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第一回タンメン会 品川「大元」


「おめえに食わすタンメンは、やってねー!」
「おめえに食わすタンメンは、、、あれ?」
の巻。

どうも、初めまして。
しばらく前から、気の合う仲間とタンメンを食べ、界隈を散歩する会をやっています。
その様子をfacebookにアップしていたのですが、こちらにも掲載してみようと思います。
第一回は、2022年2月に書いたものです。
その後、会を重ね現在は二十回を越えています。いままでのものと並行して新たなものも書いていきますので、よろしくお願いします。


左から大川さん、マコト、ぼくのタンメン会。

若い頃、外食ばかりしまくっていた。ある日立ちくらみがして、医者に行ったら、
「栄養失調です」
「はい? カロリー過多なくらい、食べまくっていますが」
「野菜は食べてないでしょう。食べましょう」
栄養バランスが悪くても栄養失調になると知ったぼくは、それ以来、定期的にタンメンをわしわし食べるようになった。食べているうちにハマり、気がつけば一番好きな料理になっていた。ちなみに二番はトンカツです。
さて、冬も終わりに近いある日、ぼくは旧友のマコトと、新宿ゴールデン街にある「ビッグリバー」なる店で飲んでいた。この店のママは大川さん(英語にしてみて)といって、これまた古くからの知り合いである。
酔っ払いつつタンメンの話をしているうち、以前、マコトの会社があった田町の隣の新橋にふたりでタンメン食べに行ったら臨時休業だった話になった。
「リベンジしに行くか」
ヒマ人のマコトの言葉に、大川さんがすかさず反応した。
「あたしも行きたい! いつもイタバシくんのタンメンの話聞かされてるうちに、食べたくなってたんだ」
「では、タンメン会を催しますか」
てことで、3人揃ってヒマなこともあり、その後長くつづくことになるタンメン会が発足したのであった。
そして当日。かつてマコトとぼくが「臨時休業」を喰らった宿題店、大門の「集来」を再訪。
さあて今度こそと意気込んで店の前まで来ると、そこに待っていたのは、まさかのデジャヴでした。
「どひゃー」
「あり得ない」
「お腹空かせて来たのにー」
「2月28日まで休業」って、、、
幸先悪すぎる、悪魔のスタート。

冷酷な貼り紙。


はあ〜、がっくし。早くも暗雲立ち込めたが、ここで挫けては、タンメン会の始まってもいない歴史に泥を塗ることになる。
老人には有り余る体力、気力はないが、無駄な経験、知識はある。スマホもある。だったらトンカツでも食べようかと軟弱な選択はせず、すぐに作戦変更。あくまでもたんめんにこだわり、第二案を練り、マコトがかつて住んでいた品川へ電車でゴー。
おー、駅前の「大元」は、我々3名の背景にぴったりの店構えではないか。中華のニオイを超越し、昭和臭が♪プンプン、ププププ、ププププーン。
(知ってるひとは、ザ・スパイダースの「バンバンバン」のメロディーを乗せてください)
やったぜ、と入店即「タンメンみっつ」を注文。「はいよ」の声に安心し、ついでにギョーザとシナチクとビールも。

昼からビールはお約束。
ザ・メンマ。
手堅い餃子。


「お疲れー」とビールグラスをこちん、ギョーザとシナチクのこなれた味に期待を高めていると「お待ちー、渡してくれる」とカウンターの配膳口近くに座るマコトからぼく、ぼくから大川さんへとどんぶりリレー。
おお、シンプルで懐かしい顔をした、、、あれ。
「うまそー」
「来た甲斐あったね」
箸をつけかけるふたりを、ぼくはさっと制し、犯人を指さす名探偵のごとく、どんぶりの中身を指さした。
「これはラーメンだ!」
「げっ」
「まさか」
驚くふたり。こっちが驚くわ。どんだけ老眼なんだ。てか、どんだけ腹空かせてるんだ。
ラーメンは醤油味、タンメンは塩味。スープの色で気づけよ。
危うくオーダーミスのラーメンを食べてしまうところだった。まあ、ふだんならそれでもいいが、我々はタンメン会である。第1回である。それの仕切り直しである。
「すみません、タンメンを注文したんですけど」
「あー、そうだっけか」
「ぼくたち、タンメンを食べる会をやってるんですよ」
訳のわからないであろう説明をして、申し訳ないが、作り直してもらった。
それにしてもふたりはタンメン会会員として猛省を促すとともに、認知テストをおすすめしたい。

ラーメンではありません。


さらに待つことしばし。今度こそタンメンの登場。
キャベツではなく、白菜中心の野菜いろいろと豚コマがちょろっと入り、野菜の色素でやや緑になったスープがそそる一杯だ。量もたっぷり。だけど、味はあっさり。ツルツルで喉越しのいい中太麺が、これまたよろしい。ラーメンも美味しそうだったはずである。
美味しゅうございました。
食後は品川から田町まで、マコトの住んでたタワマン経由の運河散歩で腹ごなし。

タワマンとタワけマン。
今度は右からぼく、マコト、大川さん。


タワーマンションはいいけど、眼下に望むのは東京食肉ナントカという、牛さんがビーフにされてしまう施設なのだった。
「毎日、哀れなドナドナ見て暮らしてたんだ」
そのわりには、肉が大好きで太鼓でドン腹をしているマコトなのだった。
お茶して解散と思ったら、大川さんがベレー帽を被ってない。
「リュックに入れたよ」
そう言うけど、なんか怪しい。
「一応、見てごらん」
いくら探しても入っていない。
戻ってみたら、やっぱり店に置き忘れていた。先の思いやられるタンメン会ではありますが、だれかが要介護となる日まで、ポツポツとやっていく所存です。

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