、そして、いかに苦手な相手を取りこぼさない構築にできるかが重要になってきそうです。
その上で、今回の台風の目になりそうなのは青黒勢力、特に青黒コントロールの占める割合ではないでしょうか。目下トップメタであるティムールランプに対して明確なカウンターとなる青黒系がどれほど多いのか。
そして、青黒系の存在がちらつく中、ティムールランプを選択するプレイヤーは依然として多いのか。
ティムールランプが少なく、青黒系が多いフィールドでは、緑単食物やグルールアドベンチャーが活躍するかもしれないですよね。
本番のメタゲームから目が離せません。
4.勝ち組デッキ大予想(スタンダード)
これまでの内容を読んだ上で、皆さんであればどのデッキを選択するでしょうか。
周囲のプレイヤーがどこまでメタゲームを進めて考えるか次第な面も大きい為、非常に悩ましい問題だと思います。
私個人が、今回の勝ち組になるデッキを予想するとするならば、このデッキかなーと思っています。
(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/78652)
毎日夕方から配信を行ってくれるありがたい存在、NageさんがSCG予選#4にて5-1したグルールです。
≪探索する獣≫4枚、≪エンバレスの宝剣≫4枚という明確な殺意を感じる構築で、≪グレートヘンジ≫は1枚にまで数を減らしています。
グルールは「グレートヘンジデッキ」という括りではポジションが良くない為、≪グレートヘンジ≫を卒業して≪エンバレスの宝剣≫の子供になるというのはありな選択肢でしょう。
このグルールはいうなれば「宝剣でぶっ飛ばすグルール」。
他のデッキが想定しているグルールの速度を上回り、この週末を駆け抜けるのも夢じゃないと感じています。
というわけで、ZRCスタンダードの部のさねとみ予想はこんな感じ。
◎(本命):宝剣でぶっ飛ばすグルール
〇(対抗):ティムールランプ
×(穴) :青黒ヨーリオン
各プレイヤーがどういう選択をするのか、楽しみですね。
スタンダード超簡単まとめ
【環境】
〇グレートヘンジデッキが環境を支配
〇グレートヘンジデッキ内では、ティムールランプが優勢
〇ティムールランプを打倒すべく、青黒系デッキが登場。でも他のグレートヘンジデッキには駄目そう
【さねとみ予想】
◎(本命):宝剣でぶっ飛ばすグルール
〇(対抗):ティムールランプ
×(穴) :青黒ヨーリオン
5.カラデシュは本当にすごいでしゅ?進化したヒストリック!
ZRCは構築2フォーマットの大会。スタンダードと、もう一つはArena限定フォーマットのヒストリックです。
ヒストリックで最近あった大きな大会と言えば、2020ミシックインビテーショナルがあげられるでしょう。
誰しもが「上手すぎる」と漏らすしかなかった、セス・マンフィールド選手の優勝が印象に新しいこの大会において、ヒストリックにおける主要なデッキは、スルタイミッドレンジ・ゴブリン・ジャンドサクリファイスだという認識が世に広まったかなと思います。
しかし、ミシックインビテーショナルが行われたのは、「ゼンディカーの夜明け」と「カラデシュリマスター」が世に出る前、2つもエキスパンションんが追加されたのですから、環境が激変していることは疑いようがありません。
今のヒストリックがどのような環境なのか、スタンダード同様直近行われたプロツアー予選等の結果から探っていきましょう。
こちらは例によって、11/22・23の日程で行われた、SCGのヒストリックプロツアー予選(予選予選含む)の、主要デッキ使用率がどのように推移していってるかを纏めたものです。
これを見るに、ヒストリックは今もなお、スルタイミッドレンジ・ゴブリン・ジャンドサクリファイスだということが分かります。
カラデシュどこいった。
しかし、デッキリストも以前のまんまというわけでは、実はないのです。
この結果はある意味、もともと有力だったデッキが、新たにカードを手に入れた結果だということもできるのですから・・・。
6.進化したデッキ達!ヒストリックの主要デッキ紹介!
