
年間300本のイベントを運営する男たちが語った「イベントを絶対成功させるコツ」
Twitterのインフルエンサーから有名YouTuberまで。幅広い登壇者と類を見ないコンテンツで話題を呼ぶサンクチュアリ出版のイベント。
しかも、年間実施イベントはのべ300本、すべて大成功を収めているのだとか。
サンクチュアリ出版なりに「イベントの成功」を定義してみると=単純に盛り上がる。お客さんの大半から「また参加したい」と言ってもらえる。登壇者も「また主催したい」と言ってくれる。そんなイベントのこと
イベントを成功させるのってそんなに簡単なことなのか?
というわけで、今回は私・ゆぴ(17)@17歳クリエイターが、サンクチュアリ出版・広報チームから、「ぜひ取材をしてくれ!」と熱烈なオファーを受けたので、仕事の合間をぬって取材に。
取材をしてほしいというくらいだから、さぞかし面白いやり方があるのだろうと期待しつつ、登壇者を選ぶ基準や、イベントを成功させるコツなどを聞いてみたのですが…。
筑田 優(つくだ ゆう)1986年山梨県生まれ。サンクチュアリ出版イベントチーム。基本的に美味しいコーヒーとユニクロと筋トレがあれば幸せです。
山口慶一(やまぐちけいいち)1976年兵庫県生まれ。サンクチュアリ出版イベントチーム。マンガ家を目指すが挫折。現在はタロット占いの修行中。
登壇者を選ぶ基準は「怪しくても面白そうな人」!?
ー今までサンクチュアリ出版はイベント企画を勢力的に取り組んできていますが、あの…ぶっちゃけ300回って営業日より多いですよね。
これって何のためにやってるんですか?
山口氏:
いやぁ、目的なんてあるようでないようなものですよね。ちょっとでもうちのことを知ってくれたらいいなぁ、とか。
そこから派生して面白いことが生まれたらいいなぁ、とか。そんなもんですよ。
ー「取材してくれ」って言っておいてそんなゆるふわな回答あります?
山口氏:
ささやかな願いなのよ。
ー山口さんはもういいです。筑田さんに聞きます。登壇者はどんな基準で選んでいるんですか? 「どこからこの人を引っ張ってきたんだろう…」というニッチな人選に結構びっくりするんですけど…
筑田氏:
ひとつは、副社長の金子が直接SNS上でメッセージを送って声がけをするパターンですね。
もうひとつは、僕たちでポチポチネット上を徘徊して見つけるパターン。ある程度語れそうで、集客も見込めそうで、持っているコンテンツが面白い人。
顔出ししていなくても、怪しくても、有名じゃなくても、コンテンツが面白い人だったら、とりあえずオッケー(笑)
大丈夫かなこの取材
筑田氏:
とにかく面白ければいいので、初心者にやさしいと思います。
界隈にもこだわってなくて、本当にいろんなところに声がけをさせて頂いているので、たとえばFacebookとTwitterという交わることのないプラットフォームがうちのイベントを通じて交わって、そこからまた新しいことが生まれたりもするんですよ。
ーなるほど、それはSNSだけだと絶対に生まれない体験なので面白いですね。ということは、意外とみんなに登壇のチャンスがあるかもしれないってこと…!?
筑田氏:
そうですね。意外と有名な人も登壇していますが、フォロワー2000人とかの時点で声がけをすることもあるので、スモールインフルエンサーにとっても「登竜門」的なポジションになるといいなぁと思っています。
うちでやることが価値になる、と思ってもらえたら嬉しいですね。
イベントの内容はぜんぶ登壇者まかせ。ノルマがない理由とは?
見た目とのギャップがなさすぎる人
ー毎回のイベントの内容はどうやって決めているんですか?
山口氏:
すべて、登壇者に任せちゃっています。これはうちの特徴かもしれませんが、登壇者の方には「○○について語ってください」と指定はせず、「やりたいことをやりませんか」というふうに声がけをしているんです。変な話、「集客目的」のイベントじゃないんで。
ーえっ、集客が目的じゃないんですか?
山口氏:
もちろん、いないよりはたくさん人が集まったほうが盛り上がるとは思うけど、集客に向いているようなテーマをやっても面白くないじゃないですか。有料noteでの要約みたいな。
それよりは、他のイベントで語っていないようなことを語ったり、やったことのないことをやったほうがワクワクしますよね。
あと、うちはイベント会場費用や集客ノルマもないんです。そういうのを設定すると、一気につまらなくなっちゃうから!
自由度が高いところはデザインしやすい。圧力がないほうが面白いものが作れるんじゃないかなって。
ーちょっと待って、あれだけゆるふわだったのにいきなり本質的な言葉が出た。よかった〜!
