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火球

子どもの頃は
流れ星は夜空の星が流れて落ちてくるのだと思っていた。
だからといって、夜空の星が段々少なくなってしまう
とは考えていなくて
星の数はものすごくたくさんあるので時々落ちるくらいなら
ほとんど無くならないという奇妙な確信があった。(←半端な天文知識)

中学生の時、気象天文クラブに入って
天文ガイドなんぞをワケワカランままに読み始め
流れ星のほとんどが砂粒ほどの大きさしかない
ということを知って、かなり驚いた。

とはいえ実は、高校生になるまで
流れ星はテレビでしか見たことがなかった。
札幌のマチナカ育ちだもんで。
初めて見たのは多分、ジャコビニ流星群を石狩浜まで見に行ったときだ。
流星“雨“とはならなかったが
初めて満天の星空を見ることができたし、いくつかの流れ星も見られた。
浜にお住いのみなさま、うるさく騒いでいたのは私たちですごめんなさい。

それから数年後
おそらくはわが人生最初で最後と思われる大きな流星を見た。
特に大きな流星を火球というが、あれはまさに大火球だった。

夏休みに小樽の親戚の家に行ってみんなで花火をした帰り。
先頭を歩いていた私がふと海の方(北)を振り返ると
流星が東から西へ向かって飛び始め
「あ、流れ星!」と言う声にみんなが一斉に振り向いてそれから
「あーーーー!」というくらいの時間、飛んでいた。
長い長い尾を引いた大きな火の玉が星空を切り裂くように飛んで消えた。

そして数十年後
テレビでハヤブサの大気圏再突入を見てこのときのことを思い出していた。
あの大火球も多分、大気の摩擦に力尽きた人工衛星だったのだと思う。

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