それでは、ヒストリックの主要デッキ達の中身を見ていきましょう。
6-1.スルタイミッドレンジ
(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/76016)
らせん!ウーロ!ニッサ!ハイドロイド!の流れはいつの時代も強すぎるということで、デッキの軸はそのまんまなスルタイミッドレンジです。
新たに手に入れたカードは、みんな大好き≪致命的なひと押し≫。
以前は≪取り除き≫などの、いわゆる裏目のあるカードを除去として採用せざるを得なかった枠が、すっきり(ほぼ)万能除去になっています。
本当にちゃんと紛争するの?という声が聞こえてきそうですが、≪寓話の小道≫と≪自然の怒りのタイタン、ウーロ≫でなんだかんだ紛争しますし、なんなら3t目ウーロから小道をセット、そのまま紛争状態で≪致命的なひと押し≫をプレイして相手を憤死させるなんてこともできます。
1マナというのは偉大です。
6-2.4Cスルタイ
(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/76746)
4Cミッドレンジと書かれることも多いこのデッキですが、私の中でこのデッキは4Cスルタイです。
というのも、見てもらえれば分かるように、このデッキはスルタイミッドレンジt≪鎮まらぬ大地、ヤシャーン≫です。
何故スルタイに≪鎮まらぬ大地、ヤシャーン≫がタッチされているのか。
まずはこちらの表をご覧ください。
(出典:https://twitter.com/mtg_data/status/1330865544136953856?s=20)
毎度おなじみ、MTG_Dataさんの勝率マトリクスです。
この表を見る限り、スルタイミッドレンジは、ゴブリンに大幅不利、ジャンドサクリファイスにも微不利、そして、ラクドスサクリファイスにべらぼう不利だということが分かるかと思います。
この相性差を埋めるためのカード、それこそが≪鎮まらぬ大地、ヤシャーン≫なのです。
サクリファイス系デッキに対しては言わずもがな、「プレイヤーは、呪文を唱えたり能力を起動したりするために、ライフを支払うことも土地でないパーマネントを生け贄に捧げることもできない。」という一文が突き刺さります。
ゴブリンに対しても、≪スカークの探鉱者≫を封じ、≪ずる賢いゴブリン≫から生み出される宝物トークンを置物にし、≪ファイレクシアの塔≫を無色ランドに変えます。これはつまり、≪上流階級のゴブリン、マクサス≫を6マナでプレイすることを強いるという意味でもあります。
ゴブリンはカードを引き増せるデッキではないので、この土地を6枚並べるという条件が意外と厳しかったりするわけです。
というわけで、スルタイが、苦手とするデッキを克服すべく進化した姿、それが4Cスルタイ。
実際にこの4CスルタイはPTQを優勝しており、今回のZRCでも使用者が多いのではないかと予想されているデッキではないでしょうか。
6-3.ゴブリン
(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/76236)
≪上流階級のゴブリン、マクサス≫の一枚コンボ、ヒストリック1『腕』の出るデッキでおなじみゴブリンです。
以前は赤黒や、青赤等の奇行種も存在したゴブリンでしたが、今では赤単に落ち着いています。
赤単ゴブリンと言えば、≪アイレンクラッグの妙技≫から3t目や4t目にマクサスを出して相手を憤死させることが長所の一つですが、最近は≪アイレンクラッグの妙技≫ではなく、カラデシュリマスターからの新戦力が採用される傾向にあります。
≪反逆の先導者、チャンドラ≫、通称神チャンドラです。
≪思考囲い≫が跋扈するヒストリックにおいて、実質マクサス専用の≪アイクラッグの妙技≫はリスクが高く、ハンドで腐ってしまうことも多々ありますが、この神チャンドラであれば話は別。
アドバンテージにマナ加速に除去に勝ち手段と、神の名に恥じぬ活躍っぷりを見せてくれます。
特に、二つ目のプラス能力であるマナ加速がデッキと非常に噛み合っており、チャンドラをプレイした次のターンにはマクサスをプレイできるマナを揃えてくれるという致せりつくせりっぷりです。
