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出産。それは排便感との闘い‼️

今回は出産の際の”排便””排便感”についてのおはなし。
”排便””排便感”という言葉がたくさん出て来ますので、お読みになる際は 食事時などを避けてご覧ください。m(__)m

「お産の時に便が出そうになって必死に出ないように頑張った。」
「お産の時に便が出て恥ずかしかった。」

そんなエピソードを聞いたことがありますか?
お産の時に便が出るなんて絶対イヤッ!!
恥ずかしい!!
って思いますよね。
誰でもそう思うと思います。


1.排便感。それは・・・

お産の時の排便感(トイレに行きたくなる感じ。もしくは便が出そうになる感じ)は必ずと言って良いほど産婦さんから訴えがあります。

それは・・・
つっかえているのは便ではなく、赤ちゃんの頭です。
赤ちゃんが下りて来ようとしているサインです。

排便感を産婦さんが訴えるようになると、初めて出産される初産婦さんで排便感から約2時間以内、経産婦さんで約30分〜1時間以内に出産になることが多いような気がします。

私は、産婦さんが排便感を訴えるようになると、分娩セット(分娩に必要な機材一式のセット)を開いて分娩介助の準備を始めます。

つまり、助産師は産婦の排便感の訴えを、分娩が進んでいるサインのひとつ。とみています。

2.出るものは出る

赤ちゃんが生まれ出るためには子宮口が10センチ開かなければなりません。
排便感があれば、通常はいきみたくなる。もしくは勝手に体に力が入っていきんでしまうようになるのですが、まだ10センチ開いていなければ、
「まだいきまないで。」
「ハッハッハーでいきみを逃してください。」
と助産師に指示されます。

いきみたいのにいきみを逃せと言われる。
便が出そう。でも、便が出てしまうのは絶対イヤ!!

では、どうなるでしょう?

多くの産婦さんはお尻の穴をギュッ!!と閉めて、いきみたいけど我慢!!
もしくは、絶対便が出ないように耐え忍ぶ。
という状態に陥ります。
そう。全身に力が入り、子宮内圧が上がり、陣痛が強烈な強さになり、狭い産道は硬くなって、あなたもあなたの赤ちゃんも辛くて苦しい状態になる。という悪循環に陥ってしまうのです。
(これに関しては以前の記事をご覧になってください)

https://note.com/preview/n1fe595926d99?prev_access_key=c80b8bedcc37761f6b98334056e66821

あえて、はっきりお伝えしておきます。
出産時、便秘で直腸に便が溜まっている場合、必ず!!便は出ます。
どんなにあなたがお尻を閉めて頑張っても出るものは出ます。
そして助産師は陣痛時に便が漏れて出てくるようになれば、
「もうすぐ生まれるな。」
と思います。
助産師からすれば出産時の排便はWelcomeです。
なぜなら、出産時の排便は想定内だと思っているから。
(嘔吐物の方が苦手な助産師の方が多いのではないかと思います)
ですが、出産する産婦さんの恥ずかしい。
という気持ちも理解できます。
妊娠中から便秘予防をしておきましょうね。

3.なぜ排便感があるの?

なぜ排便感があるのでしょう?
それは、尾てい骨と産道(膣)の間に直腸があるからです。


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赤ちゃんは子宮の収縮により、尾てい骨に沿ってまずはお尻の方(後ろ)へ向かって降りてきます。
それから、尾てい骨と頭で直腸を挟むように直腸を押しながら産道(膣)を通って下りて来ます。

10センチ近い赤ちゃんの頭で直腸が押されるので、まさに便が直腸まで来た時に感じる排便感を生じます。
この排便感を陣痛の度に感じるようになれば、もうすぐそこまで赤ちゃんが下りてきている。もうすぐ会える。という状態です。

この状態で便が出ないようにお尻の穴を閉めて頑張ったら・・・。
赤ちゃんは狭い産道の中で子宮の収縮で押され、さらに母に通り道を閉められて二重に強いストレスを受けることになります。

