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繊維と染色の大事なはなし

第2講は「繊維業界で役立つかもしれない素材と染色の話」。
京都より手染メ屋の青木正明さんにお越しいただきました。

講義レポートを担当します、松村です。アパレル企業でレディスアパレルの企画を担当しています。生地や製品を選定する機会はありますが、素材そのものや染色自体を学ぶ機会は初めてで楽しみにしていました!

講師の青木さんは、株式会社ワコールにて企画・材料担当としてMDを10年担当。その後スポーツウェアブランド担当の際にエコロジカルなパジャマ企画を通じて、繊維産地の方から草木染の紹介を受け、興味を持ったそうです。その後退社され、京都府にて草木染事業を始めました。

講義の最初は、ヒトと繊維の関係性、歴史についてから始まりました。

繊維とは、「細長くて折れない線状結合の分子」です。衣類に生息する衣ジラミの研究から、人類は約10~15万年前から衣類として繊維を使用していたと推測されています。また、世界最古の繊維遺跡と呼ばれるジョージア共和国のジョジュアナ洞窟が赤・青・黄色など色とりどりに染められていたそうです。

その後、各繊維の定義についてうかがいました。

天然繊維の中でも、植物繊維・動物繊維に分かれます。
植物繊維:綿・麻の主成分はセルロース(炭水化物)
動物繊維:絹、毛(ウール)はタンパク質

化学繊維は、人工的に絹のような繊維を作ることに挑戦し続けました。
レーヨン:人類最初の化学繊維。セルロースを主成分とする再生繊維。
ナイロン:初の完全なる合成繊維。タンパク質性繊維と似た性質の繊維。
アクリル:毛に似せた合成繊維。軽く柔らかくウールに最も近い。
ポリエステル:現代の万能素材。現在最も使用されている繊維。
ポリエステル以降、革新的な化学繊維は発表されておらず、今日までこの4素材が中心です。

そもそも「染色」は、何が起こっているのかをご説明いただきました。
染色とは、繊維の手と、色素の手が結合する現象です。染色に使用する材料は、「染料」と「顔料」の2種類あります。

染料と顔料の違いは水に溶けるか否かという点。染料は繊維に付着する手(分子の手)を持っていますが、非水溶性の顔料には、色素を固着させるためのバインダー(糊材)が必要です。また、染料にも、「分散染料」「反応染料」など種類があります。

「分散染料」とは、ポリエステルの染色に特化した染料。高い温度と圧力をかけて繊維を緩め、その間に色素の粒子を浸潤させ固定した状態にします。厳密には溶けていませんが、分散状態を維持させるため分散染料と呼ばれます。

綿と麻(セルロース繊維)は、ブドウ糖のみの単調な構成のため、化学反応を起こしにくく、染まりにくいです。しかし、「反応染料」の開発により難解とされてきた綿麻の発色性が向上し、現代の普及率に多大な影響を及ぼしたそうです。

各繊維の分子特性に合わせた染料開発が興味深かったです。繊維を突き詰めていくと、高分子化学が根本にあるという点も納得できました。演色性など染色における色彩特性などの内容にも興味を持ちました。

青木さん、講義をありがとうございました!

松村


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