アンの村に起きたこと
*2020年9月23日初出
Amazon Primeで念願の「アボンリーへの道」を観ています。season 7までで、全91話。今ようやくseason 1、第10話。道、遙かです。笑笑。
ご存知の方もいらっしゃるでしょう。このドラマはあの『赤毛のアン』のスピンオフ。カナダのプリンスエドワード島のアボンリーの村の日々を美しい自然と19世紀末から20世紀初頭の風俗習慣を絡めて描いたカナダのテレビドラマ最大のヒット作品です。日本でもETVで1988-1996に放送されていました。
『赤毛のアン』シリーズといえば、現50代、60代にとっては、少女期のバイブルのようなもの(今でもそう?)。年齢を重ねた今でもやはり、映像を目にすると心踊ってついつい夜更かししてしまうのでした。
そんな素敵な時間を過ごしながら、ある場面になるとどうしても感じてしまう違和感。それは、学校。「アボンリーへの道」の主人公セーラは大富豪の父の事業の失敗で、モントリオールから亡くなった母の実家があるアボンリーにやってきます。母の姉、つまり伯母のヘティに養育されるわけですが、このヘティがまた、あのマリラそっくり。ほんとうは愛情深いのに、頑固で照れ屋でなかなか本心を見せられません。その上、ヘティは村の学校の教師。その厳格さは家庭での彼女以上。これじゃセーラ、大変ですわ。
考えてみれば、このドラマをリアルタイムで放映していた頃、私は高校の教員でした。このドラマの中に、厳格なある種、懲罰主義的な教育が描かれていたことを忘れていたのは、当時の私がそれを疑問に思っていなかったからでしょう。
四半世紀ぶりに観たドラマで、どうしても学校教育のある部分について違和感を感じてしまうのは私の教育観が変わったから、と思っていいのでしょうか。
人は変われる。ドラマの中でも、セーラの少々向こう見ずながら、勇気ある行動に触発されて、保守的な村人たちも、もちろん頑固なヘティもどんどん変わっていきます。これは小さな村に押し寄せた多様性の物語。だから何度でも観たくなるし、いつまでも新しいのだと思います。