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バフェット式 ✕ 生成AI で爆速企業分析

はじめに

【生成AI】を使って企業の決算情報や四季報などのデータを分析します。
企業の価値を様々な視点から評価する【ファンダメンタルズ分析】を行い、さらに【バフェットの投資原則】に従って「割安成長株」か評価します。
この記事が皆さまの投資生活の資となればうれしいです。

【注意事項】本分析は投資判断の参考情報であり、投資を推奨するものではありません。 投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。 将来の業績や株価は、様々な要因によって変動する可能性があります。


バフェットの投資原則について

「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェット。 彼の投資手法は
企業の「価値」を見極めることにあります。

具体的な指標

【競争優位性】

強いブランド力、高い参入障壁など、他社に真似できない強みを持つ企業

【収益性】

高い利益率を維持し、安定した収益を上げている企業

【健全な財務状況】

借金が少なく、自己資本比率が高いなど、財務的に安定している企業

【優れた経営陣】

誠実で有能な経営陣が率いる企業

【割安な株価】

企業価値に対して株価が割安な企業


ファンダメンタルズ分析について

ファンダメンタルズ分析は、企業の財務状況や事業内容、業界動向などを分析して、収益性安全性成長性割安性の4つの視点から企業の本質的な価値を評価する方法です。

具体的な指標

【収益性】

  • EPS(一株当たり利益):企業の利益を発行済み株式数で割ったもの。

  • ROE(自己資本利益率):自己資本を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。

  • ROA(総資産利益率):総資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。

  • 営業利益率:売上高に対してどれだけの営業利益を生み出したかを示す指標。

【安全性】

  • 自己資本比率:総資産に占める自己資本の割合。

  • 流動比率:短期的な支払い能力を示す指標。

  • 有利子負債比率:総資産に占める有利子負債の割合。

【成長性】

  • 売上高成長率:売上高が前期と比べてどれだけ増加したかを示す指標。

  • 利益成長率:利益が前期と比べてどれだけ増加したかを示す指標。

【割安性】

  • PER(株価収益率):株価が一株当たり利益の何倍かを示す指標。

  • PBR(株価純資産倍率):株価が純資産の何倍かを示す指標。

  • 配当利回り:株価に対してどれだけの配当が支払われるかを示す指標。


生成AIで決算報告書を読み解く

決算報告書を人力で読むというと、とにかく時間がかかる。そんなイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。生成AIを使えば、企業分析が3分程度で終わります。

ステップ1: 決算報告書を準備

まずは、分析したい企業の決算報告書を用意します。企業のウェブサイトから入手できます。ほとんどの場合、サイトのIR情報にPDFファイルがアップロードされています。

今回は*三菱重工業株式会社を例にしてみます。

https://www.mhi.com/jp/finance/library/result/pdf/fy20241q/presentation.pdf

ステップ2: 決算報告書を読み込む

geminiに、ダウンロードした決算報告書を読み込ませます。右下の+マークからPDFファイルを直接アップロードできます。

ステップ3:プロンプトを入力する

geminiに、決算報告書の分析に関するプロンプト(命令文)を入力します。例えば、以下のようなプロンプトを実行します。

#プロンプト
以下の決算報告書を分析し、ファンダメンタルズ分析と投資判断(買い・売り・ホールド)を行ってください。

#分析ポイント

収益性: 売上高、営業利益、純利益の推移、利益率などを確認し、収益性を評価してください。
安全性: 自己資本比率、流動比率、有利子負債比率などを確認し、財務の健全性を評価してください。
成長性: 売上高、利益の成長率、将来の成長見通しなどを確認し、成長性を評価してください。
キャッシュフロー: 営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローなどを確認し、キャッシュフローの状況を評価してください。
その他: 業界動向、競合状況、経営戦略などを考慮し、企業の将来性を評価してください。

#出力形式

以下の項目を含むレポート形式で出力してください。
 
要約: 企業概要、事業内容、決算の概要などを簡潔にまとめた要約。
ファンダメンタルズ分析: 上記の分析ポイントに基づいた詳細な分析結果。
投資判断: 買い、売り、ホールドのいずれかの投資判断とその理由。
留意点: 分析における注意点や今後の注目点などを記述。

あくまで参考用に作成したプロンプトです。

ステップ4: 回答を確認する

geminiが決算報告書の内容を分析し回答を生成しました。専門用語を分かりやすく説明してくれたり、重要なポイントをまとめてくれたりするので、決算報告書の内容を理解しやすくなります。

三菱重工業 2024年度第1四半期決算に基づくファンダメンタルズ分析と投資判断

要約

三菱重工業は、エネルギー、プラント・インフラ、物流・冷熱・ドライブシステム、航空・防衛・宇宙などの多岐にわたる事業を展開する重工大手企業です。2024年度第1四半期決算では、増収増益を達成し、特にGTCCや航空エンジン、防衛・宇宙分野が好調でした。

