旧約聖書の本文成立過程
BC1293-1185 エジプト第19王朝
モーセ、トーラーの原型(成文律法と口伝律法)
もしくはヘブライ人の個々の伝承、神話。
BC962〜 J資料編纂
J資料(ヤハウェ資料)…編集者:ヤハウィスト(ソロモン王時代〜南ユダ王国に伝わる伝承)
ユダに伝わるヘブライ人の個々の伝承、神話が成文化される。
BC922〜 王国分裂(北イスラエルと南ユダ王国に分裂)
E資料(エロヒム資料)…編集者:エロヒスト(北イスラエル王国に伝わる伝承)
イスラエルに伝わるヘブライ人の個々の伝承、神話が成文化される。
BC742〜700 ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤ
第一イザヤ、1-39章。
預言者ミカ、「ミカ書」成立。
BC722年〜 北イスラエル王国アッシリア捕囚
北イスラエル王国から南ユダ王国に逃れてきた人々がE資料を持ち込む。
JE資料編纂(ヤハウェ・エロヒム資料)…編集者:エホウィスト。J資料とE資料を合体させる。
BC627〜585 ヨシヤ王第13年
預言者エレミヤ、『エレミヤ書』成立。
預言者ゼファニア、『ゼファニア書』成立。主の日の裁き。
BC621頃 ヨシヤ王の宗教改革(申命記改革とも)(D資料編纂)
D資料(申命記資料)…編集者:申命記史家。ヨシヤ王の時代に古い律法の書(原申命記)が発見される。これを基に申命記が編纂される(Dtr1)。国防の危機の中、律法を守ることの重要性が強調される。
BC616
預言者ナホム、『ナホム書』。…ニネヴェの滅亡を預言。
BC612 アッシリア(ニネヴェ)、バビロニアに滅ぼされる。
BC605 エジプト、バビロニアに滅ぼされる(カルケミッシュの戦い)。
BC600 預言者ハバクク、『ハバクク書』成立。
BC597 バビロン第一次捕囚(エルサレム包囲)
BC586〜 ユダ王国バビロン第二次捕囚(エレミヤの70年の開始)。バビロン捕囚中(前預言者、P資料の編纂開始)
前預言者…捕囚前の預言者の書(ヨシュア記、士師記、サムエル記、列王記)が申命記史家によって編纂される。
申命記も加筆される(Dtr2)。
P資料(祭司資料)…編集者:祭司。バビロン神話に対抗してユダヤ教的創造神話を打ち出す。Pg資料(Pの基礎文書)とも。「神聖法典」(レビ記17〜26章)をまとめる。
第二イザヤ、40〜55章。
預言者エゼキエル、『エゼキエル書』成立。
哀歌、成立。
BC538 バビロン捕囚からの解放。キュロス2世、第一回帰還
指導者シェシュバツァル
サマリア人の妨害により第二神殿建設中断
第三イザヤ(複数人)、56〜66章
(P資料編纂2→JEP資料)
BC520 ダリウス1世、第二回帰還
指導者ゼルバベル、ヨシュア
P資料(祭司資料)…編集者:祭司。ユダヤ教再建とサマリア人との宗教対立から、祭儀に関する律法が編纂される。「レビ記」。Ps資料(Pgの後に加工されたもの)とも。
JEP資料…JE資料とP資料が合体する。
預言者ハガイ、『ハガイ書』成立
預言者ゼカリヤ、『ゼカリヤ書』成立
BC515 第二神殿建設完了(エレミヤの70年の完了)
BC445,432 エルサレム城壁修復完了
ネヘミヤ、ユダヤ人以外との結婚を禁じる
預言者マラキ、『マラキ書』成立
BC450〜400 エズラ・ネヘミヤの宗教改革(最終編集のトーラー確立)
ユダヤ教の起源。トーラーの編纂。JE資料にD資料も組込み、最終編集を行なって律法(トーラー)の正典確立。
BC400頃 エレファンティネ・パピルス
エジプトのエレファンティネ島に存在したユダヤ教の神殿と共同体。ヤハウェと、ヤハウェの妻としてアナトを崇拝していた。
BC333 アレクサンドロス大王パレスチナを支配する
BC330 ペルシア帝国滅亡