デッキの不安定だった面を安定させつつも、爆発力は落とさない神チャンドラによって、もともと強かったゴブリンはもう一段高みに上ったといっても良いでしょう。
6-4.ジャンドサクリファイス
(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/76735)
ひと昔前のジャンドサクリファイスは、≪戦慄衆の解体者≫や≪忘れ去られた神々の僧侶≫などの小粒クリーチャーを≪集合した中隊≫から繰り出してライフを攻めるアグロデッキでしたが、今では、≪パン屑の道標≫や≪フェイに呪われた王、コルヴォルド≫を採用しているミッドレンジ型が主流となっています。
これは、トップメタに≪致命的なひと押し≫を手に入れたスルタイが君臨していることで、アグロプランが通りにくくなったことと、後述するラクドスサクリファイスに対しより有利に立ち回れる形を求めた結果なのかなと考えています。
ちなみにですが、ジャンドサクリファイスにも≪反逆の先導者、チャンドラ≫を採用している形はあるみたいです。さすが神チャンドラ、赤いデッキならなんにでも入りそうな勢いですね。
6-5.ラクドスサクリファイス
(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/79367)
先ほどジャンドサクリファイスでも少し触れた、ラクドスサクリファイス。
以前は表舞台に存在しなかったデッキですが、≪屑鉄のたかり屋≫という強力なクリーチャーがカラデシュリマスターで加わったことにより、日の目を浴びることとなりました。
≪屑鉄のたかり屋≫の加入により、以前は≪大釜の使い魔≫を探したり、≪悲哀の徘徊者≫の脱出コストぐらいにしかならなかった≪縫い師の供給者≫がバリバリ活躍するようになったのも、面白いアップデートです。
また、SCGの頃は、≪真夜中の死神≫が採用されていることが多かったのですが、そのSCGで優勝したのが4Cスルタイであることを受けてか、このリストでは≪反逆の先導者、チャンドラ≫がメインから採用されています。
このデッキはとにかく≪鎮まらぬ大地、ヤシャーン≫が厳しい為、メインから対処できるカードをということなのでしょうが、除去として豪華すぎますよね。(文句なしに強いです)
6-6.青白オーラ
(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/76763)
2020ミシックインビテーショナルの頃から存在しているデッキです。
昔の青白オーラは、≪コーの精霊の踊り手≫に大きく依存したデッキであり、爆発力はあるものの、安定性に難のあるデッキでもありました。
そこにカラデシュリマスターから加わったのが≪上級建設官、スラム≫です。
5枚目以降の≪コーの精霊の踊り手≫を手に入れたことにより、安定度が格段に上がったオーラデッキは、環境のトップメタに一躍躍りで・・・はしませんでした。
理由としては、苦手とするサクリファイス系デッキが環境の上位に位置していることと、≪思考囲い≫が比較的多く打たれることでしょうか。
しかし、爆発力は凄まじいデッキですので、もし各デッキが意識しなくなるようなことがあれば、環境の隙をついて大金星を挙げる可能性を秘めています。
6-7.無色ランプ
(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/76912)
最後に紹介するのは無色ランプ。
カラデシュといえば、誰もが知っている通りアーティファクト次元。
数々の強力なアーティファクトが収録された結果、無色でもランプが成立するように・・・というわけではなく、デッキの核となっているのは寧ろこのカード。
ゼンディカーの夜明けにこっそり収録されている親和レアです。
無色マナを出すたびにマナが2倍になる、いわば無色デッキの≪世界を揺るがす者、ニッサ≫。
デッキの大半を占めるマナファクトから出るマナも2倍になる為、このカードをプレイした次のターンには、ウラモグをプレイして余るくらいのマナが出るわけです。
序盤はマナファクトを散らかして、後半はデカブツをたたきつけるという、シンプルで爽快感すらあるデッキですね。
7.混迷極めるヒストリック!ヒストリック環境とは?
