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ひとつひとつの素材に個性がある。ジュエリーブランド「SAN」が考える素材の話 Vol.2

こんにちは。わたしたちは東京を拠点に活動しているジュエリーブランド「SAN(サン)」です。素材そのものの面白さや可愛らしさから着想を得てジュエリー制作をおこなっているSANによる、素材についてのストーリー。第二回目となる今回は「宝石のインクルージョン」についてお話しします。

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インクルージョンは宝石の履歴書

圧力や温度などの影響下で特定の成分が集まって凝固し、長い時間をかけて結晶化することで生まれる宝石。結晶化する過程の中で、その内部にはどうしても不純物が混ざります。気体、液体、個体、ひび割れ…… 宝石に含まれるこれらの内包物や包有物は、「インクルージョン」と呼ばれます。

インクルージョンは、いわば世界にひとつしかないその宝石だけがもつ特徴。産地や鉱物によって特有のものもあるため、鑑定士が宝石を鑑別する上でも、インクルージョンはひとつの目安になります。

天然宝石に見られ​​るインクルージョンには、さまざまなものがあります。ニードル(針のように細長い、透明もしくは白色の線が入ったもの)やクラウド(点状のクリスタルが集まって雲のように見えるもの)などは、その典型的な例。

中にはフェザー(宝石の内部に割れが生じた、白い羽根のように見えるもの)やクラック(亀裂)など、できる場所や数などによっては耐久性に影響が出てきてしまうインクルージョンもあります。

「ということは、あると良くないものなの?」と思われるかもしれませんが、必ずしもそういうわけではありません。宝石ひとつひとつに書き込まれた履歴がインクルージョンなのです。

インクルージョンが引き出す素材の個性

インクルージョンがあることによって、美しさや価値を増すものがあります。

たとえば、ルチルクォーツ。ニードルのインクルージョンが入ったクォーツ(水晶)のことで、金運をつかさどるパワーストーンとして有名です。美しい金色の針のような線が入っていることによって、ふつうの水晶に特別な意味が生まれています。

また、樹脂が化石化することによって生まれる琥珀(アンバー)の中には、数十世紀も前の昆虫や植物の葉、鳥の羽根などが紛れ込んだものもあります。宝石とは異なりますが、太古のロマンを感じるインクルージョンですよね。

ダイヤモンドなど、インクルージョンが少ないほど鑑定評価が上がる宝石もあります。しかし、インクルージョンを見るために顕微鏡を覗き込むとき、「クラウドがハートのような形をしている!」などとその個性的な可愛らしさに気づくことも。

インクルージョンは、同じものがふたつとない宝石の個性を引き出してくれるもの。目に見えるものも、そうではないものもありますが、ひとつひとつの宝石の違いに気づいていただけたらうれしいです。


SAN Web - http://san-tokyo.com/
Online Shop - https://santokyo.buyshop.jp/

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