マガジンのカバー画像

〖ジモギカータン〗140字小説

20
140字小説をまとめています。
運営しているクリエイター

記事一覧

140字小説「実りカルタ」

涼風の青い空に 黄金の穂から たくさんの米粒たちが 勢いよく踊れば、 収穫祭の合図だ。 「笛…

群青さな
6か月前
4

140字小説「真っ赤な黒釜」

グツグツ、グツグツと煮込むのだ。 マグマのような熱さに近寄ることなど皆無。 真っ赤に染まり…

群青さな
6か月前

140字小説「木漏れ日の中」

「るーちゃんのは何味?」 「うーん、ちょっと酸っぱいかな」 「そう君のは?」 「激甘!」 「えっ?甘…

群青さな
10か月前
3

140字小説「同時上映」

君のえくぼと私のえくぼ。 くっつけ合って確かめる。 仲良しの証。 今、目の前で上映している…

群青さな
10か月前
1

140字小説「段々と淡々に」

潮風が広がる午後。 足元には陽気な観葉植物たち。 聞こえてくる波音。 自然が織り成すリピー…

群青さな
10か月前
1

140字小説「自作自演は七色の味」

十円玉を数枚握りしめ、 角を曲がった先の 古びた駄菓子屋へ向かった。 どれを買おうか選んで…

群青さな
10か月前

140字小説「静聴にして成長たる所以」

上を見上げるとキリがない。 下を見下ろすとキリがない。 もうどのくらい居るのだろうか。 皆目見当もつかない。 ここはゼロポジション。 どちらにも染まらない灰色な世界。 その居心地の良さから、 「変化」の文字が消え失せた楽園。 安心で安全で安定。 波風はなく、 凪は穏やかに見守る。 来る運命の一瞬を。

140字小説「共鳴」

「あなたには見えていたんだね」 「そんなの知らないよ」 「分かるわ。じゃなきゃスキを押さないも…

群青さな
11か月前
5

140字小説「重力なりけり」

畳に横たわる。 仰向けで脱力。 思考も手放し目を瞑る。 のそのそと近づき上に上がる。 重…

群青さな
11か月前
2

140字小説「カーネーション」

家ではそっと音が鳴る。 トントントントン。 母は娘に料理を作る。 美味しくなるおまじない…

群青さな
11か月前
1

140字小説「シルエット」

屋上からこちらを覗き込む。 頭の上には見馴れないハット。 ステッキを振り上げ、静止してい…

群青さな
1年前
2

140字小説「地の民」

姿の見えない友人の声が 風に乗って小さく消えた。 ここは? 谷底? 辺りには洞穴がいくつか…

群青さな
1年前
2

140字小説「助太刀」

今日の稼ぎも予想を見事に超えた。 カリカリ1袋に猫缶3つ。 煮干し一掴みに鰹節少々。 ひら…

群青さな
1年前
2

140字小説「完熟ですか。」

桃栗三年柿八年、恋に焦がれて早十年。 毎年、春の訪れを期待するようになった。 触れるか触れないか。ほどよい距離をとる。 試行錯誤に四苦八苦。 頃合いの判断は難しく、なんとももどかしい。 風に揺れるは熟れ模様。 気になり始めて大きく実ったこの想い。 そろそろ収穫のときだよね。