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第14期月光戦自戦記 C級3組 第3節 (vs画伯初段)

第14期月光戦も折り返しの第3節。
昇級したこともあってか第1節・第2節は初手合いの相手だったが第3節以降は以前に対戦したことがある相手との対局となる。

【対局前】

対戦相手の印象

居飛車党で、戦型は王道だが戦法はそこから少し外れたところを狙ってくる。
ガチガチに研究していっても途中で外してくるかもしれないので具体的な手順よりも大まかな方向性を用意するのが良さそう。


対戦成績

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第11期月光戦で一度対局し、敗れている。

そのときは先手番角換わり45桂馬速攻を仕掛けようとしたところ35歩の突き捨てを手抜かれてそこから手順前後で劣勢になってしまった。



事前準備

~先手番~

今回は気になる戦法があり、それをこの機会に試してみることにした。

その戦法とは角換わり腰掛け金。

将棋系YouTuberのクロノ氏が考案した戦法で、自分も以前に少しだけ指してみたことがある。

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要領としてはセカステ右玉に近い。

相手が外してくるならこっちから外してみようという考えと、角換わりでリベンジしたら面白いんじゃないかということで採用するに至った。

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想定局面①
一見イロモノ戦法のようにも見えるが評価値は互角。



~後手番~

後手番はいつも通りの2手目84歩

角換わりなら72金型で、相掛かりの場合は第1節で使った52玉型はやめて、想定局面は特に用意せずに普段の感じで指してみようと思う。

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想定局面②


対局前まとめ

先手番なら角換わり。後手番なら普段通り。

前回対局したときはすんなり角換わりになったので角換わり拒否の展開にはならないだろうが、もしなったらそのときは力戦調で(もし横歩取りを志向してきたら58玉戦法で)いこうと思う。



【対局開始ッ!】

先手:SaisokuKime 1級
後手:gahakumakoto 初段

▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7六歩
△3二金 ▲7七角 △3四歩 ▲7八銀 △7七角成
▲ 同 銀 △2二銀 ▲4八銀 △3三銀 ▲7八金
△6二銀 ▲3六歩 △4二玉 ▲4六歩 △6四歩
▲3七桂 △7四歩 ▲5八金 △7三桂 ▲4七金
△6三銀 ▲5六金 △5四銀 ▲2九飛 △8一飛
▲4七銀 △6二金 ▲4八玉

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こちらの先手番で戦型は角換わりに。

クリックミスを疑うような47金も作戦の内。
56金として腰掛け金に。

ちなみに29飛の瞬間に38角と打ち込む隙があるようで実は罠。
28飛と浮き直せば角金交換を強要でき少しこちらが良くなる。

想定局面①でも示したように、評価値は互角。
決して初見殺しだけの戦法ではないのだ。


△9四歩 ▲1六歩 △1四歩 ▲6六銀 △6三銀
▲7七銀 △4四歩 ▲4五歩 △ 同 歩 ▲6六銀
△8六歩 ▲ 同 歩 △ 同 飛 ▲8七歩打 △8一飛
▲5五銀 △6五歩 ▲4五桂

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66銀が一の矢。
次に55銀と出て銀交換を狙い、銀が手持ちに入れば63銀打がある。

それはさせてくれずに銀を引かれるがこちらも77銀と戻って後手陣の変形を待つ。
千日手は後手満足とも言われるが、腰掛け金の奇妙な陣形に穴があると見て後手から動いてくれることも多い。
本譜も44歩と変形してきた。

45歩同歩を入れてから再度66銀。飛車先を交換させた分の手得を活かして更に55銀と天王山を登る。

銀交換の筋はないがここで二の矢、45桂
後手陣の変形(44歩)を咎めた形となり、この時点でこちらが指しやすい。



△2二銀 ▲2四歩 △ 同 歩 ▲ 同 飛 △2三歩打
▲2九飛 △5四歩 ▲4四銀  △4三歩打 ▲5三角打

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更に銀が44の地点まで進出。

傷口が塞がらず、53角打まで入る。

駒の利きの数で勝っており後手陣は崩壊寸前だ。



△ 同 金 ▲ 同 銀成 △3一玉 ▲6三成銀
△5五歩 ▲ 同 金 △2四角打 ▲5三桂成

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しかしここから画伯初段の粘りが始まる。

24角打は攻防手で手強い。
先手陣は意外と隙がないが、堅い訳ではない。

こちらも後手玉の壁形を咎めて寄せてしまいたいところ。


△8四角打 ▲5六金 △5五歩打

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84角打と57の地点に利きを足してくるが56金と引いてこちらも57の地点に利きを足す。
腰掛け金だからこそできる芸当だ。