主要な登場人物の紹介を終えたところで、ヒストリックがどういう環境なのかについて簡単に書いていきたいと思います。
ヒストリックは、まず2つのデッキから環境が始まっているといっても過言ではありません。すなわち、スルタイとゴブリンです。
ゴブリンは、ヒストリックという環境の「制限時間」を定義しているデッキです。すなわち、何の妨害もなければ4t目に≪上流階級のマクサス≫が出てきてゲームが終わるぞということです。
その為、4t目にゲームを終わらせる方法を持たないデッキは、基本的には何かしらの妨害要素をデッキに盛り込む必要があります。(ヒストリックで愚直なアグロデッキがあまり活躍しない要因の一つがここにあります)
そしてスルタイは、ヒストリックにおける中長期戦の頂点に位置するデッキです。≪自然の怒りのタイタン、ウーロ≫や≪ハイドロイド混生体≫によるアドバンテージと、≪世界を揺るがすもの、ニッサ≫による早期のクロック。
それらにつなぐための、いわば脇を固めるカードも≪思考囲い≫、≪成長の螺旋≫、≪致命的なひと押し≫と隙がありません。
攻めるデッキにせよ、受けるデッキにせよ、妨害をいかにいなし、このアドバンテージお化けをどう妥当するかを考える必要があるという訳です。
2つの異なる強靭さを備えたデッキ両方に対し、有利がとれるデッキなんてあるわけないじゃないか!そう言いたくなってしまうのも無理はありません。
では、片方だけなら倒せるというデッキならどうでしょうか。それであれば、何とかなりそうですし、実際何とかなるデッキは存在しているのです。
対ゴブリン特攻デッキ青白オーラと、対スルタイ特攻デッキ無色ランプです。青白オーラ、無色ランプ共に得意とするデッキには7割近い勝率を誇ります。(ちなみに青白オーラ対無色ランプは青白オーラが有利です)
しかし、苦手とするデッキに対しては、逆に7割近く敗北するという極端なデッキ。(特に、無色ランプのゴブリンに対する勝率は、マトリクス上8%・・・)
これら二つのデッキはとってもリスキーですが、狙いが明確な分、ヒストリック環境に潜む「地雷」としてZRCにも登場してくると思われます。
じゃあなんだ、ヒストリックは地雷を踏まないことを祈ってゴブリン・スルタイを使うか、もしくは、地雷を踏ませ続けるギャンブルに出るしかないのか?
という声が聞こえてきそうですが、実際ヒストリックは世紀末賭博場なのでしょうか。
そんなことはありません。
実は、ゴブリン・スルタイに対し有利に立ち回れる、いわば両取りデッキが存在するのです。
今回は、そんな美味しいデッキを1000円取らずに教えちゃいます。
そう、サクリファイス勢力です。
≪大釜の使い魔≫、≪魔女の竈≫、≪波乱の悪魔≫パッケージでいわばクロックと除去の両立を叶えているサクリファイス系のデッキは、ゴブリンとスルタイ両方を打倒可能なデッキです。
但し、≪初子さらい≫や≪忘れ去れた神々の僧侶≫などの除去パーツが欠ける分、今の構成だと、ジャンドサクリファイスはゴブリンに対して少し不利な様子。
じゃあラクドスサクリファイスが板デッキなのでは?という思うのも無理はないのですが、ここにラクドスとジャンドの相性差と、先ほどの対ゴブリン・スルタイ特攻デッキを加えるとこんな図になります。
なんて綺麗な円環、ヒストリックはいい環境だなぁ・・・。
そう、サクリファイス系の中では、ジャンドはラクドスに対して有利という訳です。
ということで、ヒストリックの環境はゴブリン・スルタイを軸として次のようにまとめることができそうです。
Phase1.スルタイ・ゴブリンが強い
Phase2.スルタイ・ゴブリンに優位がとれるサクリファイス系が良い
Phase3.サクリファイス系に優位がとれる無色ランプがいい
Phase4.無色ランプに優位がとれるゴブリンがよい
Phase5.ゴブリンに優位がとれる青白オーラがよい
Phase6.青白オーラが増えるならスルタイでいい
いや、ちょっと待てと。1~5はともかく、6はスルタイでなくてサクリファイス系でもよいのでは?
というか、よくよく見ると上の図、スルタイがフルボッコにされてないか?
