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あぐらをかく

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大分前、インフルエンザにかかった時のこと
しばらく奥の和室にこもっていたのだが
少し起きられるようになってからパソコンを座卓に乗せて使っていたら
足がしびれて、というか痛くて30分も正座をしていられない。
これはやっておかなくちゃ、ということを
足の痛みを我慢しつつ・こなしていっていよいよ我慢できなくなっては
膝をくずして横座りしたりあぐらをかいたりしてみたが
どういう座り方だろうと膝を深く曲げなくては“座る”ことができない。
和式で座るということは、膝を深く曲げることだと見つけたり!
それと・和式で座るときには
正座以外だと身動きがままならないこともあらためて実感した。
正座だと両足の上にお尻が載っているので
立ち上がりたいときには少し片側へ体重を移動させて
お尻の下から片足を抜いて、その足で身体を持ち上げるので
楽に・簡単に片足を抜いて立つことができるのだが
これが横座りになると
一旦上半身を両足の真ん中に移動させてから
改めて正座からの立ち上がり動作を始めるか
両手をついて四つん這いの姿勢から立ち上げることとなる。
よっこらしょ、である。
あぐらでは、立ち上がるなら身体を前に傾けて
軸足の足裏を床につけておいて身体を持ち上げるが
少々手を広げてバランスを取るのでそれだけの空間が必要となる。
こちらも、よっこらしょ、である。
しかも
ちょっと離れたところに手を伸ばそうとすると
正座なら膝をずらして移動できるが
横座りやあぐらだと、一旦、正座の形に持っていく必要があるのだ。
さてそこで
正座と横座りやあぐらの違いは何か、というと
お尻を直接床につけているかどうか、だ。
お尻が身体の一番低い場所にあると、重心の移動がままならないのである。
だから
偉い人はあぐらをかいて・動かないで
仕える人はすぐに動けるような正座・跪座あるいは蹲踞の姿勢だったのだと。
そういえば
“〇〇にあぐらをかく”という言葉は
いつもの新明解国語第三版では
足を前に組んで・楽にすわること
「既得権の上・(古いのれんの上)にあぐらをかく[=…である点に安住して、本来なすべき努力を怠る]
とあって、要するに
そこにべったりと座りこんで動くつもりがない
という状態を言うのだねえ。
なるほどなるほど。


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