東栄町・佐久間町・天龍峡の状況

東栄町
 2012年3月の浜松いなさIC-鳳来峡IC間の開通、同年4月の新東名高速道路の開通で観光交流が活性化し、特に静岡県方面からマイカーで奥三河を訪れる人が増えた。続く鳳来峡IC間-東栄IC間の開通による効果の上積みが期待される一方、全線開通後のストロー現象をはじめとするマイナス効果に対する懸念は官民ともに抱いている。
 昨年は新型コロナウイルスの感染拡大で祭りやイベントの大半が中止となり、観光面で大きな打撃を受けたが、夏から秋にかけては自然を求めて奥三河に観光客が殺到。東栄町の河川沿いは川遊びに訪れた家族の車で渋滞となった。
 基幹産業はかつて木材業だったが、林業の終息とともに急速な過疎化が進み、現在は第三次産業(2000年時点で48・4%)が最も多い。
 町が力を入れる移住・定住政策の成果も相まって商業、サービス業の新たな担い手が増え、都市部の住民に訴求力のある営業スタイルの店舗や宿泊施設が生まれている。 国内で唯一採れる化粧品の原料「セリサイト」(絹雲母)を生かした「ビューティーツーリズム」は、町の伝統神事「花祭」の思想「生まれ清まり」を根底に据えた観光事業。祭りや飲食店、温泉、自然環境などのコンテンツとの組み合わせによる域内経済循環が期待され、昨年11月21~25日に開いた体験プログラムはほぼ満員となった。 三遠南信道鳳来峡IC|東栄IC間の開通に対する民間事業者の期待は大きいが、町振興課は「人口が流出しないよう、魅力ある町の基盤づくりをさらに進めなければ」と強調。町は「幸せを実感できる最先端の田舎」を目標に掲げる第6次総合計画後期計画(2021~25年度)を官民連携で実現させる考えだ。
 人口は右肩下がりが続き、3月末で2998人に。長く維持してきた3000人を割った。転入者は一定数を確保しているが、2015年度以降は転出(社会減)が転入を上回り(15人増となった19年を除く)。

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