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無痛分娩は痛いっ!?

1.出産予定日の憂うつ

妊婦さんは出産予定日が近くなると、我が子に会えるワクワクと、はたして陣痛に耐えられるか?陣痛はどれくらい痛いのだろう?という不安が入り混じった、複雑な心境になられるのではないかと思います。

いろんな感情や不安が入り混じって”出産するのが怖い!”
という気持ちになられる方もいらっしゃるかと思います。

そんな時、無痛分娩をしたい。
と痛みのないお産への思いがよぎっても不思議ではありません。
私が勤めている病院は出産時に硬膜外麻酔による和痛分娩が選択出来る施設です。
そう。和痛分娩・・・。
この硬膜外麻酔分娩を選択された方に、ちょくちょく、ちょっと不思議なことが起こるんです。

2.無痛分娩の実際

硬膜外麻酔は、硬膜外腔という場所にとってもとっても細いチューブを入れて分娩が終了するまで麻酔薬を少量ずつずーっと注入し続ける方法です。

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                  ※脊髄クモ膜下麻酔=下半身麻酔 


硬膜外麻酔の効果は、痛みをやわらげるとともに、筋肉を緩める作用があります。
  
そう。
赤ちゃんを押し出してくれようと収縮する子宮の筋肉も緩んでしまうので、この硬膜外麻酔、しっかり陣痛が来ていて、分娩が進むであろうと医師が判断した時に硬膜外腔にチューブを挿入して麻酔薬を注入して行くことになります。


そのため、どれだけ本人が「痛い!!」と叫ぼうが、お産が進まない時期。もしくは、”まだだな。”と医師が判断すれば、麻酔は開始しません。
という事で、ある程度分娩が進行してから実施されるものなのです。
更には、息んでほしいときに(もう生まれるよ。という頃)”息みたい。”という感覚(排便の時の排便感。トイレに行っていきんで出したい。という感覚ね。)もなくなるため、あえて痛みはゼロにはしません。
それが無痛ではなく、和痛分娩と呼ばれる由来です。

3.痛いのに、麻酔は効いている!

例えば、陣痛の痛みをマックス10として、硬膜外麻酔で痛みを2~3へ 和らげたと仮定しましょう。
無痛だと思っている産婦さん(妊娠中は妊婦。出産中は産婦)は、この2~3の痛みに耐えられず、「いたーい!!」と叫びながら分娩をすることがあります。
痛みに弱い方。痛みが来ることが怖い方は2~3の痛みにも耐えきれず、硬膜外麻酔の恩恵は感じられなかった。という出産になります。

硬膜外麻酔の効果は、本人の痛みが和らいでいるかどうかではなく、温度感覚や痛みの感覚があるかないかで判断します。
冷たさや先端のとがったもので太ももをつつかれた時の痛みは感じないけれど、本人は陣痛のたびに叫んでいる。というようなことが起こります。

4.ある経産婦さんの分娩

初めてのお産で陣痛がかなり痛かったらしく、2人目は硬膜外麻酔での分娩を希望されていました。

陣痛開始から6時間後陣痛の間隔が4~5分毎になり、子宮口が4cm開いたところで硬膜外麻酔のチューブを挿入。麻酔薬を注入開始しました。
本人は陣痛の度に「痛い!痛いっ!!麻酔を増やしてー。効いてない!!」と叫んでいましたが、冷たいアルコールの綿で太ももを触っても冷たさは「分かりません。」と言い、アルコールの袋の角で太ももの内側をつついても痛みは「ありません。」というので麻酔薬を上げることなく、でも、自然といきみが入ってしまう排便感は麻酔の影響で感じないため、いきむタイミングもつかめず、結局「イタイ!イタイ!!イタイー!!!」と叫びながら出産を終えました。
ママも分娩介助しているスタッフも疲労困憊。

硬膜外麻酔で出産を希望されている場合で、こういうケースにちょくちょく出会います。

5.硬膜外麻酔分娩でも、呼吸法がKey!!

硬膜外麻酔分娩を希望される場合、痛みがない出産 (⋈◍>◡<◍)。✧♡
と思われていると、思っていたのとはちがーう!!💦
という状況になります。
硬膜外麻酔分娩でも痛みはゼロではありません。無痛ではなく和痛です。

硬膜外麻酔分娩を選択された方がパニック分娩をされないよう、産婆さんからアドバイス!

硬膜外麻酔分娩でも呼吸法は練習しておきましょう!!

最後までお読みいただきありがとうございました。





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