お尻の穴を閉めずに、産道にも力が入らないように、赤ちゃんが通りやすくしてあげるために、排便感を感じたときから呼吸法の仕方を変えます。

4.排便感を利用する

排便感を感じる。もしくは、いきみたいような感じが出てきたら、お尻の穴を開くようにしていきます。
そうです。便が出そうになったら、止めない。のです。
排便感が出てきていきみたくなる。という事は、赤ちゃんが下りてきて貴女に会いに来ようとしているサインです。
ですが、この通り道は赤ちゃんにとっては最もきつい場所で胎児心拍が下がりやすい(胎児仮死になりやすい)難所でもあるのです。
赤ちゃんにとって最も狭く、苦しくきつい場所なので、出来るだけ身体に力を入れず、通り道を緩めてやる必要があります。
いきみたくなったら、その”いきみ”を利用します。

その排便感、出ようとしているのは便ではなく、あなたの赤ちゃんです。

いきみ(排便感)を利用する呼吸法を説明します。
1.お尻の穴をキュッと閉めます。
2.お尻の穴を緩めます
3. もう一度、お尻の穴をキュッと閉めます。
4.お尻の穴をゆっくり緩めます
5.もう一度、お尻の穴をキュッと閉めます。
4.お尻の穴をゆっくり緩めながら、そのまま開くようにしてみてください。(おならを出す感じが一番近いかもしれないです。)

このいきみを利用する方法が難しい方。
やり方が掴めない方は、次の方法でコツをつかんでみましょう。

この”いきみ方”の練習は、実際の排便時にトイレで出来ます。
毎日排便がある人は、毎日出産の練習がトイレで出来ます。
痔が出来るのも予防できるので、排便方法としても男性にもオススメです。

1.鼻から息を吸います
2.息を吐きながら便がつっかえていることを感じながら、お尻の穴を開いていきます。 
これを何度も繰り返しながら、便が肛門を通って便器に落ちる。
という練習をしてみてください。

便秘をしている方にとっては難しいかも知れません。
便が硬すぎても練習しにくいですし、病院で下剤を処方していただいている場合でいきまなくても便が出る人もコツが掴みにくいかもしれません。

肛門と膣は近い所にあり、8の字で筋肉がつながっています。
そのため、肛門をギュッと閉めると膣もギュッと締まり、肛門を開くようにすると膣も開くのです。
いきまなくても、子宮の収縮が赤ちゃんを押し出してくれます。
あなたが肛門を開くと、同時に赤ちゃんの通り道である膣を緩めることが出来るので、いきみを逃しながら、赤ちゃんにもストレスがかかることなく、赤ちゃんは降りて来れます。

肛門弛緩法。もしくは”うんちトレーニング”と呼んでいます。

この方法で出産される方は、第3者からみればいきんでいないように見えたり、陣痛がまるで痛くないかのように見えます。
なぜなら、肛門を開くために力が入っているだけで、顔や上半身に力が入っていないからです。

お産の時に体力を使わずに出産できるだけでなく、吐きながら肛門を開くようにしていると、体の中を硬いものが下りてくるのが分かります。

その硬いものの正体は”貴女の赤ちゃんの頭”です。
あかちゃんが下りてくるのが分かれば、どこに赤ちゃんがいるのか分かるので、出口まであとどれくらいなのかは、助産師よりママの方が分かる。
という状況になります。

なので、私の声かけは、
「硬いのが下りて来てる?」か「もうすぐ出そう?」になります。

ちなみに、胎児の頭の大きさは10センチ近いので、尾てい骨のあたりに掌を置いていると、陣痛の発作時(痛いとき)に、尾てい骨が赤ちゃんの頭で押されて微動するのを掌に感じることが出来ます。
時々、パパにも同じように尾てい骨に掌を置いてもらい、この『尾てい骨の動き』を感じてもらうこともあります。

赤ちゃんがママに、そしてパパに、会うためだけに狭くて暗くて苦しい産道をたった一人で通って来る頑張りを感じることができるようなお産が出来ると、出産する事が苦しくてつらいだけの体験ではなく、赤ちゃんと一緒に頑張れるお産になると思います。

貴女のお産が素敵なお産になりますように・・・・。



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