群青さな

Gatodepacoのギルドメンバー。 知的好奇心を携え、冒険(人生)に勤しむ。 感興…

群青さな

Gatodepacoのギルドメンバー。 知的好奇心を携え、冒険(人生)に勤しむ。 感興の赴くままにクリエイトしています。

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  • 〖ジモギカータン〗140字小説

    140字小説をまとめています。

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Gatodepaco ―序章―

「人生=冒険」である。 ならば、そこには様々なクエストがあり、 それらをクリアすることによって自らを成長 させることが大義であろう。 そんなクエストに私たち冒険者はいとも簡単に翻弄される。 はたまた、クエストを見失っていることさえある。 ここで、「クエストとは何か」を考える。 クエスト=探求(探し求める)、探索 クエスト=クリアすべき依頼や課題 人間は力を一点に集中させるとより高いパフォーマンスを発揮する。 情報過多で変化の激しいフィールド(世界)、クエストの種類も

    • スタンバイスタンダード

      繰り返す日常。 変わらぬ街並み。 いつもの定位置。 ここから見える景色は嫌いではない。 細い小道を入り、石畳の階段を いくつか上るとわずかな踊場がある。 コーヒーの香り。 目覚めの一杯。 安定のルーティン。 私はなんの変哲もないただの「村人A」。 いわゆるノンプレーヤーキャラクター、 NPCである。 壮大な冒険の物語を彩る「中」のひとり。 周りから見れば凡庸な光景だろう。 しかし、そこには誰にも譲れぬ誇りがある。 主人公は活路を求めて、ただの「村人A」を懸命に

      • 140字小説「実りカルタ」

        涼風の青い空に 黄金の穂から たくさんの米粒たちが 勢いよく踊れば、 収穫祭の合図だ。 「笛はどこ?」 「笛ー?!」 「あったー!!」 丸に豊の文字が背中で揺れる。 カシラは法被に何度も袖を通し 商店街を奔走している。 軽快な掛け声と太鼓の振動に 今年もゆらゆらと尻尾を合わせよう。 眺めの良いこの場所で。

        • 140字小説「真っ赤な黒釜」

          グツグツ、グツグツと煮込むのだ。 マグマのような熱さに近寄ることなど皆無。 真っ赤に染まり陰影が不気味に笑う。 煮えくり返ったハラワタはトロトロになって コクさえ出てきている。 一晩置いたほうがより旨味が増して美味しくなるだろうな。 スパイスは何種類もある。よく吟味しよう。 さあ、ご賞味あれ。

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        Gatodepaco ―序章―

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        • 〖ジモギカータン〗140字小説
          20本

        記事

          140字小説「木漏れ日の中」

          「るーちゃんのは何味?」 「うーん、ちょっと酸っぱいかな」 「そう君のは?」 「激甘!」 「えっ?甘いの?ちょっとちょうだい」 「ね!甘いでしょ?」 「やっぱり酸っぱいや」 「食べる人で味が違う。あのおばあちゃんの言った通りだ」 「不思議だね」 神社の境内にある木陰。 二人のえくぼが時折輝く。

          140字小説「木漏れ日の中」

          140字小説「同時上映」

          君のえくぼと私のえくぼ。 くっつけ合って確かめる。 仲良しの証。 今、目の前で上映しているのは あまり得意なジャンルではない。 目を瞑りたくなるときも多々ある。 フィルムを取り替えたいと切に願う。 別館「脳裏」では、幼き日の私の大ヒット作が上映し続けている。 えくぼは今も変わらないのにな。

          140字小説「同時上映」

          140字小説「段々と淡々に」

          潮風が広がる午後。 足元には陽気な観葉植物たち。 聞こえてくる波音。 自然が織り成すリピート再生。 フランスパンをひとかじり。 珈琲の一滴が静けさに深みを与える。 一音一音脈打つ鼓動。 流れ駆け巡るヘモグロビン。 豊かさは常に内側から涌き出ている。 あの時の空は、いつもと変わらなかった。