ファンダメンタルズ分析

【収益性】

売上高: 11,115億円(前年同期比+13%)と大幅増収。全セグメントで増収を達成。
事業利益: 835億円(前年同期比+61%)と大幅増益。売上増、工事採算の改善、為替影響などが寄与。
当期利益: 622億円(前年同期比+17%)と増益。事業利益の増加に伴い増益。
利益率: EBITDAマージンは11.0%(前年同期比+2.3pts)と改善。

【安全性】

自己資本比率: 35.1%(前年同期末比+2.4pts)と改善。
D/Eレシオ: 0.42(前年同期末比-0.04)と改善。
有利子負債: 1373億円(前年同期末比+1,465億円)と増加。ただし、これは主にリース債務の増加によるものであり、純有利子負債は減少している。

【成長性】

売上高成長率: 第1四半期は+13%と高い成長。通期見通しは+5.2%と堅調な成長を見込む。
利益成長率: 第1四半期は事業利益+61%、当期利益+17%と大幅増益。通期見通しも増益を見込む。
将来の成長見通し: GTCCや防衛・宇宙分野などが牽引役となり、中長期的な成長も見込まれる。

【キャッシュフロー】

営業CF: △678億円(前年同期比+923億円)と改善。
フリーCF: △1,262億円(前年同期比+141億円)と改善。
設備投資: 450億円(前年同期比+99億円)と増加。積極的な投資姿勢を示す。

【その他】

業界動向: 脱炭素化や再生可能エネルギーへの転換、防衛需要の高まりなど、追い風が吹いている事業が多い。
競合状況: 各事業分野でグローバルな競争が激化している。
経営戦略: 成長分野への積極的な投資、構造改革による収益力強化などを推進。

【投資判断】
##買い##

【根拠】
第1四半期は大幅な増収増益を達成し、通期見通しも増益を見込むなど、業績は好調。
GTCCや防衛・宇宙分野など、成長ドライバーとなる事業が明確。
自己資本比率やD/Eレシオなど、財務指標も改善傾向。
中長期的な成長ポテンシャルも高く、株価の上昇余地は大きいと判断。

【留意点】
世界経済の減速や地政学リスクなど、外部環境の変化による業績への影響に注意が必要。
受注残高は高水準だが、受注環境の変化や工事採算の悪化など、リスク要因にも留意が必要。
今後の業績動向、特に通期見通しの達成状況を注視していく必要がある。

生成AIで四季報を読み解く

決算報告書と併せて四季報のデータを読み込んで、バフェットの投資原則に基づいた精度の高い分析を行います。

ステップ1:四季報を読み込ませる

決算報告書と四季報を読み込ませます。これにより、企業の財務状況や事業内容、将来の展望などを理解することができます。

ステップ2:プロンプトを入力する

geminiに、バフェットの投資原則に基づいた分析に関するプロンプト(命令文)を入力します。例えば、以下のようなプロンプトを実行します。

【分析目的】

バフェットの投資原則に基づき、上記企業が「割安成長株」と言えるか、定性的・定量的な観点から総合的に評価する。

【分析視点】

1. バフェットの投資原則との適合性
事業の理解度:事業内容、競争優位性、業界動向を理解できるか?
長期的な競争優位性:ブランド力、参入障壁、ネットワーク効果など、持続的な競争優位性はあるか?
経営陣の質:有能かつ誠実な経営陣か?株主重視の姿勢があるか?
割安性:PER、PBR、ROE、配当利回りなどから判断して、現在の株価は割安か?
安全域:将来の不確実性を考慮しても、投資に値する安全域はあるか?


2. 定量分析
収益性:売上高、営業利益、純利益の過去数年間の推移と将来予測。安定成長しているか?
効率性:ROE、ROA、売上高営業利益率などの推移。効率的な経営ができているか?
安全性:自己資本比率、有利子負債比率、流動比率、キャッシュフローなど。財務状況は健全か?
成長性:EPS成長率、売上高成長率など。将来の成長ポテンシャルは十分か?
株主還元:配当性向、配当利回り、自己株買いなど。株主への還元姿勢は十分か?
バリュエーション:PER、PBR、EV/EBITDAなど。同業他社と比較して割安か?


3. 定性分析
事業内容:どのような製品・サービスを提供しているか?
競争優位性:他社との差別化要因は何か?
業界動向:市場規模、成長性、競争環境はどうか?
経営戦略:今後の成長戦略、目標、課題は何か?
リスク要因:業績に影響を与える可能性のあるリスクは何か?


