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人類が発見した画期的な省力装置

人類が発見した画期的な省力原理が「てこ」だと思う。
てこは梃で、まっすぐの丸棒の意味だ。
人類が初めてこの力を実感したのは
長い棒の一端を持ち上げたときではなかったか。
そのまま持つと重い棒も
片端を地面につけたままでもう片端を持つと、軽く持ち上がる。
この場合、棒の地面についているところが支点と作用点で
手で持っているところが力点となる。
棒の中ほどを持つのと端を持つのとでは手に感じる重さが相当に違う。
人類はこのような経験を積むことで
一本の棒で重いモノを持ち上げたりどけたり運んだりすることを覚えた。
このてこを縦ではなく横に使ったのが「ろくろ」である。
重い船を海から浜に引き上げるとき
あるいは山から大木を引き出すとき
車輪を横たえたような形のろくろが使われた。
車輪から突き出した棒を押すことで
車輪を回して綱を巻き上げていったのだ。
記録によると出雲大社の巨大な柱を引き立てたのにも使われていた。
時々、大ピラミッドの大きな石を運んだりという
大昔のまだ土木機械の無い時代に
大土木工事が行われていたことを「謎」として不思議がることがあるが
今と違って自分の身体で直接モノを扱っていた時代なので
モノの扱いに関する経験と感覚と工夫は今よりもあったと思う。
ある何かをやらなくなればほんの数十年で
それに関する感覚も経験も技術も消えて行くものだ。
たとえそれがとてつもなく大がかりな事でも記録してあっても。

そして
ろくろを縦方向に使ったのが滑車で
建築現場だけでなく、井戸の水を汲むのにも大活躍した。

こうして見てみると、身の回りのたくさんのてこに気付く。
例えば、ねじ回しの取っ手は太い方が楽に回せる。
これはてこの棒が長い方が少ない力で大きな仕事ができるから。
ドアノブが丸いのも車のハンドルが丸いのも
力を伝える軸を直接つかむより楽だから。
自転車のハンドルも同じこと。
蝶ネジもトイレの水を流すレバーも、てこ。

ちなみにてこを英語で言うと
Lever レバー である。

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