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아름다운 세상(美しい世界)

パク・チャンホン監督とキム・ジウ作家の生み出す作品が好きです。
ベスト5にも挙げた「復活」は2人の制作したドラマのうち最初に見た作品でした。

復活から魔王、サメと続く復讐3部作品ではそれぞれ違う切り口から復讐を突き詰めた2人。
復活では生き別れになった双子の弟になり変わり、父と弟の死の真相を暴き復讐を遂げる男のはなしを
魔王では過去のある出来事の真相と誤解が生み出す悲しい復讐劇と許しを
サメでは復讐相手の孫娘を愛するが故、復讐と愛の間で葛藤するロミオとジュリエット的恋愛物語を紡ぎました。

復讐劇でありながら人と人の間に生まれ育まれる関係性や思いを時に温かく丁寧に切り取り積み重ね、また逆に人の感情を忘れてしまった人の残酷な空洞感を浮き彫りにする。
かわらぬ一つ共通のテーマとしては、復讐は何も生みださない。復讐してもされても双方の中で何かが死に、周囲にまた別の悲しみを植え付けるということ。
めでたしめでたしのハッピーエンドでないことが悲しいけれど唯一の答えのようで、だからこそなおさらその感情だけはリアルな気がして忘れられない3作品です。

最近日本でもリメイクされて、韓国での放送時も話題になっていた「記憶」はこの3部作の後に2人が再度タッグを組んだ作品です。

そして今回タイトルにした아름다운 세상(美しい世界)もそう。
このドラマは、学校の屋上から転落して意識が戻らない息子にいったい何が起こったのか、自殺なのか事故なのか、家族が真実を追求するストーリーです。
時に様々な感情に揺さぶられながらも、誰かが闇に落ちてしまいそうなときには誰かが手を掴んで離さない、家族が強く支え合い最後まで真実だけを求めて進み続ける
言い方を変えると、「復讐を選択しない」家族のはなしです。

人は弱く、ときに間違いを起こします。
このドラマの根底にあるのは、そんなとき、何が起こったかよりそのあとどうするかが重要であるということ。

転落した少年とその場に一緒にいたもう一人の少年の親子関係も深く描かれますが
父と子、もともと仲が良かった少年2人がすれ違うのも影響力を増す父親の言葉が導く思考の変化が要因となっており、この年代の子供に一番近くの人生の見本である親の価値観や言動の影響力の強さと深さを物語っています。
だからこそ、家族の視点が必要となる。
一つ屋根の下に住んで、父母と役名で呼んでも、一方的な力しかはたらかない関係は家族と呼べず、自立した思考を奪われた母子が圧力と感情に翻弄される姿が、ときに図々しく痛々しく悲しく映りました。
それでも救いなのは、ある時点で二人が立ち止まれたこと。

咄嗟の判断をするときに人の本質が顕著に表れるといいますが、人は誰でも過ちをおかすもの。でもその一瞬の選択が全てではなく、人間にはその後いつでも立ち止まり取り戻す機会があるというのが、この物語が辿り着く答えだったように思います。

孤独な主人公の復讐3部作のあとに続く、復讐を選択しない物語。
その選択は、一人では導き出せない。
そこには家族、そして真摯に向き合い関わってくれる「人」がいてはじめて生まれる。
最後はやはり人でしかないという到達点が好きです。

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