いっさいは苦しみ
わかるよ。
わたしもそうだったから。
苦しいのは、あなただけではない。
みんな苦しい、みんな苦しいけど頑張ってる。
だからあなたも頑張ってという人は、何もわかっていない。
わかるなどといい乍ら、他者の苦しみなどわかりようがないことを、わかっていない。
善かれと思ってその実あなたをうんざりさせていることをわかっていない。
わかろうともしない。
豆腐にぶつかって目を覚ますか、タヒねばいい。
いっさいが苦しみである。
故にあなたとはあなたの苦しみである。
生まれたのも苦しみなら、生き、老い、病み、死ぬのも苦しみであり、苦しみとは否定されるべきものではない。
あなたの礎である。
近しい者との別れも礎なら、憎い奴との出会い、尽きせぬ欲望、「この私」が有るという錯誤もまた然り、あなたの礎、苦しみである。
あなたの苦しみがある。
人間の苦しみなどというものはない。
仮面をつけて生きるのは息苦しい。
どこでもいつも誰とでも、笑顔でいる必要も、頑張る必要もない。
苦しいのなら苦しめばいい。
いつか楽が訪れる。
快が訪れる。
愛が訪れる。
愛も快も楽もまた、いずれ失う、故に苦しみである。
畢竟苦しむしかない。
だから苦しみを味わえばいい。
愛し、快を求め、楽をし、存分に苦しみを味わえばいい。
答えなどない。
いっさいが苦しみである。