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狗巻先輩の語彙調査

はじめに

こんにちは。りっとと申します。週刊少年ジャンプで連載中の芥見下々先生による作品『呪術廻戦』が大好きです。中でも呪言師・狗巻先輩が一押しです。夢は「虎杖が狗巻家に遊びに行く」話を読むことです。よろしくお願いします。

言葉に呪いを籠めるが故に、普段は語彙を絞っている狗巻先輩。アニメ効果で今後さらにファンを増やす(はずな)ので、ご新規さん向けも兼ねてここらで一度彼の使う言葉をある程度詳細に調べてみようと思い至りました。皆様の楽しい呪術ライフの一助になれば幸いです。

同じようなことやってる人は既にたくさんいると思うけれど、公式に統一の基準が発表されていないうちは考察は多いほど楽しいと思っているのでご容赦ください。何か情報あったら教えてください。

注:本noteは『呪術廻戦』1~13巻、『週刊少年ジャンプ』バックナンバー、小説版『呪術廻戦 夜明けのいばら道』を参考にしており、必要に応じて著作の一部を引用します。可能な限りネタバレ等を防ぐように配慮しますが、未読かつ気にされる方はこの先はご遠慮ください。

前提:語彙はニュアンス

一番最初にはっきりさせておきたいことは、狗巻先輩のおにぎり語彙は「具が単語と対照している」わけではなく、「ニュアンスを表す言葉に具を当てはめて、近い言葉を置き換えている」(はず)ということです。

彼の語彙の中で一番わかりやすいのは肯定の「しゃけ」と否定の「おかか」ですが、これらも単純な「yes/no」ではない使い方をされている場面が散見されています。

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『呪術廻戦 5』より。「なるほど」

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『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』より。「おかしい」

よって、狗巻先輩の語彙は「なんとなくこういうテンション/意味合いの時はこれ」という基準があって、その時その時で一番近いものを選んで話している可能性が高いと思われます。ここから先は、その前提で各語彙について見て行きますのでそのつもりでお願いします。
また、あくまで予想であり正確とは限らない点についてもご了承ください。

まずは分かりやすい基本の4つ、「しゃけ」「おかか」「高菜」「明太子」から見て行きましょう。

「しゃけ」-肯定的・ポジティブ

「しゃけ」は一番使用頻度の高い具のひとつです。
「肯定」「同意」「称賛」「了解」などがこれに当たります。

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『呪術廻戦 2』より

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『呪術廻戦 6』より

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『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』より

返事として使われやすい「しゃけ」ですが、上のコマのように受け答えでなく呼びかけとして使っている場合もあるので注意が必要。ポジティブ全般を表す具と考えて良さそうです。

ちなみに、小説版『呪術廻戦 夜明けのいばら道』では、狗巻先輩が外国から来た観光客(っぽい)方と会話を試みるシーンがあります。

「しゃけ」の活用形も試されているので、どう会話を成立させようと試みるのか気になる方は是非。

「おかか」-否定的・ネガティブ

「おかか」も数多く活用される具のひとつです。
「否定」「指摘」「叱責」「抗議」などがこれにあたります。

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『呪術廻戦 5』 より

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『呪術廻戦 7』 より

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『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』より

NGを示す時、誰かを諫める時によく使いますが、挑発に追従して使うパターンなどもあるので、ネガティブ系の表現で使われていると考えられます。

「高菜」-心配・警告

「高菜」は用途が非常に分かりやすい具です。
「誰かを気遣う時」「退がらせる時」「警告する時」に使います。

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『呪術廻戦 6』 より

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『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』より

「警告」としての使用は小説版が主。いずれの場合にしても、能動的に誰かを気にかける時に発せられる具です。「伏せろ!」とかも近いのかも。大ゴマで見たいですね。

「明太子」-臨戦態勢

「明太子」も現時点では使用箇所がだいぶ限定されている具。
「その後戦闘になる、術式を使用する」場面で発せられています。

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『呪術廻戦 5』 より

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『呪術廻戦 12』 より

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『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』より

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『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』より

気合を入れる具として、展開が引き締まる感じがしますね。
小説版でも「明太子」が出てくるシーンがありますが、悪ノリ好きな狗巻先輩の一面が垣間見える使い方になっています。


ここから先は、少し解釈の難しい具について考えて行きます。

「こんぶ」-察知・警戒

「こんぶ」は、高専時代と廻戦時代でニュアンスに微妙な差がありそうな具です(後述)。会敵しそうで警戒している時誰かに会う/会った/何かを感じた時に使われることが多いです。

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『呪術廻戦 2』より

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『呪術廻戦 5』より

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『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』より

