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過飽和現象と過冷却現象と

勉強

科学の用語では過飽和現象と過冷却現象が好きなのでちょと書いてみる。

過飽和現象
子どもの頃、どこかの国の山奥の谷では
ぱん!と手を叩くと、いきなり大粒の雨が降ってくることがある
という話を読んだ。
これは空気中の湿度がギリギリまで高くなっている状態で
何かの刺激がきっかけとなって一度に水蒸気が凝結して・水滴が出来て
雨となって降り注ぐということだ。
本来空気が含める水蒸気量の上限は温度によって決まっているが
4人掛けのソファーに無理やり5人座るような状態になることがあって
そんなところで何かの刺激が加わると(この場合は拍手の音)
ソファーから人が転がり落ちるようなものか。
目には見えない緊張状態と言いましょうか
表に出ない破綻状態と言いましょうか。
ゆっくりとした変化は時として限度を超えても気が付かない
というまるで「本当にあった怖い話」のような事が起きるのだ。
この過飽和現象を実際に経験したことは無いが
ぎりぎりで結露したようなことはいくつも見ている。
まあ結露なぞ珍しくはないのでちょと珍しい結露を紹介する。
住宅の結露というと大体、外が寒くて部屋の内側がくもって・水滴がつく
モノなのだが

何年か前、11月の末に
朝、玄関のガラス戸の外側が曇っていたことがありましてな。
大きな水滴も付いている。
札幌のアメダスによると前日の夜からの気温は
午前3時で8.3度とこの季節としては高く
その後ゆっくりと下がって午前8時に6度となっていき
明け方5時から6時にかけては雨が降った。
雨が降った5時から8時までは湿度が90%越えと高い。
玄関の外ガラスが曇ったのを見たのは午前7時半ころだったが
おばあちゃんは6時過ぎに気が付いて一度雑巾で拭いたが
またすぐに曇ってしまったのだと。
そこで、外の気温と湿度、並びに外のガラス戸の温度を測ってみた。

5℃
札幌管区気象台では気温6℃で湿度94%

午前9時半には大きな水滴の跡を残してすっかり乾いてしまった。

湿度60%、青空が映っている

この時間にはすっかり晴れていた。

ガラス戸の温度と気温との差は思ったより小さい。
それなのにどうしてこんなに曇ったのだろうか。
午前8時の気温6度で湿度94%の外気が
5度のガラス戸で冷やされると
1m3当たり0.5g程度の水が結露=曇りになるはずだ。
うーん。
ガラスには大きな水滴も付いていたので、雨粒が直接当たったのだろう。
雨が降っていた時の気温は約7度。
直接雨粒が降り注いでいたことを考えると
その時湿度はほぼ100%だったのでは。
5度では1m3当たり最大6.8gの水が含まれるが
7度だとこれが7.8gなので差し引き1g。
ガラスはその時に曇って、そのあとは乾くことができなかったのでは。
アメダスのデータはあくまでも札幌市の中心部なので
わが家のそばでの午前8時以前のデータは無い。
さて、どうなんだろうか。

過冷却現象
北海道でも玄関の地に住んでいたころ

マキストーブだったので、夜寝るときには火を落としていた。
木造の古い家は冷えに冷え
朝起きたら居間がマイナス12度だったこともあった。
そんなある冬の朝、文字通り凍りつく台所に立つと
調理台にアルミの小鍋が乗っていた。
そういえば昨日、水を入れたまま忘れていた!
きっと凍っているだろうとそっとフタを取ると
水のままだった。
ああ助かった、と思ってフタをひょいと裏返しに横に置いたら
つまみの所でくるりと回転して鍋の横にこちん、とぶつかった-
次の瞬間
鍋の中を見えないハケですうっと円くなでたように
水が乳白色の細い細い毛の束となって凍っていった!
その間2秒足らず。
それはちょうどフタがぶつかった場所から始まったので
凍るべき温度になっていた水がぶつかった振動で凍り始めたのだと考えた。
後で調べるとこれが「過冷却現象」というものだった。
水が凍り始めるためには温度が下がるだけではなく何かの「きっかけ」が必要らしい。
それは核となる小さなゴミだったり今回のように振動だったりするという。
ピイーッ!という合図で
待ちかねた水分子がさあっと結晶に並び替えるようなものか。
というワケで
過冷却現象の方はしっかりと体験できたのである。
実験室ではなくても、身近にサイエンスは転がっている♪

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