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#10 解説『日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学』【問2.3】

 こんにちは。記念すべき第10回は問2.3です。昨晩#9の記事に4つも「スキ」がついてテンションが上がっている鰰です。恐らく今回は1つの記事で終わると思います。よろしくお願いします。


実際に解いてみる【前編】

 #1から読んでくださった読者の皆さまからすれば、どこか見たことのある問題であろうか。実際に今回の問2.3は問1.3の(1)の発展問題と言える。

 まず$${Y}$$は一様分布$${U(0,1)}$$に従うことが分かっている。つまり$${P(Y\leqq y)=y}$$となることが分かる。なぜなら関数$${Y}$$の取り得る範囲は$${0\leqq y \leqq1}$$だからである。

 そして$${X}$$の累積分布関数は$${P(X\leqq x)}$$と表すことができる。ここで問題文より$${X=F^{-1}(Y)}$$となっていることが与えられている。よって以下の通り書き換えることができる。

$${P(X\leqq x)=P(F^{-1}(Y)\leqq x)}$$

 ここからが問題である。逆関数の考え方はきちんと理解していただかなくてはならない。

逆関数の考え方【脱線】

 例えば逆関数$${f^{-1}(x)=\frac{x-1}{4}}$$を考える。この元々の関数が$${f(x)=4x+1}$$であることは分かるだろう。では、以下の不等式が出た場合どのように考えれば良いのか。

$${f^{-1}(x)\leqq y}$$

 ただ、これはあまり難しく考える必要はない。素直に$${f^{-1}(x)=\frac{x-1}{4}}$$を左辺に代入すれば特に問題はない。

$${\begin{array}{} f^{-1}(x)\leqq y \\\ \frac{x-1}{4}\leqq y \\\ x\leqq4y+1=f(y)\end{array}}$$

 これは分かりやすく説明するために$${f(x)=\frac{x-1}{4}}$$を事例に挙げたが、これはどのような関数でも成り立つことは自明である。もう一度結果を以下に挙げるが、考え方だけでも理解していただきたい。

$${f^{-1}(x)\leqq y \rArr x\leqq f(y)\sdot\sdot\sdot①}$$

実際に解いてみる【後編】

 話を戻して問2.3の解き方である。【前編】では以下の式で終わっていた。

$${P(F^{-1}(Y)\leqq x)}$$

 これを先ほどの$${①}$$を利用すると以下のように変換できる。

$${P(F^{-1}(Y)\leqq x)=P(Y\leqq F(x))=F(x)}$$

 2つ目の式が成り立つ根拠だが、これは$${Y}$$が一様分布$${U(0,1)}$$に従っているからである。要は$${P(Y\leqq y)=y}$$と同じ考え方と思っていただいて差し支えない。

 つまりまとめれば$${P(X\leqq x)=F(x)}$$が成り立ったので$${X}$$の累積分布関数が$${F}$$であることは証明された。


終わりに

 今回は逆関数の考え方を学びながら問2.3を解きました。問題文はたった2行の問題なのに意外と簡単に考えさせてくれない問題でしたね。こういった類いの問題は多いのかもしれません。

 それでは最後までお読みいただきありがとうございました。コメントの方、お待ちしています。

参考文献
日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学(教科書)

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