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『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』より

「こんぶ」について気になるのは、語彙の方向性が「高専」と「廻戦」で微妙に違う可能性があることです。たとえば、高専時代は「こんぶ」だった自己紹介が廻戦では「すじこ」に置き換わっています

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『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』より

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『呪術廻戦 2』 より

あいさつで「こんぶ」は適当であると考えられるため、ミスの修正ではなく「今回はこっち」的に気分で選択可能なニュアンスなのかもしれません。

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『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』より

ここの「こんぶ」だけ解釈が難しい。意見求みます。

「すじこ」-ハイテンション

あまり使われる機会の多くない「すじこ」は、今のところ元気な狗巻先輩を表現する目的で使われがちです。

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『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』より

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『呪術廻戦 2』より

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『呪術廻戦 7』より

あまり表情が変わらない狗巻先輩ですが、著者コメント(単行本おまけ)によれば「悪ノリ好き」でお茶目なところもある様子です。年相応に冗談を言ったり、純粋に楽しむ場面で使われることが多くなりそう。

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『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』より

また、この場面なんかは「こんぶ」や「明太子」あたりも適していそうな感じがするので、「すじこ」も「高専」と「廻戦」で微妙にニュアンスが変わっている可能性があります

「ツナマヨ」-示唆・提案

狗巻先輩が一番好きな具「ツナマヨ」です。
何かを提案する注意を向けさせる示す時に使われていそうです。
「ツナ」と「ツナマヨ」が同義なのかどうかは解釈の分かれるところですが、僕は同一の意味を持っていると判断しました。

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『呪術廻戦 2』より

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『呪術廻戦 6』より

提案系以外の使い方だと、パンダの言葉に乗せる用法がいくつか。

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『呪術廻戦 2』より

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『呪術廻戦 4』より

単なる追従ではなく、自分の意思が乗っている場合なのかなと予想しますが定かではない。

「いくら」-サンプル不足

現時点で使われている語彙はこの「いくら」で最後になりますが、「いくら」はまだあまり多用されていないので共通点を見つけることが難しいです。いずれも戦闘前・後に使われていること何らかの受け答えであること目的意識について表していることが可能性として挙げられます。

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『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』より

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『呪術廻戦 5』より

今後の「いくら」使用状況に期待が持たれます。追記可能箇所。

追記:「五目」-敬意・丁寧?

2021/12/13発売の週刊少年ジャンプに掲載された呪術廻戦の番外編にて、新規のおにぎり語彙が発表されましたので追記。こういうことするから芥見先生はズルいんだよ!!!!

追加された具は「五目」。

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場面としては来店時の挨拶。既存の語彙と照らし合わせると「こんぶ」が一番近い場面に見えます。来客への挨拶なので「いらっしゃいませ」が「五目」に当たるとも考えられますが、僕の仮説ではおにぎり語彙は単語対照ではなくニュアンスなので、それを解決する予想としては「五目」が敬意や丁寧な表現を表す具だというものが違和感なく成立します。「ツナ・五目」のように組み合わせて使う言葉なのかもしれませんがサンプル不足なので、目上の人とサシで会話する機会が待たれるところです。

「それ以外はよく分かりません」

とまあ、簡単に各具の考察を行ってきたわけですが……
狗巻先輩の語彙の中には、以上の法則に当てはまらないものがわりとあります。

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『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』より

単行本のおまけページにも「しゃけが肯定 おかかが否定 それ以外はよく分かりません」とあるように、明確に基準を決めてセリフを決めているというよりはフィーリングに近い形で入れ込んでいるのかもしれません。「だいたいこんなかんじ」くらいの理解で読んでいくのが良さそうですね。

一応のまとめ

さて、語彙が出そろったところで一応見やすくまとめておくと……

しゃけ……「肯定」・「ポジティブ」
おかか……「否定」・「ネガティブ」
高菜………「心配」・「警告」
明太子……「臨戦態勢」
こんぶ……「察知」・「警戒」
すじこ……「ハイテンション」
ツナマヨ…「提案」・「示唆」
いくら……「不明」
五目……「敬意」・「丁寧」

というような形になります。以上を踏まえたうえで、または自分なりの解釈を持ったうえで狗巻先輩の言動に注目してもう一度読み直してみると、新しい発見があるかもしれませんね。

今後の展開(と先輩の活躍)に期待しつつ、このあたりで閉じようと思います。皆様もよい呪術ライフをお過ごしください!

語彙についてご意見がある場合は、ぜひTwitterまでお寄せください。
身の回りにあんまり呪術ファン多くないので語りたいです。

増えろ!棘ファン!



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