でもたしかに、「集めなきゃ!」という制約がないぶん、みんな思い思いに好きなことを話して、その熱量で成功するという部分もありるのかもしれませんね。
徐々に取材に慣れてきた筑田氏
筑田氏:
たまに集客に気を遣ってそういったテーマを出してくださる登壇者の方もいらっしゃいますが、他の人と代替可能な内容であれば、ちょっとだけ助言をするようにしています。
ーなるほど、基本的には登壇者に任せるけど、そこだけはちょっとテコ入れをするんですね。
山口氏:
まぁでも1番は「ゆるさが許されている」というのがポイントなのかもしれませんね。ゆるいほうがうまくいくんですよ。どんなプレゼンやセミナーもガチガチに緊張していたらうまくいかないじゃないですか。
ある意味ノルマもないから、登壇者もリラックスして臨めるし、来てくださる方も「遊びに来たよ〜」くらいのノリで来れるのかもしれませんね。
「ゆるい」という極意なんです!
ー(自信満々に言うことなんだろうか…)
イベントを成功させるコツは「ゆるさ」?
ーそんなイベントが300回も成功した理由って何なんですかね?
筑田氏:
ぶっちゃけ、うまくいった理由がわからないんですよね。なんか毎回うまくいくから…。
あんまり気にしない人のほうがうまくいくんです。
ーそれはわからなくもないですが、その…ビジネスとしては「成功の理由」みたいなのを分析して、目標を達成してナンボ、みたいなのがあったりするじゃないですか。
熟考する山口氏
筑田氏&山口氏:
それはめっちゃわかる。
ー(わかってる感じが、お二人からは微塵も感じませんけれど…。)
筑田氏:
もちろん目的の一つとしてはサンクチュアリ出版の知名度を上げることですが、認知度って明確に測れるものでもないじゃないですか。だから、肌感で「成功したな」って思っているというか。
だって普通の人は出版社の名前なんて10個も知らない。そんななかで、結構サンクチュアリ出版という名前が知られているんですよ。別に広告もうってないし、たいしてお金もかけていないのに。まあ、イベントをいくらやっても、僕らの人件費をペイできていないですけど(笑)。
ー(いいのかそれで…。)
山口氏:
ただ、別にこれって勝敗とかじゃないから、勝ち続けてる感覚もなければ、このままずっとこれが続けばいいなとも思っていないですよ。改善できるポイントがあれば改善したいと思ってますし。
ゆぴさんはどう思います?
ーえっ、私ですか? (本当なんなのこのゆるい取材)
うーん、私はぶっちゃけお二人が現状に満足しているように見えますけどね。別に今は利益にならなくても、未来への信頼貯金になってるんじゃないですか。
もしサンクチュアリ出版が危機的状況に陥ったとしても、今までイベントに出た人みんなが助けてくれると思うんですよね。自由に喋れる場を提供してくれた、無名な自分を見つけてくれた、そんな恩を感じているんじゃないですか?
山口氏:
なるほど、見えない利益が出ているんですね。
…ちょっとカードで占ってみてもいいですか?
ーもう好きにしてください。
マジで占いはじめた
筑田氏;
僕、思うんですけど、うちのイベントって逆に真面目にやりすぎたら、バランスが崩れると思うんですよ。イケてるスタートアップにいるような、やる気満々な人がイベントをやったら、うちではあんまりうまくはまらないでしょう。
お客さんからゆるい感じが許されている。登壇者もゆるい感じで発信する。だから、なんとなくうまくいってるような気がします。
ーある種このテキトーさ加減…失礼、ゆるさ加減が結果的に登壇と来客ハードルを下げ、イベントを成功に導いているのかもしれませんね。やる気満々なイベントには皮肉なことに。
筑田氏:
編集長が「忙しくしているのは恥だ」と言っているのを聞いたことがあるので、そういう考え方がサンクチュアリ出版の社員のなかに浸透しているのかもしれませんね。
なんだろう。「狙っていないのにバズるツイート」みたいな。
※編集長注:そんなこと言った覚えはありません。
ー言い得て妙ですね。面白さは余白がないと生まれないと言いますもんね。
山口氏:
!!!! みなさん、最高のカードが出ましたよ! 世界のカード!
なにか出たらしい
山口氏:
よく考えてみると、年間300本のイベントってタロットの大アルカナに通じるものがあるね。大アルカナは愚者が旅をして世界のカードにたどり着くストーリーなんだけど、その間に成長したり、手放したりといろんな経験をしてゆくわけです。そして最後に世界のカードの輪をくぐるとまた新しい旅が始まる。
僕たちはイベントを通して宝物をどんどん持たせてもらって、何度も成功体験をループしているんじゃないですかね。
ー……。
筑田氏:
……。
山口氏:
……。
ーま、まあ、どことなく取材の流れを汲んでいただいたような…? 占い結果をありがとうございます。
基本的には、お二人は何も戦略立てていないかもしれませんが、すべてを登壇者に任せ、損得を気にせずにゆるく企画をし、信用を貯金していく。
これが成功の極意なのかもしれませんね。
ゆぴ(17)プロ17歳。書いて描いて撮って喋るマルチクリエイター。年齢を言い訳にする大人たちに「心の年齢詐称のススメ」を布教中。 17歳らしい繊細な文章が魅力です。(自称)