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お岩さんとの色々

読書
勉強

昔は“読書週間書店くじ”というモノがありまして
(今だと「読者還元祭」というものらしい)
実は
この書店くじで1万円分の図書券が当たったことがあった ♪
大体、くじというモノにはほとんど当たったことが無く
くじ引きとはポケットティッシュをもらいにいく、だったので
この時には嬉しいというよりホントに驚いたのである。

あれは大学の通信教育課程で勉強していた時
リポートを書くのに参考書が必要で
ネットもアマゾンも無い時代だったので
1万円札を握って列車に乗って、マチまで出て
大きな棚にぎっしりの本が並んでいる書店に入って
(大量の本を前に涙が出た)
1万円でできるだけ必要な本を揃えようと、一生懸命に選んだのだ。
当然、岩波文庫や新書が多くなったのだが
さてそこでもらったくじの一枚が大当たりで
「1万円分の図書券」♪
書店に引き換えてもらいに行ったら、店員さんが
「うわー、ホントに当たること、あるんですねー!」ってw
その時買った中には国語学各論の課題「江戸時代の戯曲」用の参考書として
鶴屋南北の「東海道四谷怪談」があったので
これはきっとお岩様のご利益であろうと。

うれしくてうれしくて、姉に電話して教えたら
姉の子ども(甥)から電話がかかってきて
「ボクも大学受験で本代が大変なんですよねー」だと!
おばとしては、泣く泣く半分の5000円分の図書券を送ってやった。。。
その後、甥はめでたく第一志望に合格できたし
自分も七転八倒の末大学を卒業できたので
やっぱりこれはお岩さまのご利益に思えて
大学卒業直後、東京に出た時に
四谷のお岩稲荷にお参りにいったのだったが
おそらく・多分、これで一生分の運を使い果たしたのではとw

さてそこで・あらためて
あの、お岩さんが出てくる怪談話、四谷怪談って知ってますよねえ?
お岩さんの恐ろしい顔だとか・うらめしや~だとか。

原作は江戸時代の劇作家ご存じ鶴屋南北の「東海道四谷怪談」で
全五幕という結構なボリューム。
リポート書くために岩波文庫で読んだのだけど
そしたら、思ってたのと、ちょと違う
っていうか、かなり違うので驚いた。

いや、確かに怪談なんだけど
おどろおどろしくて怖いだけじゃなくて
かなりの部分がコミカルでナンセンスで猥雑で…
要するにこれは江戸時代のえんたーていんめんとな舞台だったワケだと!
なるほどこれならこれだけ長くても
お客さんは飽きるどころか大喜びだったんだろうなあ。

江戸時代には大の男も
「こいつはすてきだ」
なんて言ってたのかー!という発見もあったし
これはぜひ一度全部お読みになることをおすすめしたい!

というわけで
「知ってる」けど読んだことない本って結構あるもので
教科書で必死に暗記したあの作品名やこの作者名
「吾輩は猫である」「脂肪の塊」「ガリア戦記」…
こういう本のどれかひとつでも、きちんと読んでみてはと。
自分で読むことは絶対損にはならないと思う。
あらすじで読んだ気にさせようという本などもあるが
それはヘリで山の頂上に運ばれるようなもので山を歩く経験ではない。
だから10冊のあらすじより1冊きちんと読んだ方がいい!
あらすじだけで分かったような気になるのは気のせいだ。

さて追加のお話。
東京に出てお岩稲荷にお礼に行ったときのこと
参拝の先客がいて
それが
紫のもこもこのセーターを着た髪の長い中年という感じの女性で
その人が一心不乱に祈っていたのですな。
肘をはって両手を合わせ髪を振り乱して「ぶつぶつ…ぶつぶつ」

あ、これ、絶対に、オトコを呪ってる!

という風情がナンというかこう
紫のもこもこセーターというだけでなく
全身から紫色のオーラが沸き上がっている感じで
やヴぁいやヴぁいやヴぁい!!
で、そっと急いでその場を離れたのですな。
四谷怪談より怖かったのでございました。

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