55歩打と叩かれても飛車を切って大丈夫だと思って指したが、実際叩かれてみると意外とキツイ。
こちらも玉に迫って攻め合いの態勢。



▲5二成銀 △5六歩

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この瞬間、後手玉に詰みが発生していた。

対局中は42の地点を巡る戦いだと思っていて41の地点に目を向けられなかった。

言われてみればハッキリとした詰みで、これは発見したかった。

本譜の飛車切りは57の利きを一つ減らしたと同時に42の利きも減らしていて、詰めろ。


▲2四飛 △5七角成 ▲3七玉 △2四馬

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ここでも先ほどの詰みと同じような詰み筋がある。
本譜はやはり42の地点にしか目がいかず、64角打と攻防手で応戦する。


▲6四角打 △3三銀 ▲2五歩打 △3九飛打
▲3八金打 △ 同 飛成 ▲ 同 玉 △5七馬
▲4三成桂 △4二歩打 ▲3二成桂 △ 同 玉
▲4八金打 △2六桂打

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後手陣の壁型が解消されてしまい、画伯初段が攻めるターンに。

評価値は互角だが実戦的には後手が指しやすい展開。



▲3七玉 △2七金打 ▲ 同 玉 △4八馬

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一方的に受ける番かと思いきや、ここで勝ち筋があった。

全部バラバラにしてから72飛と打ち金銀を使って一間龍の形に収束していく。

手数自体は長いものの手順はわかりやすい。

攻めと守りの切り換えの認識に誤差があったか。


▲3七金打 △5七歩成 ▲2六玉 △4七と
▲4四桂打 △2二玉 ▲3二飛打 △1三玉
▲1五歩 △3七馬

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こちらも後手玉に迫りつつあるが、画伯初段も攻めてくる。

一見怖い攻めだが……。


▲ 同 角 △2七金打 ▲ 同 玉 △3八銀打
▲2六玉 △2七金打 ▲1六玉

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これでギリギリ詰まない!

寄りそうで寄らない右玉風味の指しまわし。

少ない守り駒ながらその全てがしっかり機能している。


△1五歩 ▲ 同 角 △1四歩打 ▲2二銀打
△ 同 銀 ▲ 同 飛成 △ 同 玉

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ここでも詰み手順があるようで、42角成を実現するための桂馬の成り捨て。全く見えなかった。

攻防で打った64角が37→15と防の面で活躍した後に42角成と攻へ転換するという手順は美しい。

この時点で残り1分を切っており早指しモードに。


▲3二金打 △1二玉 ▲1三歩打 △ 同 玉
▲2二角打 △1二玉 ▲1三歩打 △ 同 桂
▲ 同 角成 △ 同 玉 ▲2二銀打 △1二玉
▲2四桂打 △ 同 歩

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残り時間1秒で生じた三手詰。

しかしそこに手は届かなかった。


▲ 同 角 △1五金打 ▲ 同 角 △ 同 歩
▲ 切れ負け
まで138手で時間切れにより後手の勝ち

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【対局後】

本局の振り返り

序盤の優位を活かしきれずに敗れてしまう悔しい敗戦となった。

戦法の良さは攻守共に発揮できたのではないかなと思う。
その上で勝利を掴めなかったのはまだ自力が足りないということ。

第1節・第2節と時間ギリギリの戦いで今回遂に時間切れ負けとなってしまったが、「何かあるはず」と見て時間を投入し、実際に勝利の手順はそこら中に転がっていた訳で、使い方自体は間違っていないのだと思う。
問題はその「何か」を発見できなかったことなのだが。


さいごに

今回は概ね前回と同じで対戦成績を追加。
執筆スピードについてはもうあんまり気にしてないかなぁ、結局自分用にやっているので。
ただ遅くなると対局当時の心境が薄れてきそうっていう懸念はある。

あと今回の詰み逃しは流石に酷かったんで今まで避けてた詰将棋始めました。詰めチャレ日課にします。
それじゃあ。

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