色なき風         358-1/21Ⅴ


     かたかたと色なき風や葉を揺らす

 ベランダで洗濯物を干していると紅葉の葉っぱが小刻みに風に揺れていた。かたかたというような揺れ方だった。
 秋の風は金風とも言う。これは、五行説で秋が金にあたるからだ。春は木、夏は火、冬は水である。土は四季にまんべんなく割り振られていて、それが各季節の土用ということである。金は物を断ち切る刃物からきていて、春、夏と盛んになり過ぎたエネルギーを秋でそぎ落とす的な意味があるそうだ。ちなみにこの五行説でいうところの季節の色は、春は青、夏は朱、秋は白、冬は黒(玄)である。秋が白だという理由は、金が白だからという説や
霜や露が白いからという説があって、いずれもあやふやだった。
 季語として金風を使ってみようとしたことはある。なんとなく豪華な風みたいな感じがして、そのときは結局秋風にした。音からして、金封とか金屏風に結び付けてしまった。金の意味を知ると、がらりと感覚が変わって、そういうことなら使えそうだと思った。

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 きのう作った句「曇り空紅葉の錦松の青」の「紅葉の錦」は、錦と言うからには織物をイメージしている。紅葉の色が糸の一本一本に匹敵するくらい細かい色の集合だ。だからこれは山一帯の広大な景色のことを言っている感じがするから、庭の紅葉とは違うと思った。自作の句はどこの景色かは曖昧であるものの、その織物の一糸を指して松と特定しているのは違うような気がする。ちょっと遠近感がちぐはぐな句になったかなというのがきょうの感想である。


異存・難色の発声(5回でアウト)

 今のところセーフだと思われる。

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