#2 解説『日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学』【問1.1】中編
#1に引き続き、問1.1を解説していこうと思います。よろしくお願いします。
(3)
$${X}$$と$${Y}$$の同時確率密度関数を求めるにはまず$${X}$$と$${Y}$$の同時分布関数を求める必要があります。まずは$${X}$$と$${Y}$$の同時確率密度関数を求めましょう。
$${X}$$と$${Y}$$の同時確率密度関数は$${P ( X <= x , Y <=y )}$$、つまり$${U}$$と$${V}$$の最大値が$${x}$$以下、最小値が$${y}$$以下であることを意味します。
上記の同時分布関数をいきなり求めるのは少し考えにくいのでサイコロの例で考えます。サイコロは一般的には1~6までの確率は$${\frac16}$$です。離散型分布ではありますが、一様分布であることに変わりはありません。このサイコロの例は個人的に非常に考えやすいので、もし一様分布の問題で考え方が変わらなくなったらオススメです。このサイコロの例は問1.3でも活用します。もしよろしければ以下のリンクをどうぞ。
サイコロの例
今回は2つのサイコロを用います。そして目の大きい方を$${X}$$、小さい方を$${Y}$$とします。ここでは$${X=5}$$、$${Y=3}$$とします。
このとき同時確率密度関数$${P ( X <= 5 , Y <=3 )}$$を満たすサイコロの目の出方は以下の2通りです。
1.$${X}$$も$${Y}$$も$${3}$$以下
2.$${X}$$は$${3}$$以上$${5}$$以下、$${Y}$$は$${3}$$以下
1.の確率は共に$${3}$$以下の場合なので$${(\frac12)^2=\frac14}$$になります。
$${e.g.)}$$1と1、2と3
2.の確率は一方が$${3}$$以下、一方が$${4}$$か$${5}$$の場合なので
$${2*(\frac12)*(\frac13)=\frac13}$$になります。
$${e.g.)}$$1と4,3と5
1.の確率と2.の確率を合計したものが求める全体の確率なので
$${\frac14+\frac13=\frac{7}{12}}$$となります。
今回の問題も同じように考えれば良いのです。
元に戻って
今回の問題に戻ります。ここでは$${U}$$と$${V}$$の最大値$${X}$$が$${x}$$以下、最小値$${Y}$$が$${y}$$以下の同時分布関数を求めます。同時分布関数と聞けば、身構えてしまうかもしれませんが、やっていることは確率と同じです。さきほどのサイコロの例と同じようにやっていきましょう。
同時確率密度関数$${P ( X <= x , Y <=y )}$$を満たすものは以下の2通りです。
1.$${X}$$も$${Y}$$も$${y}$$以下
2.$${X}$$は$${y}$$以上$${x}$$以下、$${Y}$$は$${y}$$以下
1.の場合は共に$${y}$$以下なので下記になります。
$${y^2}$$
2.の場合は一方が$${y}$$以下、一方が$${y}$$以上$${x}$$以下なので下記になります。
$${2*y*(x-y)=2y(x-y)}$$
1.の場合と2.の場合を合計したものが同時分布関数なので下記になります。
$${y^2+2y(x-y)=2xy-y^2=y(2x-y)}$$
ただ、ここで安心してはいけません。今回求めるものは$${X}$$と$${Y}$$の同時確率密度関数でした。でも同時分布関数を求めてしまえば後は何も怖くありません。同時分布関数がが分かっている状態で、同時確率密度関数を求める場合は同時分布関数を$${X}$$と$${Y}$$で1回ずつ偏微分すれば問題ありません。これは教科書11ページの式(1.2.6)を参照してください。
つまり(3)の答えは以下の通りです。
$${g(x,y)=\frac{∂^2}{∂x∂y}y(2x-y)=2}$$
終わりに
(3)でずいぶん長くなりました。ただサイコロの例はかなり応用が効くと私は思っています。次回の記事#3では(4)を解説しようと思います。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました。コメントの方、お待ちしています。
参考文献
日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学(教科書)
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