茂            441-0/21Ⅳ


     林道の茂に襲われる如し  暦

 「林道の新緑襲いかかる如」「林道の新緑襲うかの如し」というのも考えた。「新緑」はさわやか感に重きをおいている感じがした。さわやかさよりも、植物のたくましさの方を言いたかった。「新緑」について、「きごさい歳時記」の解説は、「初夏の初々しい若葉の緑をいう。その頃のさわやかな気候ともあいまって、目にしたものの気持ちを清々しくしてくれる。また段々と緑を増してゆく木々の微妙な色の違いも、この季節ならではのもの」とあって、ことばのイメージどおりである。
 「新樹」という季語もある。こちらの解説には、「若葉におおわれる初夏の木立をいう。新緑は風景、新樹は樹木を指す。みずみずしい新樹に包まれる山や野には生命力がみなぎる。」とある。樹木というより、車で走っていると迫ってくるその圧倒的な緑の塊の生命力が言いたい。もっと的確なのは何かと考えて「茂」に至った。
 「茂」の解説には、「夏、草木が盛んに枝葉をおい茂らせること。鬱蒼とした樹木は、夏の強い日差しを遮り、暗い森の中の「滴り」をさそう。山全体の茂もさす。樹木だけではなく、草むらにも用いる。」とあった。そうそう、こんな感じを表したかった。


異存・難色の発声(4回でアウト)

 アウトだった。

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