          140字小説「段々と淡々に」

          140字小説「自作自演は七色の味」

          十円玉を数枚握りしめ、 角を曲がった先の 古びた駄菓子屋へ向かった。 どれを買おうか選んでいると 見馴れないものが目に入った。 「ジサクジエン?」 手に取ろうとした瞬間 「気になるかい?」 奥に居る店主の老婆が言った。 「おいしいの?」 「人によって味が変わるよ。試してみるかい?」 僕は小さく頷いた。

          140字小説「自作自演は七色の味」

          140字小説「静聴にして成長たる所以」

          上を見上げるとキリがない。 下を見下ろすとキリがない。 もうどのくらい居るのだろうか。 皆目見当もつかない。 ここはゼロポジション。 どちらにも染まらない灰色な世界。 その居心地の良さから、 「変化」の文字が消え失せた楽園。 安心で安全で安定。 波風はなく、 凪は穏やかに見守る。 来る運命の一瞬を。

          140字小説「静聴にして成長たる所以」

          140字小説「共鳴」

          「あなたには見えていたんだね」 「そんなの知らないよ」 「分かるわ。じゃなきゃスキを押さないもの」 「たまたま気まぐれで押しただけさ」 「それでも嬉しいわ」 「評価されたのがそんなに嬉しいのか?よく分からんな」 「いいえ。あなたの作品を読んだわ。私と同じ匂いがした。その共鳴が嬉しいのよ」

          140字小説「共鳴」

          140字小説「重力なりけり」

          畳に横たわる。 仰向けで脱力。 思考も手放し目を瞑る。 のそのそと近づき上に上がる。 重い。それにしても重い。 内蔵が圧迫され若干息苦しい。 しかし、温かい。 この重さは温かさでもあるのか。 暫しこの時間を堪能しようではないか。 お互いの熱が伝わる。 なんとも心地よいものだな。 呼吸がそう言っている。

          140字小説「重力なりけり」

          140字小説「カーネーション」

          家ではそっと音が鳴る。 トントントントン。 母は娘に料理を作る。 美味しくなるおまじない。 愛してる。 トントントントン。 娘は母の肩をたたく。 疲れが取れるおまじない。 ありがとう。 響き合い、確かに感じる温かさ。 相手を思う気持ちには、 心地よいリズムが刻まれる。 日常にさりげなく。

          140字小説「カーネーション」

          140字小説「シルエット」

          屋上からこちらを覗き込む。 頭の上には見馴れないハット。 ステッキを振り上げ、静止している。 夕日でよく見えないが、 何かを呟いている。 そういえば今日、クラスで謎の文章が どうとか騒いでいたっけ。 関係ないか。 ふとスマホに目をやる。 学校のサイトには 「皆さん、いよいよです!」 そう書かれていた。

          140字小説「シルエット」

          140字小説「地の民」

          姿の見えない友人の声が 風に乗って小さく消えた。 ここは? 谷底? 辺りには洞穴がいくつかある。 それにしても妙に明るいな。 立ち上がり、恐る恐る中へと入った。 眼前にはエメラルド色の水溜まり。 じっと目を凝らす。 「次はあっちへ運べ!」 妖精!? それにしてもあの石・・・。 幻の鉱石「地球の息吹」だ!

          140字小説「地の民」

          140字小説「助太刀」

          今日の稼ぎも予想を見事に超えた。 カリカリ1袋に猫缶3つ。 煮干し一掴みに鰹節少々。 ひらひらリボンのおまけ付き。 街を歩けば仕事が入る。 人知れず、助けを求める人がいる。 世の常だ。 頼れる存在であり続ける。 背負う看板ここにあり。 使い古した木の板に大きな文字。 「猫の手、貸し候!」

          140字小説「助太刀」

          140字小説「完熟ですか。」

          桃栗三年柿八年、恋に焦がれて早十年。 毎年、春の訪れを期待するようになった。 触れるか触れないか。ほどよい距離をとる。 試行錯誤に四苦八苦。 頃合いの判断は難しく、なんとももどかしい。 風に揺れるは熟れ模様。 気になり始めて大きく実ったこの想い。 そろそろ収穫のときだよね。

          140字小説「完熟ですか。」