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マネーボールとACミラン ~そこに浪漫はあるのか~

こんにちは、本日は再びAISTSの話題を離れ、「マネーボール」についてお話したいと思います。

「マネーボール」とは

『マネーボール』は、実話に基づいて描かれた小説で、ビリー・ビーンがMLBのオークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャーになり、データ分析に基づいた革新的なアプローチを取ることで成功を収める姿を描いています。
後に映画化もされ、全米で大ヒットを記録しています。

主演のブラットピットがめちゃくちゃにかっこいい

なぜ突然この小説もとい映画について触れたのかというと、私の愛するACミランの現オーナー、カルディナーレがこの『マネーボール理論』を信奉している、ACミランでも取り入れようとしているとの情報を発見したからです。

先のトナーリ売却事件やマルディーニ解任騒動などをきっかけに、このオーナーと彼が好んでいる「マネーボール理論」には批判が殺到しています。サッカーと野球は別物、20年前の理論は通用しない、ミランはアスレチックスのような若手育成を主体とするクラブではない、そもそも同様の戦略を既に多くのクラブが採用している、ワンクラブマンという浪漫が失われた等々。かく言う私もまったくの同意見だったのですが、批判ばかりではなく、カルディナーレの考えを理解する必要もあるのではないかと思い立ち、先日この映画を再視聴してきました。

今回は映画を再視聴した結果、それらの批判に対して私が何を感じたかについてお話したいと思います。

ミランはアスレチックスのような若手育成を主体とするクラブではない

ACミランはイタリア国内だけで考えればビッククラブの一つであることに疑いの余地はありません。しかし欧州CLで考えれば、プレミアリーグのクラブは勿論のこと、レアルマドリードやバルセロナ、バイエルンなど資金面では到底太刀打ちできないクラブと勝負し勝たなければならないのが現状です。その現実と向き合うために、若手や評価の低い選手を安く買って高く売る、という戦略は非常に理にかなっているといえます。むしろ国家予算並みの金額をもって選手強化を目指す一部のクラブに従来のやり方で張り合う方が危険だと私は思います。財政面で無理をした結果何が待っているのか、長年のミランファンなら知ってる方も多いのではないでしょうか。

ミランでも「マネーボール理論」は適用できるのか

これに関してはできると私自身は考えています。既に多くのサッカークラブが選手の評価にデータ分析を取り入れていますし、サッカーと野球は違うという理屈は既に通用しないと思っています。
尚且つミランにはモンカダという人材発掘に優れたスカウトを持っています。どこまで彼の功績なのかは定かではありませんが、ミランは近年だけでカルル、テオエルナンデス、メニャン、チャウ等多くの選手を安価で獲得し市場価値を大きく上昇させることに成功しています。この利を活かさない手はありません。

この2,3年だけで市場価値が爆上がりした選手たち
ミランのスカウトが優秀なのは間違いないと思います

同様の戦略を既に多くのクラブが採用している

この点に関しては問題になる可能性は大いにあります。最近だとプレミアリーグのブレンドフォードは元ギャンブラーであるオーナーのもと、綿密なデータ分析によって実際の価値よりも過小評価されている選手を特定し活躍させていることは話題になりました。三苫が所属するブライトンも同様ですね。こうした戦略はいわばトレンドになっており、20年前のアスレチックスとは状況が異なります。

ただし、常時CLに出場しているという条件を考慮すれば、この戦略を採用しているクラブはそこまで多くないと考えています(アヤックスなど一部例外はありますが)。

いかに競合を避けつつ、CL出場クラブであることを活かし選手を惹きつけ交渉クラブと有効な関係を築けるかが今後のカギになりそうです。

そこに浪漫はあるのか

はい、これが今回私が最も書きたかったポイントです。笑

先日のトナーリ売却については多くのファンが悲しみました。なぜなら彼はお金ではなくクラブ愛でミランに移籍してきた現在では珍しい選手であり、それ故にファンから愛され、長くチームに留まり続けると考えられてきたからです。『私たちが愛したサッカーは死んだ!』『浪漫は失われた!』と主張する人たちの心情は理解できます。

しかし、カルディナーレの経営方針に浪漫がないかといわれれば、私はそうは思いません。資金力で10倍も100倍も差がある相手を過小評価されてきた選手たちがぶったおす、そこにも大きな浪漫がありますし、それこそが『マネーボール理論』の真の目的なのではないかと、映画を視聴したあとに私は感じた次第です。

野球に浪漫を感じないわけないだろ?
というブラピのセリフは響きました

もしカルディナーレが『マネーボール理論』を用いて、本気で欧州CLを獲りにいこうとしているのであれば、個人的には大賛成です。いくつかの痛みを伴うことは承知の上で、今後も応援を続けたいと思います。


以上長々と書いてしまいましたが、要は今後どんなことがあろうとも私はミランのファンであるというお話でした。笑

それではまた。

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