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織物づくりのキーポイント

第4講は、遠州産地の古橋織布有限会社から浜田さんにお越しいただき、お話を聞きました。

講義レポートを担当します、雨宮です。
産地の学校には、現場レベルでのテキスタイルの知識を学べることや産地見学の企画に興味を持ち参加しました。現在は、自身のメンズブランドとTシャツブランドのほか、2020年のゴルフウェアブランド発表に向け準備しています。

浜田さんは、文化服装学院テキスタイル科のご出身。学生時代の産地見学を通じて産地の技術に惹かれ、現在の職場、古橋織布有限会社に就職されたそうです。当時は、産地に就職する学生は珍しい存在だったとか。現在は20、30代が遠州産地に就職し、若手が集まってきているそうです。

では、そんな浜田さんが勤めている遠州産地とはどのような特色を持っているのでしょうか。

遠州産地は、静岡県西部に位置し、泉州、三河と並ぶ、日本三大綿織物産地です。日照時間が長く、冬でも温暖な気候と、天竜川の豊かな水のおかげで、古くから綿栽培が盛んでした。

明治にトヨタグループが木製小幅動力機を発明し、綿織物の生産が飛躍的に上昇。明治中期には型染め機も発明されました。大正時代には、織物産業は輸出用へ転換し、遠州の基幹産業へ成長。戦後は、時代の波に翻弄されながらもオリジナル生地の開発を模索。そして現在は、シャトル織機の保有台数は国内最大級、オリジナル生地は海外高級ブランドから高い評価を獲得。チャレンジし続ける姿勢が多様な遠州織物を生み出しているそうです。

遠州地方でも栽培される綿は5,000年前から世界的に使用されている身近な繊維の1つ。今では海外産の綿が日本で多く流通しており、日本産の綿「和綿」は生産量がほとんどなく、流通はありません。和綿は繊維長が短く、糸にするには向いていません。一方、繊維長が短く太いため、布団の中綿にするとヘタリにくく長持ちします。

さらに、綿を例にどのように生地になっていくかをレクチャーしていただきました。

繊維は、撚りをかけることによって糸になります。糸は最終製品に合わせて変化させて使用します。効果的な加工の1つが糸に撚りをかけること、「撚糸」です。糸を撚り合わせる本数や、撚りをかける方向により糸の呼び方が変わっていきます。

また、撚りの強さによっても性質・形状は変わります。ソフトな膨らみのある糸にしたい場合は、甘く撚ります(甘撚り)。固くハリのある糸にしたい場合は、強く撚ります(強撚)。

さらに、糸の太さも生地の風合いに大きく影響を与えます。綿糸の太さは、恒重式番手という単位を使って表します。数字が大きくなるほど糸は細くなっていきます。

例えば、
綿番手:1番手=1ポンド(約453g)=840ヤード(約768m)の長さ
と表し、数字への習熟がかなり求められそうでした。

出来上がった糸は、たて糸とよこ糸として直角に交差させられ布地となります。布地の織り方の中でもっとも基本的なものは、平織り・綾織り・朱子織で、これを織物の三原組織といいます。それぞれ独特の風合いを持ちます。

また、織物の密度を変えることによっても、生地の風合い・性質は変わっていきます。密度とは、1インチ=2.54cmあたりどのくらい糸が入っているかを表しています。

例えば低密度の織物には、ガーゼ、シーチング、金巾などがあげられ、柔らかく、優しい肌触りのものになります。

高密度には、ブロード、バフクロス、タイプライタークロスなどがあげられ、しっかりとした硬めの生地になり、ミシンの扱いも楽です。

最後に、最終加工、目付け、混率などを教えていただき、遠州産地の生地サンプルを実際に触りながら、知識をより実践的なものにしていきました。

今回は、下記の冊子も見ながら講義を受けました。興味のある方は、ぜひご覧ください。PDFのダウンロードができます。

雨宮


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