見出し画像

憑物が落ちる

昔々、フルーツパフェに執着していたことがあった。
人生にいくつかあった、ストレスが溜まりまくりの時期。
近所のカフェを巡って一般的なフルーツパフェを食べてみたが
ナンか、これじゃない!
当時東京に住んでいたので時間をやりくりして新宿に出て
某有名フルーツ店のフルーツパフェを食べることにした。
わくわくと最大の期待を持って注文したら
出てきたのが、浅いガラスの皿に入ったフルーツの盛り合わせ。
アイスクリームも生クリームも無し。
皮をむいたブドウやイチゴや黄桃やバナナ等々
上品に一口大に切られたのを食べてみると
何とまあ、果物の味がするではありませんか・・・
で、皿の中にたっぷりと美味しそうな「ジュース」が溜まっているのに
付いていたのがフォークだけ。
まさか皿を持ち上げて直接口を付けるのもはばかられ・・・
それ以来フルーツパフェは食べていないし食べたいとも思わなくなった。
これが

憑き物が落ちる

というヤツか。

何かがたまらなく大好きでも
いつしか関心が無くなっていることもあれば
突然にどうでもよくなることがある。
「憑き物が落ちる」とはよく言ったモノで
なるほど、あるとき一度に関心を無くす有様は「落ちる」である。
夢から覚めるような感覚だが
目覚めているときに「落ちる」場合には
大抵は「なーんだ」と「がっかり」して「落ちる」のではないか。
大きな期待やあこがれがあって、それが執着心の元になっているのが
期待もあこがれも空振りしてしまうと一気に熱が冷める。
ということは
何かの執着心を無くしたいときにはがっかりしてしまえばいいのでは。
とはいえ
それが自分でできれば苦労は無い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?