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投票に行こうよ

読書

選挙があるたびに10年前に読んだ本を思い起こす。

「チョコレート・アンダーグラウンド」
アレックス・シアラー 著 金原瑞人訳 求龍堂

あの時は図書館へ行って、適当に軽い読み物を、と借りてきたのだ。
ところが読み始めてすぐに仰天してしまった。
この本はジュニア向けの冒険小説で
ある日「健全健康党」という政党が第一党となって
「チョコレート、砂糖および添加物禁止法」で
違反品目の没収や所持者の摘発、投獄、洗脳を始める。
チョコレートを食べたい・売りたい・作りたい人たちは
アメリカの禁酒法時代と同じく地下(アンダーグラウンド)へ…

さて、どうして「健全健康党」が第一党となったのかというと
「健全健康党」なんてところを支持するような人が圧倒的に少ないにもかかわらず
 別に自分が投票しなくても関係ないでしょ
 どうせ誰がなっても同じだし
と、大多数の有権者が投票に行かなかったから(!)
(ここまで読んでうああああ!)

投票率は高くても低くても当選そのものには関係なくて
「投票された票数の中で」たくさん票を集めたところが当選するからね。
嫌だなあ、なんて、ぼんやり考えていても
投票しないと票は動かない。
お金持ちもそうでない人も
一票は一票!(これはすごいことだと思う)

入れたいような候補者がいなかったら
できるだけ「マシな」人に入れるとか
落としたい人の対立候補に入れるとかさ。
で、自分が票を入れた人が、みんなのお金を使いこんだとか
そういう、しょーのないことをやらかしたら
一票を投じた大人としてその人に文句を言えば?
…そうするのが大人の責任ってものなんじゃないかなあ。
子どもにはいつもエラそうにそんなこと言ってない?
あら、投票に行くの?真面目だねえ(ふっ)
なんて、言ってる場合じゃない!

「地獄への道は善意というアスファルトにおおわれている」

「許しは必要だ…だがそれは、忘れるということではない」

などなど、魅力的な言葉が散らばっているこの本は
子ども向けだが大人が読んだら3倍くらい面白いと思う。
学校で社会科の副読本にしてもいいのではなかろうかと…。
ちなみにこの小説はBBCでドラマ化されているし
日本でアニメ化もされていた ♪

ヘッダー画像はハトの羽毛を運ぶ1匹のアリ。
道路で不自然に動いていく小さなハトの羽毛を見つけてよく見たら
1匹のアリが羽毛の羽軸をくわえて運んでいて
アリ1匹で小さいとはいえ1枚の羽毛を運べるんだとちょと驚いた。
投票用紙は1枚では羽毛のように軽いが
その「重み」はアリにとっての羽毛のように「大きい」。
アリが運ぶ羽毛はまるで広い海を行く船の帆のように見えた。

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