見出し画像

呪いの実態

小さな怪奇現象

人を呪わば穴二つ、と言うが
それくらいに呪うと言うことは大変な罪で・罪には必ず報いがくるのだから
呪うなどということは軽々しく考えるものではない
という戒めなのだろう。
「呪う」には二つの意味があって
一つは
「恨みのある人に禍があるようにと神仏に祈る」(広辞苑第二版補訂版)
(こんなことを仏様に祈るモノだろか)
もう一つは
「一般に、憎く思う者がよい運命をたどらぬように願う」(同上)
どちらもかなり、くらーい・どろどろと・根に持つ感じがしますのう。
さてそこで
昔々の若いころ、自分も真面目に(?)呪ったことがあった。
マチナカで呼び止められ大手ミシン会社のアンケートに答えたら
後日電話がかかってきて「十万円の金券が当たりました」と言う。
今なら怪しいとしか思わないし
そもそも街角でアンケートなんぞ書かないが
まだ二十代前半のウブな自分は素直に大喜びした。
数日後家まで営業の方がやってきてカタログを見せられたので
金券にお金を足して買うつもりで「どれにするかゆっくり考えます」
と言ったのだが
買いたい機種を決めて電話をして支払いの話になったとき
金券は私の勘違いのようなことになって
ちょびっと値引きするだけと言うハナシになってしまい…
その後何度も電話をかけて何度も営業所に行ったのだが
「Fはー、自動車学校に行ってるんですよねー」
と、受付の女性が「たらーん」とした返事をするばかり。
我が家に来た営業の人とは一向に連絡が取れない。
とうとう「もういりません」と腹を立てて断った。
その後、マチナカでその会社の大きな看板を目にする度に
「つぶれてしまえ!」と念じるようになって
それからほどなくその会社は倒産してしまった。
いやいやいやいや
もちろんこれは私の「呪いの力」ではなく
その大手企業がすっかりダメになった挙句に金券で釣るようなマネをした
ということなのだろう。
その証拠に、その会社は倒産したが自分はそれから40年以上生きている。
たくさんの人に呪われるようなことをしていてやっていけるワケがない
と言うのが呪いの実態ではあるまいか。
アレは倒産する企業の断末魔の痙攣のようなモノだったのだろう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?