部派仏教(アビダルマ仏教)
◆仏教の歴史
原始仏教(前450年頃~)
開祖:ゴータマ・シッダールタ(釈迦)(北伝:前565~前485、南伝:前624~前544、アショーカ王の即位年を基準とする説:前463~前383)
十二縁起、中道、八正道、五戒
三法の教え…ブッダ(仏)、ダルマ(法)、サンガ(僧伽)
結集
第一回:釈迦入滅後、500人の阿羅漢(五百羅漢)が集まる。マガダ王国の首都王舎城(ラージャグリハ)にて。マハーカッサパが座長、アーナンダとウパーリが経典と戒律の編集者となる。
第二回:釈迦入滅後100年後(前4世紀半ば)、十六大国の一つヴァッジの都市、毘舎離(ヴァイシャーリー)にて。700人の比丘が集まる。この時、上座部と大衆部に分かれ、根本分裂が起きる。→部派仏教(アビダルマ仏教)。
第三回:釈迦入滅後200年後(前3世紀半ば)、アショーカ王(在位:前268~前232頃)による提唱で1000人の比丘が集まる。
★部派仏教
南伝によれば、「十事非法」の論争により、大衆部と上座部に根本分裂したと伝えられる。十事とは、ヴァッジ族の比丘が戒律に独自に付け加えた十の規律であり、その中で托鉢時に金銭を受け取ることを容認(金銀浄)していた。これが排斥問題となり、従来の戒律を保守すべきとする上座部と、これを容認する多数派の大衆部に分裂した。
北伝(大乗)18宗、南伝(小乗)20宗
●大衆部(マハーサンギカ)…現在有体・過去無体、摩訶僧祇律、根本識
・一説部(エカヴヤーヴァハーリカ)…個々人の心の本性はブッダの心と本質的に変わらない。
・鶏胤部(ゴクリカ)
・多聞部(バフシュルティーヤ)…無常、苦、空、無我、涅槃といった教えは超越的であり、その他の教えは超越的ではない。阿羅漢は不完全である。
・説仮部(プラジュニャプティヴァーダ)…現象は概念の産物に過ぎない。実在と概念を区別する。五蘊(色、受、想、行、識)は苦ではない。普通の真理(方便)と究極の真理(般若)を区別する。二諦の初期の提唱者。
・説出世部(ローッタラヴァーダ)…『マハーヴァストゥ』、仏陀の伝記。二種類の空、自己が空であることと現象が空であることを除いて世界に実在するものはない。仏陀は超越的で人間としての生涯は仮現である。仏陀・菩薩は超越的存在で、阿羅漢は不完全な存在である。無数の浄土が存在し、無数の仏陀と十位の菩薩が存在する。あらゆる神々の背後にある本質は仏陀であるが、神々はそれに気づいていない。釈迦に続いて来世に千人の仏陀が現れる。
・制多山部(カイティカ)
・西山住部(アパラ・サイラ)
・北山住部(ウッタラ・サイラ)
●上座部(テーラワーダ)
・雪山部(ハイマヴァタ)
・説一切有部(サルヴァースティヴァーダ)…多衍尼子(かたえんにし)(前2世紀)が祖。
十誦律…部派仏教の説一切有部の系統に属する戒律。
二諦説…真実(諦)には世俗諦(仮の存在:生滅変化する現象、無自性)と勝義諦(真の実在:不変、有自性)がある。
三世実有・法体恒有…現象は刹那滅(瞬間瞬間生滅変化、生・住・異・滅)するが、ダルマ(法)は過去・現在・未来の三世に渡って実在する。
心心所相応説…認識主体である心に、心相応行(心所、心理作用)が相応する。また心と相応しない色(物質)と心の関係や力がある。
五位七十五法…実在する構成要素(一切法)は全部で75ある。五位は有為(色、心、心相応行、心不相応行)と無為のこと。有為(現象、因縁によるもの)は72、無為(非現象、不変)は3ある。有為は色(物質)は11、心(心王)は1、心相応行(心所、心数)(心理作用)は46、心不相応行(色と心の間の関係や力)は14ある。無為は虚空無為は1、択滅無為は1、非択滅無為は1ある。
・有為
・色(眼、耳、鼻、舌、身)(色、声、香、味、触)(無表色)
・心(心)
・心相応行
大地(受、想、思、欲、触、慧、念、作意、勝解、定)
大善地(信、勤、捨、慚、愧、無貪、無瞋、不害、軽安、不放逸)
大煩悩地(痴、放逸、慚怠、不信、昏沈、掉挙)
大不善地(無慚、無愧)
小煩悩地(忿、覆、慳、嫉、悩、害、恨、諂、誑、憍)
不定(悪作、睡眠、尋、伺、貪、瞋、慢、疑)
・心不相応行(得、非得、同分、無想定、無想、滅尽定、命根、生、住、異、滅、名身、句身、文身)
・無為(虚空、択滅、非択滅)
・犢子部(ヴァーツィープトリーヤ)…非即非離蘊我
・法上部(ドハルモッタリーヤ)
・賢冑部(ブハドラヤーニーヤ)
・正量部(サンミティーヤ)…不失壊
・密林山部(サンナーガリカ)
・化地部(マヒーサーサカ)…五分律、窮生死蘊
・法蔵部(ドハルマグプタカ)…四分律
・飲光部(カーシャピーヤ)
・経量部(サウトラーンティカ)…論(アビダルマ)よりも経典を基準(量)とすることを重視した。現在有体・過去無体…ダルマ(法)は現在の瞬間は実在するが、過去には実在しない。種子。
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