BC320〜198 プトレマイオス朝エジプト
BC305〜198 パレスチナはプトレマイオス朝の支配下に入る。
BC300〜 死海写本(クムラン教団)
BC250〜150 LXX(七十人訳)…ギリシア語訳
BC3C〜2C
第二ゼカリヤ書(9〜14章)
BC198〜63 セレウコス朝シリア
BC198〜164 パレスチナはセレウコス朝の支配下に入る。
BC168〜142 マカベア戦争
BC167 アンティオコス4世エピファネスが安息日と割礼遵守の禁止、神殿にゼウス像を安置する。
BC164 祭司マタティアによる反乱、ユダ(マカベア)を指導者とするゲリラ戦に勝利する。12月に儀式が再開される。→宮潔めの祭り(ハヌカ)の起源
BC142〜BC37 ハスモン朝
ハシディーム(敬虔主義)→ファリサイ派(非祭司系)、サドカイ派(主流)、エッセネ派(祭司系、クムラン教団)が生まれる。
BC130 後預言者編纂
前預言者と合わせて、預言者(ネイビーム)正典確立。
後預言者…イザヤ、エレミヤ、エゼキエル、小預言書
BC63 ローマ帝国
ポンペイウスによるエルサレム占領
新ローマ派(ヘロデ党)
反ローマ派(熱心党、ゼロテ党)
BC30 プトレマイオス朝エジプト滅亡
BC2 イエス・キリスト誕生
AD33 イエス・キリストの磔刑
36 非ユダヤ人に対する福音解放
66〜70 第一次ユダヤ戦争
68 皇帝ネロ没
70 エルサレム神殿破壊
90 ヤムニア会議
諸書[カトビーム]編纂、旧約聖書(タナハ)の正典確立
132-135 バル・コクバの乱(第二次ユダヤ戦争)
245 オリゲネスの『ヘクサプラ』
・第一欄『ヘブル語本文』
・第二欄『ギリシャ文字で表されたヘブル語本文』
・第三欄『アキラ版旧約聖書』…ベン・アキラ(80-135)
・第四欄『シマカス版旧約聖書』
・第五欄『七十人訳聖書』
・第六欄『テオドシウス版旧約聖書』
405 ヒエロニムスの『ウルガタ訳』…ヘクサプラのヘブライ語からのラテン語訳
500~1000 マソラ学者によるマソラ本文
マソラ学者にはベン・ナフタリ派とベン・アシェル派に大別される。
マイモニデスはベン・アシェルの本文を支持したため、ベン・ナフタリ派の本文は失われる。
母音記号(ニグダー)などはマソラ本文により確立される。
895 カイロ写本[C]…最古のマソラ本文。預言者のみ。
930 アレッポ写本[A]…トーラー欠損。
1008 レニングラード写本[B19a][L]…現存する最古の完全体のマソラ本文。
1525 ラビ聖書…D.ボンベルグとヤコブ・ベン・ヘイイムによる本文。
1545 トリエント公会議…カトリックはウルガタ訳を公式とする。
以下、マソラ本文のレニングラード写本を中心とする聖書本文の校訂。
1906 ビブリア・ヘブライカ・キッテル(BHK)
1960 ビブリア・ヘブライカ・スツッツガルテンシア(BHS)
2004~2020完成予定 ビブリア・ヘブライカ・クインタ(BHQ)
旧約聖書(タナハ)
●律法(トーラー)
モーセ五書: 創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記
●預言者(ネビイーム)
前預言者:ヨシュア記、士師記、サムエル記、列王記
後預言者:イザヤ、エレミヤ、エゼキエル
小預言者:ホセア、ヨエル、アモス、オバデヤ、ヨナ、ミカ、ナホム、ハバクク、ゼファニア、ハガイ、ゼカリヤ、マラキ
●諸書(ケスビーム)
エメス(真理) : 詩篇、箴言、ヨブ記
メギロース(巻物) :
雅歌 過越祭
ルツ記 五旬祭
哀歌 エルサレム滅亡の日
コヘレトの言葉 仮庵祭
エステル プリム祭
ダニエル、エズラ+ネヘミヤ、歴代誌
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