と、察しの良い読者であれば気づいたのではないでしょうか。
そう、上の図では、ただスルタイがフルボにあって、環境から退場するだけのはず。しかし、現実にはそうなっていません。
何故なのか。実はまだ、デッキを紹介したのに上の図に乗っていないデッキがあるのです。
そう、サクリファイスを克服する為に誕生した、4Cスルタイです。
≪鎮まらぬ台地、ヤシャーン≫というサクリファイス系に対し劇的に効くカードをメインボードから採用することにより、4Cスルタイはサクリファイス系とのマッチアップを改善するにとどまらず、有利なマッチアップにまでもっていっています。
つまり、概況図に4Cスルタイを加えるとこんな状況。
先ほどのまとめを書き直すと
Phase1.スルタイ・ゴブリンが強い
Phase2.スルタイ・ゴブリンに優位がとれるサクリファイス系が良い
Phase3.サクリファイス系に優位がとれる4Cスルタイ、もしくはサクリファイス系とスルタイ系に優位がとれる無色ランプがよい
Phase4.4Cスルタイ・無色ランプが増えるなら、スルタイ・ゴブリンでよい
ということで無事1に回帰しました。(青白オーラの出る幕は、こう書くとありませんね)
フルボッコかに見えた純正スルタイですが、不純物がない分、4Cスルタイに強いというところがみそというか、環境をさらにややこしくしている要因でしょう。
ヒストリックは、スタンダードよりも相性差が明確である分、どのポジションのデッキを選択するかで明暗がはっきり分かれそうです。
直近のプロツアー予選優勝が4Cスルタイだったことに鑑みて、今はPhase3であるとみるのであれば、次はPhase4(Phase1)ということでスルタイ・ゴブリンが増えるかも知れない、いや、周りのプレイヤーも同じことを考えているという深淵理論に基づけば、Phase2に進んでサクリファイス系が多いのかも・・・。(以下無限ループ)
プロプレイヤー達が環境をどう読み、どのデッキを持ち込んでくるのか、今から楽しみですね。
8.勝ち組デッキ大予想(ヒストリック)
「混迷」という言葉が相応しそうなヒストリックですが、それでも勝ち組となるデッキを予想するのであれば、このデッキかなと思います。
(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/79367)
行動経済学かなんかの研究に、メタがぐるぐるしているときは、平均1階層程度先まで進むという研究がありますので、私は今回のZRCはPhase1.スルタイ・ゴブリンが強い(多い)という状況であると考えています。
そのフィールドであれば、ラクドスサクリファイスが優位なポジションにたてるでしょうし、苦手とする4Cスルタイに対しても、≪反逆の先導者、チャンドラ≫という明確なアンサーを手に入れています。
また、赤黒というカラーリング上触ることの難しいエンチャント系の墓地対策(≪安らかなる眠り≫、≪虚空の力戦≫ 等)が環境にほとんどないことも、このデッキにはプラス材料です。
というわけで、さねとみのヒストリック勝ち組予想はこんな感じ。
◎(本命):赤黒サクリファイス
〇(対抗):赤単ゴブリン
×(穴) :無色ランプ
但し、ヒストリックはカードプールが広大ですので、まだ見ぬデッキ(≪ドミナリアの英雄、テフェリー≫デッキとか)が出てくる可能性も全然あります。
スタンダードで新デッキの登場は望み薄だと思うので、ヒストリックには期待したいところですね。
ヒストリック超簡単まとめ
【環境】
〇スルタイ・ゴブリンが基本
〇上記へのカウンターとしてサクリファイス系が台頭
〇サクリファイス系を打倒する為にスルタイは4Cに進化、でも4Cはスルタイに不利なので振り出しに戻る
〇以下無限ループ
【さねとみ予想】
◎(本命):赤黒サクリファイス
〇(対抗):赤単ゴブリン
×(穴) :無色ランプ
締め
以上で今回の『ゼンディカーの夜明け』チャンピョンシップ直前!!勝手に見どころ解説!!はおしまいです。
私の目線で適当に解説している為、「いや、ここの相性はこうじゃないだろ」とか、「ヒストリックにこのデッキは欠かせなくないか?もしかして初心者の方ですか?」とかのご指摘があれば、是非お願いします。
宛先はこちら
以下は宣伝です、最近配信を定期的に行っています。
最近ぽつぽつ人が見に来てくれるようになり、以前の廃墟から、空き地くらいには進化しています。
配信内容はスタン・ヒストリック等構築中心ですが、たまにリミテも扱ったりしているので、是非見に来てくれると嬉しいです。
この記事に関する質問なんかもウェルカムです。
それでは、ご精読ありがとうございました!
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