【分析結果】

上記分析結果を踏まえ、以下の点について明確に結論を述べる。
総合評価:バフェットの投資原則に照らし合わせ、当該企業は「割安成長株」と評価できるか?
投資判断:投資対象として魅力的か?その理由も具体的に説明する。

【出力形式】

上記分析視点を項目立てて記述し、それぞれの項目に分析結果を簡潔にまとめる。最後に、総合評価と投資判断を明確に述べる。

あくまで参考用のプロンプトです。

ステップ3:回答を確認する

バフェットの投資原則に基づく定量的・定性的な分析結果が生成されました。決算報告書と四季報の内容をひと目でわかるようにまとめてくれています。

バフェットの投資原則に基づく三菱重工業の評価

【定量分析】

・収益性
過去数年間、売上高、営業利益、純利益は安定成長とまでは言えない。特に2020年3月期には大幅な減収減益を経験している。しかし、2023年3月期には増収増益を達成し、2024年3月期も業績予想はさらに増加傾向にある。
将来予測としては、2024年度の売上収益は4兆9,000億円、事業利益は3,500億円と、2023年度実績比でそれぞれ+5.2%、+23.9%の増加を見込んでおり、継続的な成長が見込まれる。
・効率性
2023年3月期のROEは11.1%、ROAは3.5%とまずまずの水準。売上高営業利益率も6.06%と改善傾向にある。
将来予測としては、2024年度のROEは10.0%と若干低下するものの、ROAは3.5%を維持し、売上高営業利益率も7.1%への改善を見込んでおり、効率性は維持または向上する見込み。
・安全性
2024年第1四半期末時点の自己資本比率は35.1%、有利子負債は1兆4767億円で、D/Eレシオは0.42と財務状況は良好。
営業キャッシュフローは2023年3月期には黒字転換し、2024年3月期第1四半期も黒字を維持している。
将来予測としては、フリーキャッシュフローは2024年度はマイナス1,000億円となる見込みだが、これは成長のための先行投資によるものと推測される。
・成長性
過去のEPS成長率、売上高成長率は安定していない。
将来予測としては、2024年度の売上高成長率は+5.2%、EPS成長率は+3.5%と堅実な成長を見込んでいる。
・株主還元
2023年度の配当は1株当たり13円で、配当性向は約30%。2024年度は1株当たり22円への増配を予定しており、株主還元姿勢は強化傾向にある。
自己株買いについては、2024年3月期に200億円の自己株式取得枠を設定しているが、2024年第1四半期決算説明資料においては言及がない。
・バリュエーション
2024年9月13日時点の株価は1,774.5円、予想PERは26.01倍、PBRは2.55倍。
IHI(7013)、川崎重工業(7012)、住友重機械工業(6302)との比較では、PER、PBRともに割安とは言えない。

【定性分析】

・事業内容
三菱重工業は、発電システム、航空機、防衛システム、船舶・海洋構造物、産業機械、交通システムなど幅広い事業を展開する総合重工メーカー。
ガスタービンや航空エンジン、防衛装備品などの高い技術力を必要とする製品・サービスを提供している。

・競争優位性
長年の歴史と技術蓄積に基づく高い技術力と信頼性
幅広い事業ポートフォリオによるリスク分散
防衛・宇宙分野での強固な事業基盤

・業界動向
防衛分野は、地政学リスクの高まりを受けて、国内外で市場拡大が予想される。
カーボンニュートラル実現に向けたエネルギー転換は、再生可能エネルギー関連や水素などの新たな事業機会をもたらす可能性がある。
民間航空機市場は、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復が見込まれる。

・経営戦略
成長領域と位置付けるエナジー・脱炭素事業、新事業・モビリティ事業に経営資源を集中させる方針。
2024年度は「成長と改革の加速」をスローガンに、売上高、利益の向上を目指す。

・リスク要因
地政学リスクや世界経済の減速
為替変動リスク
原材料価格の高騰
自然災害

【総合評価】

三菱重工業は、防衛、原子力、ガスタービンなどの成長分野において強みを持つ一方、収益性や成長性の面では改善の余地がある。
バリュエーション面では割安とは言えず、バフェットの投資原則に従えば「割安成長株」と評価することは難しい。
ただし、今後の成長戦略や業界動向を考慮すると、中長期的な成長ポテンシャルは十分にあり、株主還元姿勢の強化も評価できる。

【投資判断】

短期的には株価の上昇余地は限定的かもしれないが、中長期的な視点で見れば投資対象としての魅力はある。
特に、防衛・原子力分野の成長期待や、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの進捗は、今後の株価上昇のカタリストとなり得る。
バフェットの投資原則を厳格に適用するのではなく、中長期的な成長ポテンシャルと現在の株価水準を比較検討し、投資判断を行うべきである。

免責: 上記は投資助言ではなく、投資判断はご自身の責任において行ってください。

まとめ

生成AI「gemini」を使えば、難しい決算報告書や四季報も、プロンプトをコピペすれば3分程度分かりやすく分析できます。手早く投資判断をサポートしてくれるので、投資初心者の方におすすめです。

最後に

ここまで読んでいただいた方、誠にありがとうございます。

今回の記事では、参考用に作成したプロンプトを実行しています。

生成AIはあくまでツールです。最終的な投資判断は自身で行ってください。

企業の価値は常に変動するため、定期的に情報を更新し、分析を行うことが重要です。

バフェットの投資原則以外にも、様々な投資戦略があります。自分に合った投資戦略を見つけることが大切です。

次の記事では、より精度の高いプロンプトを公開しています。


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