気にしすぎ芸人

私は自分で言うのもなんだが、気難しい性格である。
なにかと気になってしまい、神経質で生きててめんどくせーなーってなる。

芸人は自分の言葉で自分の伝えたいことを伝えるということが何より大事だ。
その人自身が、その人自身でなければ感じ得ないこと、その人自身でなければ紡ぎ出せないワード、
自分はこう感じ、それをこう言語化するのが自分なのだ、という、こういう、魂のワードというか、芸人はみんなそこと戦っている。
だから芸人はみんなアルバイトが嫌いなのだ。
私も接客のバイトをしているが、そこには“自分の言葉”なんて存在しない。
マニュアルがあり、いかにその通りにできるかが評価の基準になる。
そんな世界では芸人は窒息してしまうのだ。

…なんだか早速気難しい文章になってしまった。

例えば!
二輪で車道をエンジン吹かせながら走る乗り物をバイク!と言うのか、オートバイ!と言うのか、みたいなことである。
それを自分はオートバイ!と表現したいのか、バイク!と表現したいのか。
そんなんどうでもええわ!となるかもしれないのだが、これが結構重要で、言葉のニュアンスというか、芸人は割とそういう部分に神経質にならなければならない職業なのだ。

そんな芸人という職業をやっていて、なおかつ私は嘘がつけない性格なもんで、天気の話をしたりするのが苦手なのだ。
した方がいいというのはわかっている。
大人なのだし、コミュニケーションとってにこやかな関係性を築いておいた方がいいに決まっているのだ。
「今日は晴れてますね」
うん、言おうと思ったら言えそうな気がする。
けど、私のことを斜め上から見下ろす俯瞰の私がこう告げるのだ、
「お前ほんとにそれ思ってんのか?」と。
「今日晴れてることをほんとに誰かに伝えたいのか?」と。
「それを言って『今日晴れてますね!』って言われてお前嬉しいのか?」と。
こうして私の喉まで上がってきた天気の話は、口という門番に開ける許可をもらえず閉じっぱなしになるのである。
自分が感じてないこと、表現したいと思ってないことは言えない。

あと納豆ごはん食べる時に、お味噌汁飲みたいけど、味噌汁飲んでたら私豆好きすぎじゃね?ってなって恥ずかしくなっちゃって味噌汁飲めなくなる。
家に一人でいるのに。(豆腐の味噌汁もめっちゃそれなる)

あと天気予報見て、今日しか干せる日ないなってなった時にあんまり洗濯物溜まってなくって、お前これしか洗濯物ないのに洗濯したのかよ?と周りに思われるのでは、と気になって外に干せなくなって、結局部屋干ししてしまう。
本当は外に干したいのに。

しちめんどくさい性格ですね。
こんな文章書くやつめんどくせえよ。
味噌汁飲めよ!外に干せよ!
天気の話しろよ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?